猫又のキャラこれでいいんかな……?
展開の都合上、序盤は俯瞰視点です。
『Random Play』の奥の防音部屋、そしてパエトーンの活動拠点である一室。今日はおなじみの依頼人達が顔を揃えていた。
「……それで、ニコ。今回は僕たちへの依頼料を期待してもいいのかな?」
「失礼ね! ちゃんと2回に1回はすぐに支払ってるじゃない!」
「普通は毎回ちゃんと払うもののはずなんだけどな……」
もう何度来たかなんて誰も数えていないであろう、邪兎屋である。最近新メンバーの猫又も加わった事で4人となった。今回もパエトーンに依頼を持ち掛けてきたようだ。
「まあまあ店長、今回のホロウにお宝があるってのは間違いないぜ!」
「次のホロウは小規模。私たちなら楽勝ね」
ビリーとアンビーは腕に自信がある。どういう過去があるのかは知らないけど、とにかく次の依頼に不安は感じていないようだ。
「まあそのお宝が本当に価値のあるものかわからないんだけどねー」
「こら猫又! 水差すんじゃないわよ!」
新メンバーの猫又は案外冷静なタイプである。どういう経緯で邪兎屋に入ったのかはわからないが、もうすっかりなじみ始めている。関係も最初はギスギスしてたけど今は悪くないとのこと。
「でもニコー? そもそも依頼料の支払いが報酬ありきってところは良くないと思うよ?」
「うぐっ! 今日のリンは辛辣ね……」
「リンはディニーが関わるとかなりうるさくなるからね」
「お兄ちゃんはもっとキッチリしなきゃダメでしょ!」
兄妹共に若いから忘れがちだが、二人はビデオ屋とパエトーンを経営している。本来ならリンぐらい神経質な方が向いているような気がするけど、大らかなアキラと二人だからバランスが取れているのかもしれない。
ふとここでガチャ、と扉の開く音が部屋に響いた。
「お茶入りましたよー」
「おっ、流石気が利くぜサク! サンキュー! ……って俺はお茶飲めねえけどな!」
「ありがとうサク。……ビリー、今の寒いジョークでお茶が冷めた。罰として今日の依頼は一人で前衛を任せるわ」
「そんなに寒かったか!? ライトなら笑ってくれると思うんだけどなぁ……」
「確かに笑ってくれそうね、鼻で」
「鼻でかよ!?」
ビリーとアンビーの漫才に軽く笑いながら、猫又にもお茶を渡す。
「おっありがとー。ってあれ、私のだけぬるめ?」
「ああ、猫舌なのかと思って」
「え、なんで?」
「まあ、なんとなく」
いや、だって見た目超猫だし。仕草とか座り方とかほんと猫。寧ろ語尾にニャとかついてないんだって疑問に思ったぐらいだよ。まあいっか、と猫又がお茶を飲み始めたのを見てからリンとアキラ、ニコにも渡した。
「サンキュー。じゃあ一息ついたらすぐにホロウへ行きましょ! 早く行かないとお宝を横取りされちゃうかもしれないじゃない!」
「ま、俺たちのやることも横取りなんだけどな!」
「先に獲得した者こそ正義。この間見た映画でそう言っていたわ」
「そーそー、文句言うやつは倒しちゃえばいいよね~!」
何とも悪党じみたセリフを言う4人だが、皆なんだか様になっている感じがする。戦うと強いんだろうな、っていうオーラが素人の俺にもちょっとわかる。お茶をグイっと飲み干したニコはさて、と立ち上がる。
「という訳で
「全く、仕方ないな」
「お宝はちゃーんと山分けだからね! それじゃお兄ちゃん、準備始めよっか!」
『マスター。既に目的地周辺の情報を取得済みです』
「……あはは、皆さんお気をつけてー」
俺は軽く挨拶を言ってから、やる気に満ちた皆を尻目にお盆を持って部屋を出る。流石防音扉、閉めると中の音が全く聞こえなくなる。俺はそっと店の表口から外に出てふぅ、と一息つく。雲の無い青い空を眺めながら、こう思った。
今の話、俺聞いちゃいけないやつだったんじゃね?
今日は邪兎屋以外にお客さんが来なくて暇だったから、皆にお茶でも入れてあげようかなーとか思ったのよ。んで、普通に扉開けて入っちゃった。これは俺が悪い。原則立ち入り禁止の部屋だって聞いてたにも関わらず入ってしまった俺に非がある。
でも全く話を止めなかった皆の方も問題があると思うのよ。
ニコのあの感じからして、邪兎屋の4人は俺がパエトーンの正体について知っていると思われていても不思議ではない。けどパエトーンさん。お二人は俺には秘密にしようって話してませんでした? さっきの会話でなんも疑問感じてなかったじゃん。ガバガバにもほどがあるだろ。
あとちょっと待って、そういえばしれっと聞こえたあの機械音声何? 普通に会話に混ざりすぎじゃない? 何かマスター呼びされてたけど、あれアキラの趣味? あれがAIとかだとしたら俺に対するパエトーンフィルタ的なのは無いの? ……もしかして俺スルーされてんのかな。機械にまで影薄いと思われてる?
……この店にはまだ俺の知らない秘密がいっぱいあるんだなあ。別に知ろうとしてないのにどんどん明らかになっていくのは何でなの。
「……いや、だから知りたくもないんだって。俺は何も知らない一般人アルバイトでいたいんだってば」
裏口から颯爽と飛び出していく車を見送った後、先行きの不安さに大きなため息をついた。
サク君はFairyに存在を認知はされていますが、パエトーン業に害は無さそうだからスルーされています。