金融庁は地方銀行が設立した投資専門子会社の規制を緩和する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。投資先の企業が業績を伸ばして株式上場した後も、出資を維持して引き続き株式を持てるようにする。地域経済振興を担う地元の新興企業育成が狙い。規制緩和でどのような未来が予測されるのか。

 現在、地銀の投資専門子会社が出資できる新興企業は、設立から20年未満で株式を上場していない中小の「ベンチャービジネス会社」に制限されている。

 株式を100%まで持てるが、出資先が株式を上場した場合は持っている株を全て売却しなければならない。これは銀行が特定の企業に過度に関与するのを防ぐとともに、銀行が本業に専念するようにする仕組みだ。

 しかし、新興ベンチャー企業が株式を上場しても、実際問題として投資家から資金が集まりにくい傾向があった。そこで、今の規制を緩和することにより、上場後も地銀の投資専門子会社が一定割合の株式を持てるようにすることで、新興ベンチャー企業の信用力が高まり、資金を集めやすくする。

 この規制緩和は、政府が年内に策定する「地域金融力強化プラン」に明記し、2026年夏までに銀行法に基づく規則を改正する予定だ。

 企業の資金調達としては、(1)自社の既存資産を基に資金調達する「アセット・ファイナンス」、(2)銀行借入や債券発行による「デット・ファイナンス」、(3)株式の発行による「エクイティ・ファイナンス」がある。

 ただし、(1)は資産の乏しいベンチャー企業の資金調達で使われることはほとんどない。今回の規制緩和で上場企業の信用力が高まり、(2)は期待できる。ただし、上場新興ベンチャー企業を本当に成長させるのは(3)である。(3)は(2)のような元利の返済義務がなく、株価上昇によって投資家に応えるものなので、大きなチャレンジにおける資金調達として主力になる。

 つまり、金融庁の思惑通りにいっても、株価の上昇につながらないと、結局地元の新興ベンチャー企業がうまくいかない。そこは、政府の各種の戦略投資が株価の上昇を後押ししてくれることを期待したいところだ。

 高市早苗政権では、17分野を重点投資対象とする新たな成長戦略を来年夏に策定する。そのために減価償却減税や民間投資の呼び水となる政府投資も行われるだろう。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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