「ミートフリーマンデー」をご存じだろうか。月曜日は肉を食べずに過ごそうと、あのビートルズのポール・マッカートニーが呼びかけ、世界で広がっている活動のことだ。日本でも、SNSで芸能人が発信するのを見かけるようになり、「ゆるベジタリアン」と呼ばれる層も生まれている。背景にあるのは、地球温暖化への懸念だ。コロナ禍が明け、日本に比べて「脱肉=ミートフリー」が進んでいる海外からの旅行客も一気に増えている今、飲食店側はどう対応すべきか。多様な食のありかたのアドバイザーとして活動している守護彰浩さん(フードダイバーシティ代表)に、ニーズが高まる「ベジ対応」について聞いた。
人ごとではない「地球温暖化」。ミートフリーを意識する若者
毎週月曜日は肉食を控えようと、「ミートフリーマンデー」を呼びかけたのは、ビートルズのポールマッカートニー。ベジタリアンを1人増やすより、週に1回みんなで肉食を控えるほうが、地球環境によいからというのが提唱の理由という。
活動は世界中に広がり、国内でも芸能人がSNSでミートフリーマンデーの活動を投稿するケースが増えてきた。「特に支持しているのは、10代〜30代の若い層」と話すのは、フードダイバーシティ代表で、飲食店向けに食の多様なあり方をアドバイスする守護彰浩さんだ。
「若い人の間で脱肉、ミートフリーが進んでいるのは、これからの人生が長く、地球温暖化問題と向き合う時間も長いからです。地球から出る温室効果ガスの16%は、畜産の牛や豚、鶏が排出しています。そこから、肉食そのものを減らすことで自分たちの未来を守ろうという意識が高まっています」(守護さん)
経済的に無視できない世界のZ世代の食行動
日本では少子高齢化で若者が少なく、Z世代(1990年代後半から2012年頃に生まれた世代で、現在10歳〜25歳前後)の比率は全体から見れば低い。しかし、世界では圧倒的にこの世代が多く、社会での声のボリュームも大きい。これからの消費経済を支える存在として、彼らの食に対する意見は無視できないものとなっているのだ。
環境に配慮した食の政策をとらなければ、若者の票を取れないこともあり、政策としてミートフリーに取り組む国も出てきている。
「たとえばフィンランドのヘルシンキでは、市が関わる公共のイベントやお祭りでは、肉の使用をやめています。海抜上昇を懸念するオランダの一部都市でも、肉を食べたくなるような広告は禁止です」(守護さん)
6種に分かれるベジタリアン
言われてみればたしかに、周りでもベジタリアンを公言する人は増えてきた。では、実際にベジタリアンはどのぐらいいるのだろうか。観光庁が発表しているデータによると、日本は約4%。最も多いのはインドで28%だが、これは宗教による部分が大きいという。
「環境を配慮してのベジタリアン化は、ドイツやカナダなど環境意識の高い国で目立ちます。イタリアでも、若い人では脱肉、脱チーズのベジタリアンが増えています」(守護さん)
ここでベジタリアンの定義を整理しよう。現在、ベジタリアンは、宗教や動物愛護、環境保護、健康志向などを背景に、何を食べるか、食べないかで下の表の6種に分類されている。ヴィーガンは肉、魚、乳製品、卵がダメ。ラクトベジタリアンは、乳製品はOKだが卵はダメなど、細かく分かれているのが特徴だ。
だが、実際はこのくくりではないベジ志向が最近は多いという。「完全にベジタリアンになるのではなく、週3日だけベジタリアン、または自宅ではベジタリアンだが外では普通に食べる層が増えていて、『ゆるベジタリアン』と呼ばれています」(守護さん)。