一般常識人に新エリー都は生きづらい   作:こなひー

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貫通率が何か全然わかってないけどとりあえずリナさん使ってます。
アンビートリガー楽しいですねー。


8.メイド長の恐ろしい能力

 アキラの提案によって数日前から取り入れ始めた店番制度。後で聞いたのだが、主な取り入れた理由はディニーと何とかチップが欲しいから。そのついでにバイトを始めて間もない俺を、一人で店番させるのが申し訳ないとの事だ。気遣いは嬉しいけど、超今更な上についでって単語が出ちゃったから素直に受け取れなかったよね。

 

 そんな話があって、今日も店番を依頼した方が来てくれた。なんとあのヴィクトリア家政のアレクサンドリナ・セバスチャンさん。愛称はリナさんである。

 

 なんと、といっても既に何度か会ってはいる。驚きはそこまでないけれど、風格のある佇まいにはこちらもつい襟を正してしまう。

 

「サク様、本日はよろしくお願いいたしますわ」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

 今日も今日とて浮いているリナさん。もしかして彼女は幽霊なんじゃないかと疑っている。けどこの前激辛ラーメン食べてたし、今も店に置いてあった箒と塵取りを持って床を掃除してる。ほな幽霊と違うかー。

 

「それにしてもリナさん。予定とか大丈夫だったんですか?」

「ええ、本日は予定が空いておりましたため、喜んで馳せ参じた次第ですわ」

「ヴィクトリア家政に空き日とかあるんですね……」

「まあ、サク様。私共にもお休みはございますよ? とはいえ、お客様のご要望も多いため、忙しくさせていただいている事は否定しませんが……」

 

 なんかもう、立ち振る舞いやら言葉遣いが全て優雅。本当に同じ新エリー都に住んでるのかって疑問になる。俺みたいな一般人すら様付けで呼んでくれてるし、なんかこそばゆい。

 

 

 ちなみにアキラとリンは所用(パエトーン関係)でエレンとライカンさんと出かけている。というかWデートしている。特にエレンからアキラへの矢印が凄く強い。うっかり間に入ろうものなら、即刻鮫に喰われて死ぬと思う。あ、もう一組も大概だったわ。そっちは狼に喰われて死ぬ。人の邪魔なんかするもんじゃないね、って思ったけど過半数人じゃなくてシリオンだったわ。ははっ。

 

 

「サク様、店舗フロアのお掃除が完了いたしましたわ」

「え、もうですか?」

「はい。ですが、びでおの扱いがわからないので棚の中身などは触れておりませんわ」

「ああ、そこは俺がやるんで大丈夫ですよ」

「承知しました。では棚の中身につきましてはサク様にお願いいたします」

 

 危ない、いらんこと考えている隙に俺の仕事全部取られちゃうところだった。店番制度、相手によってはこれがあるから怖いんだよなー。優秀な人が来ると俺の存在意義がゼロになっちゃう。そしてバイトの意味が無くなり俺クビになっちゃう。非常に困る。逆に何もしない人とかが来てもそれはそれで困るというね。パイパーとかソファで寝てただけだったし。

 

 

「それでは、うふふ……ようやくこの時がきましたわ」

「え、なんかやる気に満ちてません? 一体何をするつもりなんです?」

 

 リナさんから何か燃え上がる情熱のような物が見える。あれ、なんかスイッチ入っちゃった? そういえばアキラとリンからのメッセージで、リナさんにあれはさせないでくれっていう指示が何個かあったような……。

 

「前からずうっと気になっていたのです。アキラ様とリン様のお部屋がとおーっても散らかっておりますでしょう?」

「あぁ……、一度見ましたけどちょっと散らかってましたね」

「ちょっと、ではありません。とおーってもですわ。お菓子の空き袋や散乱したゲーム機、メイドとしては見逃すことが出来かねます」

「確かにあれはなぁ……」

「前回はお二人に止められてしまいましたが、そのお二人のいない今が好機。メイド長リナ、推して参りますわ!」

「あ、はい。どうぞやっちゃってください」

 

 確か止められていた事の一つが、『リナさんを部屋に入れないでくれ! 勝手に片付けられると色々困る!』だった気がする。けど一度だけ二人の部屋の惨状を見たことがある俺はリナさんに賛成だった。私生活がちょっとだらしない二人には、いいお灸になると思う。ついでに俺の仕事がリナさんに取られなくて済む。うん、良いことだらけだね!

 

 

 

 バイトの時間が終わる頃、店を出る支度をしていたところでリナさんが2階から降りてきた。なんかとてもツヤツヤしている。

 

「お掃除完了致しました。とてもやりがいがあってスッキリ致しましたわ……」

「あはは……、それは何よりです」

 

 俺とリナさんが帰った後、きっとあのズボラ兄妹は阿鼻叫喚することだろう。しかしそんなのは俺の知った事ではない。普段から綺麗にしていればそうはならないんだから。

 

「サク様も本日はお疲れさまでした」

「いえ、俺リナさんには何にもしてあげられて無いんですが……」

「そんな事はありませんわ。私の背中を押して頂いて、大変助かりました」

「あれ、そうでしたっけ?」

「ええ、そうですわ」

 

 もしかしてやんわりと共犯にされそうになってる? そう思ったらどこかリナさんから圧を感じてきた。ま、間違ったことはしてないから、うん。

 

「ところでサク様、感謝の印として……少しばかり()()()の差し入れを――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ……ありのまま昨日起こった事を話すぜ。リナさんが手料理と言って差し出した()()()()()()()()()()()()()()()を見た瞬間から、今朝自宅のベッドで起きるまでの()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 何を言っているのかわからないと思うが、俺も何をされたのか全く分からなかった。あれを食べたのかどうかすらあやふやだけど、多分お腹がどうにかなったんだと思う。体超重いし。リナさんの恐ろしさの片鱗を味わったぜ……。

 

 そういえば、リナさんにさせてはいけないことリストの最上位に料理って書いてあったなー。知らない内に仕込んでいた上、視界に入った時点でやられるなんて回避不可じゃん。無理ゲーだよそれは。

 

 

 

 

 ちなみに今日は『Random Play』は諸事情により臨時休業だそうです。いやー、一体何があったんですかねー? ……記憶無いから本当にわからないんだけどね。大丈夫かなあの二人。




「ライカンが言うにはな、死者の魂を感じ取れるらしいんよ」
「ほな幽霊やないか!」
「けどカリンが言うにはな、定期的に火鍋を楽しんでるらしいのよ」
「ほな幽霊ちゃうやないか!」

もしかしてこれで漫才一本分出来たりするのだろうか。
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