もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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まぁ書きだめは先に放出するものだって誰かが言ってた。(言ってない)

うちのフォロワーさんにギフト魔がいるんですけど…恩返したら恩返し返しされました。
これが…永遠に返せない恩、現代版鶴の恩返しレクイエムか…。
襖開けても恩返してくるんですけどこの鶴、聖人か?


第3話

 

チェルノボーグを駆けていると、そこら中にレユニオンの集団がいるのが分かった。

建物を壊し、火を付け、民を襲う。折れた翼の崩壊した巣の末路を見ているかのようで、都市もここも変わらないと感じる。

 

「おい!誰かいるぞ!」

 

「邪魔やなぁ。」

 

通りすがりに拳を振り抜き、下顎を砕く。血と唾液で濡れた手袋をパッパッと乾かす。

大通りに出ると、更に多くのレユニオン兵が集まっていた。

彼らはレイホンに気付くと、初めてあった集団と同じように激しく言葉を吐き近付いてくる。

 

「あっちにもいたぞ!」

 

「俺達の…虐げられてきた感染者の痛みを思い知れ!」

 

「お前ら全員似た言葉しか使わへんな、おもんないわ。」

 

銃剣を抜き、全員殲滅しようとしたその時、何かが猛スピードでレイホンへ向かってきた。

 

ガキィィン!!!

 

弾丸を放ち、推進力で加速した抜刀。弾いたものは"矢"だった。

見渡す限り集団の中に弓やクロスボウを持った者はいない。となると…

 

「あそこか。」

 

遠く、未だ天災に飲まれていないビルの中からの狙撃。あの遠距離からここまでの威力を出せるものは都市にもそういないだろう。

 

「結構おもろいやつもいそうやな?……タァッ!」

 

二撃目を再び弾丸を放ち弾く。いつも弾丸を補給してくれる部下はいない上に、弾丸を新しく製造できるかどうかも曖昧だ、そのため弾丸はあまり使いたくない。

虎標弾は勿論、奥の手である猛虎標弾は以ての外だ。

 

(あの威力なら壁もぶち抜けるやろ…。頭がおったら調律やな。…味方ごとぶち抜く気概のあるやつで、連射できるんやったら詰むかもしれへん。)

 

このチェルノボーグから脱出するためには一刻を争う状況。ここで長々と戦う暇はない。が、礼儀を弁えないものに対しての罰はまだ執行されていない。

 

そう考えたレイホンは集団に向けて駆ける。そして一人ずつ、下顎を一撃で殴りぬき確実に砕く。

 

(撃ってこんな、仲間思いの優しいやつっちゅう事か?)

 

そのまま集団の半分以上の下顎を砕き、集団を突破し再び裏路地に入る。結局最初の二撃のみで、それ以上の狙撃はなかった。

 

 

===

 

 

「——メフィスト、異常事態だ。」

 

「——ん?どうしたのファウスト。」

 

「赤い服を着た、特殊な武器を使う男がいる。」

 

「それがどうかしたのかい?」

 

「砲撃を防がれた、2発だ。」

 

「!?……ファウストの、砲撃が? …君の安全が最優先だ、その場から一度撤退しよう。」

 

「……了解。」

 

 

===

 

 

路地を駆け、チェルノボーグからの脱出を目指すレイホン。しかし、脱出と言ってもどこに行けばいいのかが未だに分からない。

 

曲がりくねった路地を走っていると、自分以外の足音が聞こえる。

このままだと角で鉢合わせるだろう。別にレユニオン兵如きに負ける訳が無いが、時間が惜しいこの状況では制裁する時間が惜しい。

跳躍して家の二階の窓にぶら下がり、そこから屋根を通っていこうとし、鉢合わせるはずだった者たちを見る。

 

そこには、ジア・チォウに殺されたはずのかつての部下3名と、見慣れない青色の髪をし、頭から犬の耳のようなものを生やす槍を持った少女がいた。

どうやら部下たちは少女に先導されているようで、随分と走ってきたのか全員息を切らしている。

 

窓を掴む手を離し、路地に思い切り着地する。

ドッと鈍い音が路地に響き、こちらに気付く四人。

息を切らしているかつての部下と少女。言いたいことがあるようだが、上下を弁えているのだろう、口を開くことはない。

 

「おお居ったんか、お前ら。てっきり俺っちだけかと思うたわ。…そっちの嬢ちゃんは?」

 

「ハッ!我々はこちらの…彼女に助けていただきました。」

 

一番初めに呼吸を整えた部下が口を開く。目線は下に、非礼のないように。

自分の記憶にある部下と一切変わらないその仕草に、偽物ではないと確信する。

一歩下がり、少女を前に立たせる部下。少女は緊張した様子で、動きが硬い。部下から聞いたのか、失礼の無いようにレイホンと目線を合わせようとせずに胸元を見る。

 

「嬢ちゃんに聞きたいことが増えてもうたな、名前とか、その耳とか聞きたいことは山程やけど…一番大切なこと聞くで。…所属は、どこや。」

 

堂々と、ゆっくりと言の葉を紡ぐレイホンに圧されゴクリと息を呑む少女。

レユニオンという言葉が返ってきたのなら、部下を騙した罪で下顎を砕き舌を切る。

しかし、彼女は口を開きスゥ—と息を吸うと

 

「私は、ロドスアイランドの行動予備隊A1隊長、フェンです。」

 

大きな声で、レイホンにも負けないよう堂々と胸を張って言った。

 

「……。」

 

じっとファンを見つめるレイホン。部下は皆下を向き、一切言葉を発さない。ファンも目線を下にし、それ以上の言葉を発さない。

 

(ロドスアイランドってなんや…?)

聞いたことがない組織だ。暴徒の集団であるレユニオンでもなく、R社の正式名称はそんなものではないし、発音からしてL社でもない。

自分より上の立場の組織、人物は大体覚えている。親指で生きる以上、知識を積んで失礼の無いようにすることが長生きの秘訣だからだ。

 

自分の知らない組織の時点で自分より格が下の者だろう、いつもならそう考えていたが現在は異常事態の真っ最中である上に情報が足りなさすぎる。

空気が重くなり、フェンの顔が青ざめ始めるとレイホンが口を開いた。

 

「あんなぁ。」

 

「…ッ!はい。」

 

「ロドスアイランドちゅうのは、どのくらいの組織なんや?」

 

「そうですね…。様々な国との繋がりがあります。私も最近ロドスに入ったばかりで、詳しい事は分かりませんが…。」

 

思った以上の大きい組織だった。そう思い、部下に質問する。

 

「なぁ、お前らから見てどれくらいやと思う?」

 

「都市疾病の上位から都市悪夢…もしかすると、都市の星級の可能性も…。」

 

まずいことになった。レイホンは思考を巡らせる。

レイホン自身親指のカポIIIIであり、1級フィクサーや都市悪夢の相手なら問題なく話せる。しかし都市の星はダメだ。都市の星はカポIIII(クァルト)である自分より格が上のアンダーボスよりも上であり、そんな相手にこうも気安く話してしまった自分の舌は確実に切られるだろう。

ここで切らなかった場合部下にも示しがつかない。

 

が、組織が都市の星でも構成員の全てが都市の星になるわけではない。フェンという少女が言った「行動予備隊A1」なるものが、推定都市の星のロドスアイランドで、どれほどの立ち位置なのかが分からない。

どこまでも足りない情報に悩んでいるとフェンがインカムを触り、通信先の相手と少し喋ると口を開いた。

 

「どうやら私の仲間があなた達の仲間を保護したそうです!…今は一刻を争う状況です、私に付いてきてください!」

 

「…おう、せやな。」

 

部下が「これは大丈夫なのか?(下顎を砕き舌を切るべきでは?)」と顔を見合わせる。

走り出すフェンを追いかけながら、小声で「アホ、俺っちより格上かもしれんやろ。」と呟く。

一瞬で顔を青ざめさせる部下と一緒に、フェンの後を追うのだった。

 

 




レイホンが初めて出会ったオペレーターは、俺が好きなオペレーターの上位に入り続ける女、フェンです。
異格は持ってません、異格ムチムチしててえっちだなって思いました。
フェンの印の「あなたを朝練に誘うために、送り主はきっとすごく知恵を巡らせたのだろう。」が好きすぎる。
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