埼玉県内にある看護専門学校44校のうち、少なくとも7校が本年度以降の学生の募集停止を表明していることが、県への取材で分かった。看護師志望者の減少で各校の経営難が深刻化しており、地域の看護師不足に拍車がかかると懸念されている。(杉浦正至)
県は校名を公表していないが、看護学校と准看護師学校の計7校が県に募集停止を申し出ている。3校は既に本年度の募集をやめ、4校は来年度以降にやめるという。県医療人材課の担当者は「今後の看護師確保に、非常に危機感を抱いている」と受け止める。
県内では5月以降、深谷大里看護専門学校(深谷市)と専門学校日本医科大学校看護師科(越谷市)が2026年度入学の学生を募集しないと発表。所沢市医師会立の所沢看護専門学校(所沢市)も10月、27年度の新入生を最後に閉校すると明らかにした。
昨年度以前は蕨戸田市医師会看護専門学校(戸田市)、大宮医師会立大宮准看護学校(さいたま市北区)などが閉校を発表している。
募集停止する学校の多くは、少子化や看護師志望者の減少を理由に挙げる。4年制の看護大志向も影響しているという。
日本医師会(日医)の今年5月の調査によると、全国の医師会立学校の定員充足率は准看護師過程が53%、看護師の2年過程が58・5%、3年過程が75%にとどまる。特にこの数年は落ち込みが加速している。
日医は看護志望者減の背景に、コロナ禍で激務の印象がついたことや処遇改善が進んでいない現状があるとし、「過疎地域においては、看護職の将来的な供給見通しが立たなくなることが強く危惧される」と指摘している。
◆秩父は医師会が運営撤退
募集停止には至っていないが、経営難が表面化しているケースもある。秩父地域唯一の看護師養成学校、秩父看護専門学校(秩父市)は、運営する秩父郡市医師会が...
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