「1人入会で10万円の儲け」なのに借金250万円で廃業…アプリの台頭だけじゃない「潰れる結婚相談所」の実態
■結婚相談所に求められる信頼性と専門性 事例でもある通り、今後、事業者には2つの要素が必要となります。それが「信頼性」と「専門性」です。 結婚という人生の重要な決断を支援する以上、信頼性の確保は不可欠です。単なる知名度や広告露出ではなく、個人情報の適切な管理や具体的な取り組み、そして利用者の口コミや評判も、信頼性を測る重要な指標です。 一方で、画一的なアドバイスでは顧客満足を得られなくなった現在、一人ひとりの状況に応じた個別対応力が求められています。これには心理学的知識、コミュニケーションスキル、データ分析能力など、幅広い専門知識が必要です。さらに、AIやデータ分析を活用した科学的なマッチング手法、デジタルツールを使った効率的な顧客管理など、技術的な専門性も重要度を増しています。 しかし、高い専門性を持っていても信頼関係がなければ顧客は離れます。逆に信頼されていても専門性が不足していれば、結果を出すことはできません。今後の結婚相談所運営では、この両方が不可欠です。 ■婚活業界は転換期を迎えている 結婚相談所業界で起きている変化を俯瞰すると、これは多くの業界が経験してきた「成長期から成熟期への移行」の典型的なパターンです。しかし、この業界には他とは異なる独特な特徴があります。 例えば、2000年代のIT業界では、技術的専門性の向上が主な差別化要因でした。美容業界では、技術力とサービス品質が重要な要素です。しかし結婚相談所業界では、「信頼性」と「専門性」の両方が同時に、かつ高いレベルで求められるという特殊性があります。これは扱う商材が「人生の重要な決断」であるためです。専門性だけでは顧客の不安を解消できず、信頼性だけでは結果を出すことができません。 近年では、大手や異業種の参入により選択肢が増え、競争激化によって各社のサービス品質は向上し、透明性も高まっています。結婚相談所を「簡単に開業できる」時代の終焉は、お客様にとって「質の高いサービスが受けられる」時代の始まりを意味します。 しかし、この「質の向上」には、避けられないトレードオフがあります。専門性を高めるほど人件費がかさみ、入会金や月会費といった利用料金は高額化していきます。質を上げれば上げるほど、大衆化から遠のく――これが、業界が抱える構造的なジレンマです。 結婚相談所が本当の意味で社会の婚活インフラとなるためには、専門性を維持しながらお客様に納得いただける価格を実現する新しいビジネスモデルの登場が必要です。 業界が大きく変わりつつある今、その答えが出る日は、そう遠くないのかもしれません。 ---------- 平田 恵(ひらた・めぐみ) タメニー株式会社広報 立命館大学卒業。新卒で人材派遣会社に入社し、入社後わずか7カ月で課長に昇進。その後約5年間、高校野球のリポーターなどフリーランスとして様々なメディアの現場を経験。再び人材業界の勤務を経て、2016年9月にタメニー株式会社(旧株式会社パートナーエージェント)に未経験広報として入社。2019年8月に人事部マネジャーへ異動(広報も兼任)、2020年10月からグループ広報の立ち上げをひとりで行う。2023年第一子を出産し、産後8週で仕事へ復帰。結婚式や婚活のプロとして数多くのメディアへ出演中。 ----------
タメニー株式会社広報 平田 恵