「外国人が増えると犯罪増える」は根拠なし 知事会が国民向け宣言案
全国知事会は11日、外国人の受け入れなどに関するプロジェクトチーム(リーダー=鈴木康友・静岡県知事)の会合を開き、多文化共生社会の実現に向けた共同宣言案をまとめた。外国人の受け入れが増える中、「外国人が増えると犯罪が増える」といった根拠がない情報がSNSで見受けられると指摘し、国民の不安を払拭(ふっしょく)するよう国に正確な情報発信を求めるものだ。26日に開く全国知事会議で正式決定する。
知事会ではこれまで外国人の受け入れに関する基本戦略のとりまとめや多文化共生施策の基本法の制定、司令塔組織の設置を国に要望してきた。
今回の共同宣言は「多文化共生社会の実現を目指す全国知事の共同宣言(案)」と題し、国民に向けたメッセージという位置づけだ。
排他主義・排外主義を「強く否定」
共同宣言は三つの柱からなる。一つ目の「多文化共生の推進」では「日本人と外国人が共に地域社会を築くための多文化共生施策」を推進すると掲げ、「事実やデータに基づかない情報による排他主義・排外主義を強く否定します」と宣言。「感覚的に論じることなく、現実的な根拠と具体的な対策に基づく冷静な議論」を進めるとしている。
また、「ルールに基づく共生と安心の確保」を掲げ、多文化共生は「無秩序な外国人の受け入れや優遇を意味するものではない」と主張し、外国人がルールを適切に把握できるよう、ごみ出しや騒音なども含めた情報発信や相談に努めることや、日本語学習の支援などを進めるとしている。
さらに、「正確で積極的な情報発信」では、人口減少が進む中、製造業やサービス業、建設業だけでなく、医療・介護・福祉分野を担う人材として、外国人が「地域の一員としてなくてはならない存在」になっていると指摘。在留外国人が増加する中で、外国人の刑法犯の検挙件数が減少傾向にあることを挙げ、国民の不安を払拭し、国民が正確な情報に基づいて議論できるよう情報発信を働きかけている。
全国知事会は7月末に開いた会議で、外国人は「地方自治体から見れば日本人と同じ『生活者』であり『地域住民』である」として、外国人の受け入れ環境整備を国に求める提言をまとめた。
ただ、7月の参院選では外国人の流入規制強化を求めた参政党が躍進したことなどから、外国人増加に対する不安が高まっているとして、知事会としてメッセージを発信するべきだという意見が出ていた。
鈴木氏「不安払拭にはファクトが必要」
「われわれ47都道府県知事…
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- 【視点】
外国人に対する否定的な情報が目立つ昨今、全国自治体による建設的な取組みを伝える記事である。 残念ながら、SNSでは「外国人が増えると犯罪が増える」といった根拠のない情報が拡散している。参院選では、こういったデマに対して、市民団体やメディア
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