京都殺人案内12

今日は迷路荘の方はお休みして、音川はんの12。
 
 
撮影所の女をさぐれ!
 
流れ橋のたもとに駐車してあった車の中から、男の死体が発見される。
被害者は荒物店の店主・所克己。
免許証の類は所持していなかったが、車の車検証から身元が割れた。
死亡推定時刻は6時から7時の間で、絞殺だった。
 
同じ夜、嵯峨野の竹林で別の男の死体が発見される。
こちらの被害者も身元を証明できるような物は何も持っておらず、どこの誰ともわからない。
死因は撲殺で、死亡推定時刻は8時半から9時半の間だった。
解剖で、2人とも同じ睡眠薬が検出されたことから、同一犯による連続殺人だと断定される。
 
イメージ 1所の妻によれば、所は何者かによって電話で呼び出されたと言う。
「せっかく作った晩御飯もいらん言うて、背広にまで着替えて」
「電話の様子から、どんな人物か見当はつきませんかな?」
「いいえ・・・でも私は、女や思います。 あの人、だらしないから」
 
 
 
 
翌日、嵯峨野の被害者の身元が割れる。
理髪店の店主・牛島直也で、所とは遊び仲間だった。
牛島の妻から、2人が荒沢というスナックを経営者とよくつるんでいたという情報を得た音川は、早速荒沢のスナック・海猫に向かう。
 
海猫のドアを何度叩いても、何の応答もない。
だが、中に人の気配を感じた音川は、部下の山田に見張りを命じる。
 
数分後、大きな荷物を抱えたカップルが海猫から出て来た。
山田は男の方のあとを追う。
 
イメージ 3男は、海猫のバーテン・石狩良治(北野誠)。
所、牛島、荒波の3人は、無修正のポルノビデオを制作しており、石狩はビデオの男優を勤めていた。
所と牛島が殺されたことを知り、ポルノのことが警察にバレるのを恐れた石狩は、すぐに荒波に連絡を取ろうとしたが、居所がつかめないので、とりあえず店に隠してある大量のビデオを自宅に持ち帰ろうとしたと言う。
「お前、えらいいい思いしてるやないか。 相手役の女は誰や?」
「知りまへん。 ころころ変わるさかい、知りまへん」
「相手の女の名前もわからんと、ややこしいことするんか?」
「芸名ですさかいに。 桃子とか明菜とか」
 
石狩が海猫から持ちだそうとしたビデオを見た音川は、自分の目を疑う。
主演女優が、洋子の大学の後輩・瀬川真紀(渡辺祐子)だったからだ。
「この女ですよ、さっき海猫から石狩と一緒に出て来た女は」
「間違いないか?」
「はい」
 
洋子から、真紀が旅立ちというお好み焼屋の娘だと聞きだした音川は、その夜店の様子を見に行って、偶然秋山課長と出くわす。
真紀の母親・絹代(中原ひとみ)は近所でも評判の美人で、秋山は絹代目当てにちょくちょく旅立ちを利用していたのだ。
 
イメージ 4「音やん、ここのおかみさんな、絹代はんいうて、まだ1人もんや。 おまはんもそろそろ身ぃ固めるつもりやったら、わしが思い切って譲ったるけどな」
「ありがとうございます」
「あ、やっぱりあかんわ。 絹代はんはな、気高いお人や。 男なんぞには目もくれん、敬虔なクリスチャンや」
「いややわ、秋山さんたら。 こんなおばさんつかまえて・・・」
 
 
そこへ、真紀が帰って来る。
真紀は近所のアパートで1人暮らしをしているが、時々こうやって母に顔を見せに来るという。
音川が来ていることに気付いた真紀は、慌てたように店を出て行ってしまう。
 
イメージ 5「あなたに伺いたいことがあるんですがね。 ビデオの件で。 話の内容次第ではあなたに警察に来ていただいて、正式に事情聴取をせなならんのです」
真紀を捕まえた音川は、ポルノビデオに出演することになったいきさつを訪ねる。
「京都映画祭があって、その流れでたまたま海猫に行ったんです・・・」
数ヶ月前、映画同好会の仲間と海猫に立ち寄った真紀は、マスターの荒沢、常連客の所、牛島と映画の話で意気投合し、以来1人で時々飲みに行くようになった。
ある晩、泥酔して店で眠り込んでしまった真紀は、3人にかわるがわる犯され、その模様をビデオに撮られてしまう。
3人はビデオをネタに真紀を脅迫。
裏ビデオに無理矢理出演させられてしまったという。
「そうですか。 よう話してくれました」
「全部話したんでホッとしました」
 
翌朝早く、真紀が自殺を図ったとの連絡が入る。
発見が早かったため一命は取り留めたものの、妊娠していることが発覚する。
 
発見したのは、ボーイフレンドの草森伸一(新田純一)。
草森は、真紀の自殺の原因は自分と別れたからではないかと言う。
 
イメージ 6「別れたって、真紀さん妊娠してるやないですか」
「・・・僕の子じゃないんです。 そのことで、夕べ言い争いになったんです」
真紀が妊娠していることに気付いた草森は、昨夜真紀のアパートを訪ねて、相手は誰だと問い詰めた。
すると真紀は、話の途中でビデオをセットし始めた。
大切な話をしているのにビデオを見るとは何事だと激怒した草森は、そのまま部屋を飛び出したものの、やはり気になって戻ってみると、手首を切った真紀がベッドの上に横たわっていたと言う。
「そうですか、ビデオをかけようとしたんですか・・・」
真紀は裏ビデオを見せることで自分の秘密を草森に打ち明けようとしたのだ。
 
翌日、伊豆の七滝の滝坪で、荒沢の死体が発見される。
死因は崖から転落したことによる全身打撲だが、体内からまたもや睡眠薬が検出される。
荒沢が所と牛島を殺し、逃亡を図っているものだとばかり思っていた音川だが、もしこれが自殺ではないとすると、所・牛島殺しの犯人は別にいるということになる。
 
京都に戻ると、新たな情報が待ち受けていた。
荒沢・所・牛島の3人は、単なる飲み屋のマスターと常連客という間柄ではなく、若かりし頃、京都撮影所で映画の制作に関わっていたスタッフ仲間だった。
 
イメージ 7「あいつらのことならよう知ってますわ。 一緒に働いていた仲ですから」
撮影所を訪れた音川は、古くから働いているベテランスタッフに話を聞く。
「いつかこんなことになるやろ思うてました。 何たってクビになった連中ですさかい。 金はちょろまかすわ女はたらしこむわ博打は打つわ、悪ガキですわ」
「どんな仕事をしてたんですか?」
「所は撮影助手、牛島は照明助手、荒沢は助監督についてました」
 
3人が制作に関わった古い時代劇『鞍馬天狗』を見せてもらった音川は、映画が今回の3つの殺人の舞台となった流れ橋、嵯峨野、大滝で撮影されていることに気付く。
とすると、この連続殺人の犯人は、『鞍馬天狗』の関係者ということになる。
 
翌日、真紀の見舞いに訪れた音川は、真紀と絹代の言い争いを聞いてしまう。
 
イメージ 8「帰って!」
「うちはお前と一緒に住みたいから、わざわざ神戸の店を畳んで出て来たんよ」
「そんなのお母ちゃんの勝手や」
「何も1人でアパート暮しなんかせんかて・・・」
「約束やないの、大学入ったら1人で暮らすって。お母ちゃんがいつまでも隠すからこういうことになるんよ。 私が誰の子なのか、きちんと知っておきたいだけやのに」
「あんたは間違いなくお母ちゃんの子。 それでええやないの」
「いつだってその答えなんやから。 お母ちゃんは卑怯や!」
父親のわからない子を妊娠している真紀もまた、母親の私生児だった。
音川は、真紀の出生が事件に関係しているのではないかと直感する。
 
真紀が生まれたのは、『鞍馬天狗』が撮影されたのと同じ昭和39年。
この偶然に引っかかりを感じた音川は、再び撮影所を訪れて『鞍馬天狗』を見せてもらう。
 
イメージ 9音川は、鞍馬天狗に助けられる村娘たちの中に、若かりし頃の絹代の姿を見つける。
絹代も、この映画の撮影に参加していたのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
伊豆へ戻った音川は、『鞍馬天狗』の撮影隊の、昭和39年当時の立ち回り先を訪ね歩く。
その結果、撮影隊が利用した旅館に、撮影隊の中の誰かが残して行った忘れ物を未だに預かっていることがわかる。
それは小さな十字架のネックレスで、大滝前の露天風呂に落ちていたのを、従業員が拾って大切に保管していたものだった。
音川は、『絹代さんは敬虔なクリスチャンだ』という秋山の言葉を思い出し、このネックレスを落としたのは絹代に違いないと確信する。
 
イメージ 10「瀬川絹代を引っ張りたいんですが」
翌朝、捜査本部に出勤した音川は、秋山に絹代が犯人であることを告げる。
「何やて!?」
「瀬川絹代を、連続殺人の重要参考人として取り調べたいんです」
「そんなバカな! 音やんお前、あんな大人しいママを・・・」
「ほぼ、間違いおまへん」
 
 
 
連行された絹代は、初めから言い逃れをするつもりはなかったらしく、あっさりと犯行を自供する。
「真紀をもてあそんだ3人が憎くて、許せなくて。 悔やんだりはしていません。 真紀の母親として出来たことは、これしかありませんでした」
「犯行の動機は、ただ単に娘さんを思ってのことだと言うんですね?」
「当たり前です」
「動機が単純すぎますな。 もう1つ動機があるなら、話してくれませんかな。 情状酌量の材料になるんです」
「何も、ございません」
「ではなぜ、手間をかけて流れ橋、嵯峨野、大滝と、場所を変えて3人を殺害したんですかな?」
音川は伊豆の旅館で回収してきたネックレスを差し出す。
その途端、絹代はその場に泣き崩れてしまう。
 
「音川さんを信じてお話します。 このことは、死んでもあの子には話せないことなんです」
23年前、村娘役として伊豆大滝での撮影に参加した絹代は、露天風呂で入浴中に、酔って乱入してきた所、牛島、荒沢の3人組にかわるがわる犯されてしまい、運悪く妊娠してしまう。
クリスチャンである絹代は中絶することが出来ず、仕方なく出産。
こうして生まれたのが真紀だった。
 
数ヶ月前、絹代は偶然街で、ラブホテルから出て来るわが子を目撃する。
そして、その時真紀と一緒にいたのが、23年前に自分を犯したあの3人組と石狩良治だった。
3人の後を付けた絹代は、衝撃的な事実を知ってしまう。
イメージ 2『真紀の奴な、妊娠したらしいで。 良治が言うてたわ』
『何でぇな、ちゃんとピル渡しておったがな』
『違うがな、良治の子やないがな』
『ほな、誰の子や?』
『数えたらわかるがな』
『ほな、俺たちの子かいな』
『大丈夫や、君のは薄いわい』
『わっはっは!』
23年前に自分を犯した男たちが、今度は血のつながった娘をもてあそんでいる。
絹代は3人を殺すことを神に誓う。
 
まず、所を呼び出して睡眠薬を飲ませてから絞殺。
すぐに牛島を呼び出して、睡眠薬で眠らせてから撲殺。
最後に荒沢を呼び出して眠らせ、車で大滝まで運んで崖から突き落とした。
「音川さん、真紀の父親のことだけは、聞かなかったことにしていただけますか」
真紀の出生の秘密だけは公表したくないと言う絹代に、音川は伊豆から持ち帰ったネックレスを返す。
 
 
なんだかこの手の話はやるせないな。
こういう、女を性のはけ口としか見ていない男が、表では妻もいて子供もいたりするんだよな。
死んじまえばいいんだよ、もう。

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