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製造業の立地について(輸送費編)

製造業の立地決定要素の一つである「輸送費の最小化」について整理してみる。

=どこで製造するのがもっとも輸送コストを低くすることができるか?


ベースとなる理論
 「原料指数(MI)=原料重量/製品重量」
  MI>1 → 原料地志向(原料より製品の方が軽いなら製品にしてから輸送するのが得)
  MI=1 → 立地自由
  MI<1 → 消費地(市場)志向(製品より原料の方が軽いなら原料を輸送した方が得)

  例:○セメントはMI=2.11で、原料地志向。(北海道上磯町、大分県津久見市、高知市)
     ←セメント1トンを製造するのに石灰石1.33トン、石炭0.43トン、粘土0.35トンが必要
    ○バター・チーズはそれぞれMI=20・MI=10で、原料地志向。(立地は北海道、大規模に酪農を営んでいる近く)
     ←それぞれ1トン作るのに、それぞれ牛乳を20トン・10トン必要とする。
    ○機械産業、石油化学工業はほぼMI=1で、立地自由とされる。
      (石油化学工業の立地は原料地であるサウジアラビアにも、中間地のシンガポールにも、消費地である東京湾周辺にもある。)
    ○ビールはMI=0.035で、消費地志向とされる。(札幌市、仙台市、東京周辺、名古屋、大阪周辺、福岡市)
     ←ビール1トンを製造するのに水10トン、大麦・ホップ等0.035トンが必要。
      水はどこでも手に入る普遍原料だから、立地の決定を左右する原料でないと考えられるため、
      原料重量にはカウントしない。
 
  ※①重量以外にも、体積の大きいものや腐敗スピードが速いものは輸送費が多くかかる。
    例えばセメントの約70%は生コンクリートの材料として使われるが、生コンクリートは
    商品寿命が短い(1.5時間程度)ために生コンクリート工場は市場立地型となる。
  ※②輸入品は港があればどこからでも陸揚げできるため、普遍原料となりうる。その場合、市場立地型が多い。
  ※③輸送技術の発展により生産コストに占める輸送費の割合の低下する。そうなると、他のコストで立地が決まることも多くなる。


■原料立地の参考イメージ
鮮度重視加工型(カゴメ)
  カゴメはトマトジュースの国内シェア5割を占める
  トマトジュース工場は栃木と長野にある。
  原料となるトマトは長野、栃木、福島、茨木などの契約農家1,700戸から買い入れている。
  トマトは入荷してから24時間以内に全てジュースにしなければ劣化が始まる。
  冷凍の輸入トマトでも作れないわけではないが、100%トマトジュースでは完成時の風味や品質の点で差があった。
  そのため缶入り100%トマトジュースは国産トマトを使用し、100%トマトジュースでもペットボトルの商品、野菜ミックスジュースは輸入トマトが使用されている。
  輸入品が増えていく理由の一つに、トマト農家の後継者問題もある。加工用トマトは生食用トマトに比べると価格が安く、大規模化をしない限り収入が見込めない。アメリカでは日本で1700戸から買い入れている3万tのトマトを6戸で作ってしまう。

⇒つまり、劣化しやすいもの、高い鮮度・品質が求められるもの(微妙な味の違いも売れ行きを左右するもの)なら国内産にも勝ち目があり、加工品の原料になりうるのではないか。

原料集散型(木製家具産業)
 木製家具産業は以下のような立地の類型がある 。
  市場立地(東京、名古屋、大阪など)
  原料立地 木材集散地型(北海道旭川市)…木材の有効利用を図るため
       木材産地型(大分県日田市、広島県府中市、岐阜県高山市)…産地としての付加価値を利用するため
⇒特に木材集散型に注目すると、原料が県内になくても構わなくて、県外から原料が集まる場所となり、その原料を使う産業が立地するという道も考えられる。集まりやすい場所となるためのインフラ整備・法制度整備が必要となる。

エコ原料型
 リサイクル産業は原料発生地と市場がほぼ同じなので、市場立地が多くなる。
 
 ⇒よりリサイクルを広げることが県内への産業立地の増加につながりうる。

■市場立地の参考イメージ
・日本全体を一つの市場とする産業
 中位点立地の定理…最適な立地点は総人口の中位点の相当する人が住む都市となる。
 日本の場合は、福岡(400万人)、広島(200万人)、京阪神(1800万人)、名古屋(800万人)、首都圏(3000万人)、仙台(150万人)、札幌(200万人)とすると、中位点は首都圏となる。(中位点は端から3275万人目なので首都圏の中でも京阪神・名古屋寄りの首都圏となる。)
 
⇒輸送費の観点からは日本全体を一つの市場とする産業の宮城への立地は難しい。

・市場分割型
 市場が大きく、製品の重量・劣化の速さによって輸送費が多くかかる製品は市場を分割してそれぞれに生産拠点を設ける。
 例:製 鉄 :新日本製鉄…君津、名古屋、八幡、大分
        UFJスチール…京浜・千葉、福山・倉敷
   石油化学:三菱化学…鹿嶋、四日市、水島
   食 品 :大都市近郊(宮城に食品業の多いのも市場分割型の市場立地と考えられる。)

⇒市場分割の要素を持つ産業でまだ県内立地はないが、何らかの後押しをして誘致。市場分割ならば東北の中では大きな市場を持つから宮城は分がいい。

・グローバル市場型
 自動車産業をはじめ機械産業は輸出が多い。
 そうなると、必ずしも日本の市場には縛られないので、日本を一つの市場とする産業より県内立地の可能性は高まる。
 なので、グローバル市場型の産業は狙い目なのかもしれない。ただ、それなりの港湾が必要だし、国内向けもないわけでない。





↓泉ヶ岳の山頂(表ルートより登頂)
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