2015年 06月 29日
空からおちてきた王子 |
ほのぼのメルヘンかと思ったら、まるで違った。でも、すごくユニークで面白い。設定や登場人物はすべて昔ながらのお伽噺のそれなのに、語られていることは現代社会で生きていく子どもたちが直面する問題ばかりなのです。両親の離婚、拝金主義、子どもを躾けられない親、ストレスによる心身症、さらにはいつの時代にも見られる悪徳(差別、詐欺、無知、利己主義)といったものもたっぷり出てきます。
ふつうだったら生きているのがいやになるような話ばかりなのですが、それをお伽噺の衣で包むことで皮肉のきいたユーモラスな話に仕立てています。初めのうちはタイトルから想像していた《ほのぼのメルヘン》とは全く違う方向に行くのでポカンとしてしまいましたが、読むほどにどんどんハマってしまいました。
作者の人は『みんなの幽霊ローザ』や『きゅうりの王さま やっつけろ』の人なんですね。なるほど、それで納得です。あの二作もファンタジー風味はあるものの現代社会の子どもを取り巻く環境をシビアな目でみつめ、きちんと取り組もうとしていました。そしてユーモアのスパイスも効いていた。私、この作家さん、好みなのかも。
空からおちてきた王子 (The excellent series of foreign literature books)
原題:Der Gefrorene Prinz
作者:クリスティーネ・ネストリンガー
イラスト:フリードリッヒ・カール・ヴェヒター
訳者:佐々木田鶴子
出版社:ほるぷ出版
ISBN:4593591201
by timeturner
| 2015-06-29 19:27
| 和書
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