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230 再びのバルボラ


『久しぶりのバルボラだな』

「ん」


 とは言え、町の様子にはほとんど変わりがない。まあ、久しぶりと言っても一ヶ月程度だからな。


 邪人が暴れたせいで、壊された家や施設も結構あったはずだが、それももう修復されているな。一見すると、あんな騒ぎがあった様には見えなかった。

『まずは知り合いに顔を見せに行くか』

「ん」


 最初に向かったのは、一番近い料理ギルドだ。審査員の爺さんはいるかな? そう思っていたんだが、今日はいないらしい。


 帰ろうかと思ったら、受付の女性に声をかけられた。


「あの、フラン様、少々よろしいでしょうか?」

「ん?」

「実は、フラン様と師匠様のランクアップ条件が満たされておりますので、ギルドカードの更新をしたいのですが」


 そう言えば料理ギルドに登録してたな。料理コンテストに出場する為に登録しただけだったから、すっかり忘れていた。


 でも、俺たち何もしてないぜ? コンテストの順位とかでランクアップできるのであれば、前回バルボラにいた時にランクアップの話が出てただろうし。


「何で?」

「はい。お二方が広めて下さった、カレーのレシピが現在爆発的な広がりを見せております。このまま行けば、すぐに国内全土に広がるでしょう」


 それは嬉しいな。カレーがどこに行っても食べられるようになれば、フランも喜ぶだろうし。


「経済的、文化的な功績を鑑みて、お二方のランクをシルバーへと昇格させていただくことが決定しております」


 と言う事で、フランが二人分の料理ギルドカードを出すと、既に用意してあった銀色の縁取りのカードに交換してもらえた。


 料理ギルドのカードはアナログと言うか、魔術的な要素が一切ないんだな。冒険者ギルドのカードが特別なんだろうが。


「この町で商売をする時など、料理ギルドからの支援を受けられますので」

「ん。わかった」


 まあ、俺たちには必要ないが……。


「ただですね、長期間目立った活動が無かったり、一定期間更新が無い場合、ランクが下がってしまう場合がありますのでご注意ください」


 ほほう。それは聞き捨てならないぞ。別に料理ギルドのランクが下がっても特に問題ないんだけどさ。せっかく上がったのに、下がっちゃうのはなんだか悔しいぞ。


(師匠、どうする?)

『うーん、そうだな。何かレシピを渡しておくか』


 カレーみたいに珍しいレシピなら、功績としてカウントしてもらえるかもしれないし。さて、どんなレシピが良いかね?


『フランは、何が良いと思う?』


 フランが好きな食べ物のレシピを渡せば、間違いないだろう。こっちの世界の人間の口にも合うってことだし。


(んー。カツ丼?)

『なるほど、カツ丼か』


 この世界じゃ珍しい揚げ物を、さらに卵でとじる料理だ。しかも醤油などの、珍しい調味料も使うし。少なくともバルボラで似た料理を見たことはない。


 と言う事で、俺たちはカツ丼のレシピを料理ギルドに提出することにした。これならカツの中身や、味付けで色々とアレンジも利くし、カレーと同じ様に広まってくれればいいな。


 受付の女性にもらったレシピ提出用の書類に、フランが記入していく。


「これは……凄いですね。本当に新しいですし、アレンジの幅も感じられます。さすがです。これもフラン様と師匠さんの連名での提出と言う事でよろしいですか?」

「ん。お願い」

「では、受理いたしました。早速公開させていただきますね。多分、このレシピも引く手数多となるでしょうね」

「そう?」

「はい。何せ、お2人にはカレーと言う素晴らしい功績がありますから。その新しいレシピともなれば、多くの料理人が求めるはずです。あっと言う間にバルボラ中に広まってしまうかもしれませんよ?」


 だったらいいな。これは教えてはいないけど、想像力のある料理人だったらカツカレーとかも生み出すかもしれん。


 俺たちは満面の笑顔の受付さんに見送られ、料理ギルドを後にした。


『さて、結構時間を取られたけど、次はどうする?』

「孤児院?」

『そうだな。一回様子を見に行くか』


 アマンダが介入したとはいえ、その後どうなったのか自分たちの眼では確認できていないからな。


 そして、孤児院を見た俺たちは驚きのあまり固まってしまった。孤児院は、外見から大きく様変わりしていたのだ。


 以前はボロボロだった外観が綺麗に変わっている。建物だけではなく、外壁も塗り直され、庭には大きな花壇まであった。


「あー、ウルシちゃんだ!」

「冒険者のねーちゃん!」


 良かった、子供たちは変わっていない。いや、着ている物が少しマシになったかな? 小ざっぱりとしていて、みすぼらしさなんか全然感じさせないぞ。さすがアマンダ。


 というか、フランやウルシのことを覚えていてくれたか。子供たちがワラワラと出て来て、フランに群がってくる。


「あら、フランさん!」

「イオ」


 子供たちの騒ぎを聞きつけて孤児院の中から出てきたのは、イオさんだった。凄腕の料理人にして、子供たちの優しいお姉さんだ。


「あの時は本当にありがとうございました。おかげで、孤児院の経営も大分良くなり、子供たちにも笑顔が増えました」


 深々と頭を下げてくれるイオさんだったが、俺たちは大したことをしてない。孤児院を救ったのはアマンダだ。


「いえ、アマンダ様から聞きました。フランさんがあの方に孤児院の窮状を訴えて下さったのだと」

「でも、それだけ」

「それに、頂いたカレーのレシピも子供たちに大好評で。今では週に一度のカレーの日を、皆楽しみにしてるんですよ」

「イオ先生のカレー、好き!」

「超美味しいんだぜ!」


 クズ野菜だけで超絶品スープを作り出すイオさんだ。アマンダによって良い食材を使えるようになった彼女が、どんな料理を作っているのか興味があるな。


 話を聞いてみると、明日がカレーの日らしい。頼んだら、フランとウルシの分も用意してもらえることになった。これは楽しみだ。


「じゃあ、また明日来る」

「はい、お待ちしております」

「またねー!」

「ばいばいウルシちゃん!」


 さて、次はどうするか。ルシール商会は船を探すときに行くし。他の知り合いは冒険者ばかりで、彼らはまだウルムットにいるだろう。


『じゃあ、爺さんを探しに行くか』

「ん、そうする」


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― 新着の感想 ―
Será que o sensei vai ler meu comentário. Sou brasileiro e uso o tradutor pra ler a novel. Porém não…
誰が醤油をもたらしたのか ガルムは臭いし別物だし
[気になる点] 醤油ってもともとあったんかな?
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