原発被災地に研究者500人、国が描く「壮大」な復興計画 地元は…
東京電力福島第一原発事故の被災地に、ロボットや航空宇宙など先端分野の新産業をおこす――。5千億円以上の関連予算をかけた国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」(イノベ構想)が始まって11年。関連企業の立地が進む一方、人口は戻っていない。活路を見いだしたい国は、さらに500人規模の研究者が働く研究施設を造り、成果を産業化につなげるという壮大な計画を打ち出した。2030年度までの本格稼働をめざすが、地元住民の機運は高まっていない。
11年、世界最悪クラスの事故を起こした福島第一原発から北に約20キロ。東日本大震災の津波で大きな被害を受けた福島県南相馬市の沿岸部に、東京ドーム約10個分の敷地が広がる。
ドローンやロボットの一大実証拠点、20年にオープン
タンクやパイプなどが所狭しと設置された模擬プラント、トンネル、滑走路、大水槽……。全部で21施設が並び、水没した市街地といった様々な災害環境を再現、ロボットやドローンを使った救助活動などの災害対応やインフラ点検の実証試験ができる。
「福島ロボットテストフィールド」(ロボテス)。県が国の補助金約140億円を使って20年に全面オープンした。
10月上旬には、ドローンやロボットの技術を競う国際大会があった。8カ国・地域から計34チームが参加。3位の好成績を収めたのが、地元企業でつくる「南相馬ロボット産業協議会」と会津大学の合同チームだった。
開発の中心を担ったベンチャー企業「クフウシヤ」(本社・神奈川県)は、19年にロボテス内に進出。大西威一郎社長(47)は「ここまでそろった実験施設は全国でここだけ」と語る。
ロボテスは、14年に取りまとめられたイノベ構想で生まれた拠点の一つ。ほかに沿岸部には廃炉や再生可能エネルギー、農林水産などに関する研究施設や発電所が10以上できた。最大50億円を補助する経済産業省の補助金などを背景に、県によると、400件超の企業が進出し約5千人の雇用が創出されたという。福島県は国の交付金を活用し、25年度までの8年間で約5千億円の関連予算を計上した。
原発に近い4町、居住者戻らず 震災前の3%の自治体も
ただ、地元の首長は「避難指示解除が遅かったエリアなどでの効果は限定的だ」と指摘する。
福島県統計年鑑によると、原発に近く、人が住めるようになったのが17~22年と遅かった4町(浪江、富岡、大熊、双葉)は、事業所数の震災前からの回復率は1割(21年時点)ほど。また、県内には今も放射線量が高いとして居住できないエリア(帰還困難区域)が7市町村に残るが、4町は居住者もほとんど戻っていない。
国は、更なる一手を繰り出した。
■研究成果を新産業へ 国がも…
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- 【視点】
様々な条件を踏まえた上で、福島イノベーション・コーストが日本のデュアルユース(軍民両用)研究拠点になるのではないかと推測する人は少なくない。既に、その種の用途に転用可能な技術として需要の高いロボット・ドローン企業がこの地域に集中を見せている
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