大阪市西成区萩之茶屋2の5階建て集合住宅で12日深夜に火災が起き、建物内にいた男女3人の死亡が確認された。他に60~80代とみられる男性3人が病院に搬送され、うち1人が意識不明の重体になっている。
現場の集合住宅は高齢の入居者が多く、ヘルパーが常駐して介護サービスを提供していた。寝たきりや体の不自由な人もいたという。大阪府警西成署は入居者らが逃げ遅れた可能性があるとみて、出火原因や詳しい状況を調べている。
火災は12日午後11時15分ごろに発生。5階の一室から出火したとみられ、別の部屋と共用廊下の計約31平方メートルを焼いて約2時間40分後に消し止められた。死傷した6人のうち5人は5階にいた。
署によると、死亡したのは大阪府豊中市の浜名早百合さん(65)と、5階の住民とみられる男性2人。浜名さんはヘルパーとして介護サービスを行うため5階を訪れていたとみられる。
死亡した男性2人は70代と60代とみられ、70代男性と浜名さんが同じ部屋で発見された。60代男性は出火元とみられる部屋で見つかった。この部屋に住む男性は車椅子を利用していたとの情報がある。署が身元の確認を急いでいる。
入居者らによると、集合住宅には夜間も含めてヘルパーが交代で常駐し、買い物や部屋の清掃など身の回りの世話をしていたという。管理会社はホームページで「共助型住宅」と紹介していた。
大阪市によると、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などの登録は確認されていないという。建物の建設時に市に提出された資料によると、主要用途は「ホテル(簡易宿泊所)」となっていた。市は提供されていたサービスの内容や建物の使用状況を調べる。
管理会社は取材に「担当者がおらず対応できない」としている。
集合住宅に住む男性は「非常ベルが鳴ってエレベーターが止まった。逃げ場がなく、とどまるしかなかった。消防隊員に助けられるまで真っ暗で、煙も立ちこめていたので怖かった」と当時の緊迫した様子を語った。
別の住民男性は「寝ていたら消防隊員が来て、『火事だから逃げましょう』と言われて避難した。廊下に黒い煙が充満していた。まさかこのような惨事になるとは信じられない」と声を震わせた。
現場は南海電鉄・萩ノ茶屋駅から東に約80メートルの住宅や飲食店が並ぶ商店街の一角にある。【露木陽介、松原隼斗、大坪菜々美】