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184 ダンジョンの結界

 ランクアップの翌日から、俺たちはダンジョンに潜って修行をしていた。武闘大会までに少しでも強くなるためだ。


 剣王術の習熟や、新たに得た次元魔術に慣れるために、様々な制限を自らに課して戦い続ける。そして、魔石値を溜めてあわよくばランクアップをするのだ。


 因みに修行以外で強化の方法がないか考えた結果、ダンジョンの前にギルドに行ってみた。職業を変更できないか確認するためだ。


 剣王術を習得したおかげで、職業を剣王に変更できないかと思ったんだが……。残念ながら剣王は解放されていなかった。増えていたのは鍛冶関係が幾つかと、氷雪術師や溶鉄術師などの上位魔術職、あとは修行の成果なのか隠密や斥候関係が少し表示されていた。なので、フランの職業はまだ魔導戦士のままだ。


 改めてダンジョンに潜ると、再びその様子が変わっていた。もう邪人は出ないようで、最初に入った頃と同じ様な魔獣の構成だったのだ。ルミナが元に戻したんだろうな。


 少しずつ階層を下り、修行を続ける。


 武闘大会の1次予選は4日後。それまでには戻らなくてはならないが、宿の部屋や、町の外など、幾つかの場所にビーコンを設置してきたので、戻るのは簡単だ。なのでギリギリまではダンジョンで戦うつもりである。


 その前にルミナの部屋に行くつもりだけどね。ビーコンを設置させてもらうためだ。


 色々実験して分かったが、ビーコンは8個までしか設置できなかった。9個目を仕掛けると、1つ目が消えてしまうのだ。それに、ビーコンを感じ取れる最大距離が10kmくらいである。なので、跳躍の飛距離はそれ以上延ばすことができなかった。10kmも離れた場所にどうやってビーコンを仕掛けたかって? ビーコンを仕掛けた石をウルシに咥えさせて町から離れる様に走らせたのだ。そうやって感じ取れるギリギリを探った結果が、10kmという数値である。


 しかも、消費魔力が半端ない。普通に開くには100程度で済むが、ビーコンを使って最大距離のゲートを開こうと思ったら500以上の魔力を消費してしまう様だった。

  

 この術があれば、バルボラやアレッサに簡単に戻れると思ったんだがな。そう上手くはいかないようだ。いや、間に複数のビーコンを設置して連続で跳べば、バルボラへの移動時間を短縮することはできるかね? まあ、ルミナの部屋に跳ぶには1つで十分だ。


 俺たちは1日かけて、ダンジョンを踏破した。もう三度目だし、罠も完全に頭に入っている。正直、ほとんど苦戦しなかったな。



 俺たちが部屋を訪れると、前回とは全然違う雰囲気のルミナが出迎えてくれた。


 表情も明るいし、何故か少しだけ黒くなっていた肌も元通りの白い肌に戻っている。目にも生気が戻って、元気になったようで良かった。


「よく来たな。今日はどうした?」

「お願いがあって来た」

『実はな――』


 俺がビーコンと言う術を覚えたこと。その術があればこの場所に簡単に来れるかもしれないことを説明し、設置させてもらえるように頼む。


「それは別に構わん。むしろお願いしたいくらいだが――」

『だが?』

「いや、やってみればよい。危険なことはないからな」


 なんか含みのある言い方だな。まあ、危険じゃないって断言してくれてるし、まずは試してみるとしよう。


『ビーコン』


 とりあえず、部屋の端の床にビーコンを仕掛ける。これで、外からでもこの場所にゲートを開けるはずだ。


『じゃあ、一回上に戻るぞ』

「ん」


 俺たちは一度14階層に戻った。そして、ディメンジョン・ゲートを発動しようとしたんだが――駄目だった。いや、発動はしたが、ゲートは開かず魔力は雲散霧消してしまった。


 ビーコンの気配は感じられるし、今居たばかりの場所だ。記憶も鮮明である。条件としては、絶対に失敗するはずはない。


 だが、何度か試しても、魔力を消費するだけでゲートは開かなかった。


「ダメ?」

『ああ。何かが邪魔してるみたいだな』


 多分だが、結界の様な物がある。俺が失敗しているというよりは、何かに邪魔されてかき消されている様な感じだった。前にリンフォードの結界に閉じ込められた時の感覚に近いのだ。肝心の結界を感知することはできないけどね。


 戻ってルミナに聞いてみると、やはりと言う感じで頷いていた。


「女神の守護は破れなかったか」


 その言葉で何となく分かった。考えてみたら、結界の様な物は当たり前だろう。


 ダンジョンを攻略するのは非常に大変なことだ。ランクDのダンジョンでさえ、死人が多数出る。高位の冒険者であっても、苦手な魔獣や、危険な罠によって命を落とすこともあるだろう。


 そんなダンジョンを最も楽に攻略できる方法とは? 探知能力を限界まで上げる? バランスの良いパーティを組む? ポーションなどを持ち込んで死なないように注意する?


 いや、どれも違う。最も楽な方法は、外部からダンジョンに入らずに攻略してしまうことだ。


 転移魔術などでコアルームに跳んでコアを破壊したり、超絶攻撃力を持った魔術で外からコアルームを攻撃したりと、幾つかの方法が考えられるだろう。


 これは決して非現実的な手段ではない。実際、次元魔術をカンストさせた上で魔道具の補助でもあれば、コアルームへの直接転移は距離的には不可能ではないだろう。


 それに神剣の様な常識を超えた神器も存在する。先日ルミナに見せてもらった神剣一覧の中に、核撃剣メルトダウンという名前があった。もう存在してはいないものの、名前からして確実に大量破壊兵器だろう。


 そういった脅威からダンジョンを守るため、何らかの守りが存在していてもおかしくはなかった。ダンジョンというのは神が人類に課した試練らしいし、ズルできない様になっているんだろう。


 これだけ感知してその存在を感じ取れないのも、神の張った結界であれば納得だ。


「部屋の外で試す」

『とは言え、ボス部屋だと戦闘で破壊されるかもしれん』


 上の階層だとゲートを冒険者に目撃される可能性もあるし。


「要は、お主らの魔術を阻害しなければ良いのだろう?」

「ん」

「ならば、ちょっと待っておれ」


 そう言って、ルミナが何やら奥に引っ込んだ。数分後。ゴゴゴゴという振動音が聞こえてくる。


 そして、俺たちの目の前で壁に穴が開いていったのだった。穴を覗くと、長い通路が先まで続いている。


「待たせたな。この通路の先の部屋は、こことは違いコアルーム扱いではない。転移も出来るだろう」


 どうやらルミナがダンジョンマスターの能力を使って、新たに部屋を作り出してくれたらしい。いやー、ちょっと待ってろで部屋作っちゃうんだから、ダンジョンマスターはさすがスケールがでかいな。


「ありがとう」

「さっきも言ったが、こちらからお願いしたいくらいだからな。気にせんでよい」


 再び実験をすると、ルミナの言う通り問題なくゲートを開くことが出来た。今の宿はダンジョンに近いし、このビーコンがあればこっそりと、そして簡単にルミナに会いに来れるだろう。フランも満足そうにうなずいている。


「いつでも来い。歓迎するからな」

「ん」

『また来るよ』


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読んでくださっている読者様方のおかげです。ありがとうございます。


あと、転生したら剣でしたの書籍版発売が20日後に迫って参りました。

そちらもぜひよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
やっぱルミナさんはフランの為に無理して何かをするつもりだったのかな
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