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米国に「暴力的衰退」の恐れ 歴史人口学者エマニュエル・トッド氏 nikkei.com/article/DGXZQO 米国の状況を悪化させたのはドルの覇権だ。成功をめざす優秀な若者は自動車や航空機産業でなくドルが湧き出す魔法の泉に近い金融や法律分野で働く。問題は米産業が外国産業でなく自国のドルと競っている点だ。このドルの地位ゆえトランプ氏の経済政策は失敗する。 ソ連の崩壊も西側の勝利だと誤解された。実際は崩壊に向かう米ソの両体制のうち、ソ連が先に崩壊しただけだ。だが勝ち誇った米国は2001年に中国を世界貿易機関(WTO)に迎え入れる自殺行為に出た 米貧困層の中核はもはや労働者ですらない。生産活動も行わずアジア製の安い製品を消費して生きつなぐ別の何かになった。古代ローマでエジプト産の穀物を配給されていた平民と同じだ 米国の衰退は長期の傾向で、私の関心事はむしろ衰退が平和裏に起きるか暴力的になるかだ。 ――現時点で、どちらだとみているのか。 乱暴な崩壊しか予想しにくい。内戦の可能性が指摘され、大統領は国内の民主党系の都市に部隊を派遣している。政権が国内外を区別できなくなるのは帝国崩壊時の典型的な現象だ。米国が『敗北の帝国』となれば同盟国への支配と搾取を強める可能性があり、日本も注意が必要だ プロテスタント主義には誰が救われるかは神が事前に定めているとする『予定説』がある。英国やその影響を受けた米国で経済格差が容認されやすい一因だ。貧困は神に救われない人の定めとの考えにもつながり、その意識が残る米社会の不幸に拍車をかけている 日本は明治時代、新興国として初めて西洋に対抗した。うまくいきすぎて西洋の植民地主義に染まり大戦に巻き込まれたが、多極化した世界で日本には特別な地位がある。それを生かす方策を真剣に考えるときだ 人口が急減する中国への過度な心配は不要だ。ともに人口が減る日中が通常戦争に備えるのは愚かだ。紛争に巻き込まれるのを避けるなら核の保有が有効だ。平和への唯一の賢い投資で、米軍には理解を示す幹部もいる。中国も沖縄からの米軍撤退を歓迎するかもしれない