Business Data CloudでSnowflakeと提携
SAPが掲げるアプリ、データ、AIのフライホイール構想において、データ領域でも重要な発表があった。SAPは「SAP Business Data Cloud(BDC)」において、Snowflakeとの提携を発表した。これは、10月の「SAP Connect」イベントで発表された「BDC Connect」を活用するもので、ETLを必要とせず、ゼロコピーでデータにアクセスできる仕組みである。今回の提携は、Databricks、Google BigQueryに続く第三弾となる。
Snowflakeの「Horizon」データカタログにアクセスし、BDC内で「Data Products」と呼ばれるビジネスデータセットと組み合わせることが可能となる。また、BDC Connectでの連携に加え、BDCのソリューション拡張としてSnowflakeの「AI Data Cloud」も利用可能となる。Snowflakeの製品担当上級副社長であるChristian Kleinerman氏は、動画内で「ガバナンス、相互運用性、セマンティックを維持しながら、用途に応じてコンピュートとストレージを選択できる」とその利点を説明した。
「SAP BDC Connect for Snowflake」は、2026年上半期にGAされる予定である。さらに、BDCではカスタムのData Productsのモデリングが可能となり、バージョニングなどの機能を備えた「SAP Data Products Studio」も発表された。
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データ領域ではこのほか、SAPのAIネイティブソフトウェアアーキテクチャーの中核を担う「SAP HANA Cloud」においても強化が加えられた。ナレッジグラフの拡張やTabular AIの統合が進められたほか、MCPのサポートも追加され、AIエージェントがSAP HANAの最新機能とシームレスに連携できるようになった。また、AIエージェントの精度向上に向けて、メモリー機能も新たに搭載された。
アプリケーション領域では、先述したSAP Buildの強化に加え、Advanced Business Application Programming(ABAP)によるAI支援開発の拡充も発表された。
さらに、SAPは5月の「SAP Sapphire」で言及していたフィジカルAIの進展についても報告した。「Project Embodied AI」として、物理ロボット企業との連携を進めており、NEURA Roboticsとの提携に加えて、ANYbotics、Humanoidなどのロボット企業とも協業を開始。ソリューションやインテグレーション面では、Capgemini、HCLTechなどとの提携も明らかにされた。基調講演では、Joule Agentsとロボットを連携させて部品を配達するデモンストレーションも披露された。
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また、将来的な取り組みとして、量子コンピューティングにも言及された。SAPはIBMと協力し、物流などの最適化が求められる分野で量子コンピューティングの活用を模索している。講演では、量子スイッチをオンにすることでトラックの積載最適化に必要な複雑な計算を行うユースケースが紹介された。Herzig氏は、「量子コンピューティングを従来のコンピューティングやAIと並ぶ計算手段として、企業の日常的なプロセスやアプリケーションに統合していく」と今後の展望を語った。
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(取材協力:SAPジャパン)