SNSで根拠のない情報が拡散され選挙結果を左右する―民主主義の根幹である選挙の公正がデマによって損なわれる事態が広がっています。
先駆けとなったのが、2024年11月の兵庫県知事選での立花孝志・NHK党党首の言動です。斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などの内部告発が発端となった選挙で、立花氏は斎藤氏を応援し、内部告発をした元県幹部を誹謗(ひぼう)中傷し、デマを振りまきました。
その立花氏が9日、元兵庫県議で1月に自死した竹内英明氏への名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕されました。同容疑での逮捕は異例とされます。
■死にまで追いやる
立花氏は、知事の疑惑究明のための県議会百条委員会の委員にも選挙中に脅しをかけ、委員長を務める県議の自宅に同調者が押しかけました。委員の竹内氏に対しても「斎藤知事を追い落とす黒幕の一人」と攻撃、SNSで竹内氏への中傷が広がり、氏は死に追いやられました。
立花氏は竹内氏について「県警から取り調べを受けて…逮捕される予定だった」などと繰り返しSNSや街頭で発信。県警本部長が1月、県議会で立花氏の発言を明確に否定すると、誤りを認めましたが、6月に竹内氏の妻から告訴されると「これで白黒はっきりつく」と居直りました。
「言論の自由」を盾に人権を踏みにじることは許されません。デマで有権者を扇動したり、SNSで個人攻撃をあおる行為は、民主主義を破壊し、社会を分断します。
虚偽の発信、無責任な同調・拡散、攻撃の広がりは自由な言論を萎縮させるうえ、権力の介入を招きかねません。デマを許さない断固たる意思を社会全体が示すことが求められます。
その点で、自民党が参院でNHK党副党首の斉藤健一郎議員と統一会派を組んだことは、NHK党にお墨付きを与えるものです(11日に解消)。総裁としての高市早苗首相の責任も問われます。
見過ごせないのは維新の会の責任です。もともと、兵庫県知事選でデマの拡散を狙って真偽不明の怪文書や百条委を秘密裏に録音した音声を立花氏に渡し竹内氏らを攻撃させたのは維新の3県議です。
維新は1人を除名、2人を離党勧告としましたが、音声を渡した県議は「県民の知る権利を確保するためだった」と開き直り、吉村洋文代表は「ルール違反」としながら「思いは分からなくはない」と擁護しました。
■ネットの攻撃扇動
藤田文武共同代表は今回、「しんぶん赤旗」日曜版に「身内への公金還流」疑惑を追及され、取材記者の名刺をSNSにさらしました。記者への威嚇とプライバシーの侵害です。SNSを通じて個人への攻撃を扇動する意図と言わざるを得ません。実際に記者を脅す書き込みがされています。その点で、立花氏のやり方と似通うものがあります。
自分と意見が合わないからと個人攻撃をあおり人権を侵害することは許されません。
NHK党に限らず、外国人排斥にも見られるように、根拠のない情報の発信、ことに公人である政治家の発信は重大であり、厳に慎むべきです。