一般常識人に新エリー都は生きづらい   作:こなひー

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 更新まで1か月も開けてしまい申し訳ない……。
小説を書く手が止まってしまったり、ダンツフレームが実装されたり、シンプルに体調を崩したりと紆余曲折ありました。

 あと自分で始めたことですが、笑える感じでかつキャラを崩壊させない異変を生み出すって、ムズイですね……。


37.サクのVR訓練 その4『白祇重工 前編』

 邪兎屋メンバーの異変を解決し、無事(?)次のステージへと進むことができた。いやあ、本気のアンビーは怖かったね、うん。

 

「緊急脱出に成功、ステージ2に移行します」

 

 ステージ1でハンバーガー狂いの発作に襲われかけたFairyは、額を拭いながらそうアナウンスした。ボンプって汗かくのか?

 

 

 

「さて、ここは……建設現場?」

 

 見渡す限り建築用の車や鉄骨がたくさん視界に入る。そういう関係のある知り合いには一つだけ心当たりがあるけれど、俺はここには来たことが無いため断定はできない。

 

『ああ、ここは黒雁街跡地だよ』

『白祇重工の皆がいるところだね! 最初に来たときは驚きばっかりだったよねー』

「あ、やっぱり白祇重工か」

 

 リンとアキラは早くも着地のコツを掴んだようで、突然のワープにも対応できていた。流石VR越しだと機敏に動けるな、リアルだと50m走でもヒーヒー言ってそうだけど。

 

 

 

『ねえお兄ちゃん、あのでかくて白い機械ってもしかしてガンダm』

『よしリン、サク。皆の様子を見に行こうか』

『えっ? う、うん』

 

 中央の鉄骨に囲まれた巨大な人型の機械を指すリンの言葉を遮り、行動を開始した。アキラのいつにない俊敏さを見せられたリンは続きの文字を言えなかった。あの巨大な人型兵器、なんかのビデオで見たような……止めとこう。

 

 

 

 それはさておき、白祇重工かー。その単語を聞いた俺はどうも不安を抱えてしまう。

 

「あの人たち元から異変だらけじゃん。見つけられるかな……」

『あはは……確かに』

 

 ベンさんは言わずもがな、クレタさんも確かまともな部類の人だったはずだ。だがしかし、問題は後の二人である。元の癖が強すぎて異変が薄れて見つからない可能性があるからだ。

 

「おう、やっと見つけたぞ」

「あれ、その声もしかしてクレタさん? ……あれ?」

 

 後ろからクレタさんの声がしたので振り返る。しかし、燃えるような赤く長い髪と眼帯が目に入るかと思っていたのに誰もいない。少し下に目を向けると、その特徴をそのままとらえたジト目のボンプがそこにいた。

 

「何で既にボンプになってるんですか?」

「あたし自身もよくわかんねえんだ。気が付いたらこの姿だったんだよ」

「……Fairy、登場人物が既にボンプ姿な場合ってどうなるんだ?」

『彼女には異変が無いという事になります』

「あ、そのパターンもあるんだ」

 

 良かった。クレタさんにはまともでいてほしかった感じがあるからホッとした。

 

 

 

「おい、お前今……こいつ元々小さいからボンプ姿になってもあんまり変わらねえなー、とか思っただろ」

「全く思ってないです」

 

 ヤーさんの絡み方やめてください、心臓に悪いです。どこぞの組みたいにうちの学生寮に押しかけてポケ〇ン大会とかしないでください。

 

 

 

『それで、クレタがわざわざ僕たちを探していたのはどうしてだい?』

「それがな、うちの社員が……特にアンドーとグレースの二人だな。様子が変なんだよ」

「変なのは元からでは?」

「否定はしねえ。だが、何かが違うんだよ……。ほら、そこにアンドーがいるぜ」

「え?」

 

 

 

 そこには、普段のやかましさや暑苦しさが一切たち消え、灰になったアンドーさんがいた。存在感が無さ過ぎて今の今まで全く気付かなかった。

 

 

 

「し、白黒になって燃え尽きてる……」

『まるで昔に読んだボクシング漫画のラストシーンみたいだ……、凄い再現度だな』

『お兄ちゃん! 感心してる場合じゃないでしょ!』

 

 リンが駆け寄ると、アンドーさんはボソボソと何かうわ言を呟いている。

 

「なあ、兄弟。……やっぱり返事が聞こえねえ、一体どうしちまったってんだよ……」

『アンドーさんがおが屑にしゃべりかけてる……』

『これは重症だな……』

 

 ここまで来るともう怖いわ。アンドーさんから兄弟を取り上げたらこうなっちゃうのか、そう思うと普段のうるささには目を瞑れそう……いや微妙かな。

 

 

 

「おらグレース、お前も客人への挨拶はどうした?」

「…………あぁ、君たちか」

「って、こっちも色が抜けてるし……」

 

 元気無っ。だらけすぎるあまりに、パイプ椅子に溶けて張り付いているようにも見える。加えていつもの無駄にセクシーな容姿は気持ちしおしおになってる気がする。

 

『グレースさんまで、一体どうしたんだい?』

「いや、何故かわからないんだけどね。私にとって大事な何かを失ってしまったような気がしているんだ……。そう、何か生きがいのような……」

『あんまり良くない例えかもだけど……記憶を失った未亡人、みたいになっちゃってるね』

「それは流石に……いや、間違っちゃいないのか?」

 

 機械が恋人みたいな人だから、むしろリンの表現は的を射ているのかもしれない。叶わない恋って泣ける映画ではよくあるよね、ただ相手が機械全般だから需要がニッチ過ぎる。

 

 

 とりあえず、見てほしいと頼まれた二人を見終えたところでクレタさんに俺たちの意見を報告する。このVRにいるクレタさんは、ここがVR空間である事は知らないらしい。

 

「どうだ、何かわかったか?」

「アナログ人間になった結果、生きがいを失ってしまったみたいですね。こいつで叩けば治りますよ」

「なんだそりゃ。よくわからねえが、早く頼む。今のあいつらはどうも見てらんねぇからよ」

 

 俺も本当にそう思う。燃え尽きてるってレベルじゃなかったし、痛々しすぎて見ていて辛くなっちゃったもの。

 

『どうしたの、Fairy?』

『いえ。サク様がアンドー、グレース両名の異変を解決することに対して肯定的だったため、意外だと感じていたのです』

 

 俺が異変を戻すことに前向きなのが違和感? Fairyの言っていることが掴めずにいるとアキラはなんとなく理解したらしい。流石パエトーン。

 

『確かに。言い方は悪いけれど、今の二人の方がサクにとっては害がない。だから元に戻すことをもっと躊躇うんじゃないか、と思っていたわけか』

『肯定。サク様が通常状態のお二人と会う際は、必ず青汁を一気飲みしたような顔になります』

「えっそんなに?」

 

 確かに店に兄弟とか入ってきたら身構えてはいたけど、表情にも思い切り出てしまっていたようだ。いち従業員としては客を区別するのは良くないんだろうけど、警戒しないと店のボンプが神隠しにあっちゃうんだもん。だからこれはグレースさんが悪い。

 

「そもそも異変を解決する訓練なんだし、クリアして早く出たいからなー。……それに」

『それに?』

 

 燃え尽きたあの二人の姿には、ちょっと胸が痛くなったのもある。

 

 

 

「……生きがいなくただ生きるだけって、辛いしな」

『サク……』

 

 

 

 あれ、なんか空気重くなっちゃった。まあいいか、さっさと異変を解決して終わらせよう。




 ちょっとパロネタが多めになりました。遅れた理由にポケモンZAも追加です。

 最初はグレースよりも長身でスタイル抜群になった社長とかも浮かんだのですが、収拾がつけづらそうなので無しになりました。



 何となーく本家での登場順で出していますが、実はヴィクトリア家政のほうがネタ既に固まっているんですよね……。
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