なんせ初めての小説なので…
―――厳しい状況だ
一機のネクストがGA社の基地を襲撃していたが…尋常ではない数のノーマルに苦戦を強いられていた
「クソが…依頼の内容と全然違うじゃないか!」
「ちょっとした小遣いのつもりでBFFの依頼と受けたというのに…なんだよ…このノーマルの数は!?」
通常1つの基地にノーマルは10機程度…しかし今回のは例外だ…明らかに30機以上のノーマルがレーダーに記されている
なぜこんなにもいる?なぜネクスト相手にこれ程の戦力を?
そう思考を巡らせている間にも機体は被弾し破損していく
「このままじゃ…」
さすがにまずいと思い…OBで離脱しようとしたが…
「メインブースターが破損!?しかも機体の出力が!」
ここにきてメインブースターがイカレてしまった…
そして追い打ちにノーマル達の攻撃がネクストに直撃する
機体は大きく破損しコックピット内では警告音が鳴り響く
頭から血が流れ 視界も意識もハッキリしない
(あぁ…もう終わりか…)
そう諦めた…だが…
背後からネクストのOBの音が聞こえた
破損したネクストの横を通り過ぎ…そのネクストはノーマルへ攻撃を仕掛けた
(なんだ…増援…か…遅いんだよ…)
意識が朦朧とする中、唯一映っているモニターに目を移すと…
(あれは…まさか!?)
彼の目に入ったのは…
カラードランク9 ホワイトグリントの姿だった
「ホワイト…グリント…」
あの伝説のネクスト…なぜこんなところに…
あまりにも衝撃的すぎて意識がハッキリしてしまう
『こちらホワイトグリント、オペレーターです』
『そこのネクストのパイロット…大丈夫ですか?』
通信にある女性の声が呼びかけてきた…
「あっ…いえ…大丈夫です…」
思わず固まって答えてしまう…まさか心配してくれるとは思いもしなかった…
『そう…ご無事で何よりです…機体は動かせますか?』
「いや…無理だ…メインブースターも破損したし出力も上がらない…行動不能だ…」
『そうですか…ここからは私達にお任せ下さい』
そうオペレーターは言い…通信は切れた…
オペレーターの人と話している間にも…ホワイトグリントは次々とノーマルを撃破していく…
気づいた時にはおよそ10機程度まで減っていた
(強すぎる…あれがホワイトグリント…)
華麗なブースト裁き…的確な射撃…無尽蔵に飛び回る姿…
戦っている姿に感銘を受けている間にもホワイトグリントは全てのノーマルを倒したようだ
(あれだけいたのに…たった一機で…全てを…)
戦いが終わり…ホワイトグリントはその場を去っていった…
「……………」
「やっぱすごいな…」
”本物”は強かった…”無名”の俺では全く違う…
(俺も…あんな風に…なれるのかな…)
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あれから――俺は仕事を難なくこなせる様に特訓を重ね仕事を難なくこなせる様になってきた
あの時以来――俺のネクストは白をメインとしたホワイトグリントをモチーフとしたカラーとなっている
戦い方も変わった、前までは片手にライフルもう片手にブレードを装備した形となってはいたが…
今ではホワイトグリントと同じようにライフルを二丁持ちし無尽蔵に飛び回り敵を撃破していく
戦い方まで真似てしまうとな…もう完全にホワイトグリントに憧れてしまったな…
このまま実績を積んでいけば…いつかホワイトグリントと並べるだろうか…
この日もいつもの様に企業の依頼をこなしていく
今回もいつもと同じようにノーマル部隊を撃破していく依頼となっている
「よし…こいつで最後だな…」
最後の一撃がノーマルの装甲を貫き爆散した
「任務完了…帰るか…」
そうしてOBを起動し離れようとした時…
「!?」
背後から弾丸が飛んできた
幸いにも当たらなかったが…もう敵はいないはずなのに…
敵の姿を確認しようと後ろを向いたが…
「あれは…レイレナード社製の機体?」
モニターにはレイレナード社製ネクストが映っていた
しかし…今回の依頼はレイレナードは関係ないはず…だとすると…
「首輪付きか…」
彗星のように現れて色々な企業の依頼を完璧にこなす傭兵首輪付き…
しかもあのAFも楽々と破壊する実力…
このタイミングで来たとすると…狙いは俺か…
もう本来の仕事は終わっているが…まぁそう簡単には逃がしてはくれないだろうな…勝てるかも怪しいし…
「………やるしかないのか…」
そう呟き…ライフルを構える、あちらもライフルを構えるのが見えた…やる気満々みたいだ…
OBで一気に近ずき、ライフルを打つ…奴がQBでズレたとの同時にクイックターンをし再びライフルを打つが…当たらない…
「やっぱり…噂どうりの強さ…いやそれ以上だろうな…」
あのAFを完璧に破壊する実力なんだ…もしかしたらホワイトグリントよりも強いかもしれない…
その後の首輪付きに攻撃を仕掛けるが…やはりと言っていいか…全く被弾していない…
逆にこちらが被弾している状況だ…
「強すぎる…」
ホワイトグリントの戦い方でも全く通じない…
「こいつも……”本物か”…」
そう言葉を漏らし…攻撃を続けていると…
「!?」
奴がAAを使い機体に当たり視界が遮られる
「しまっ…!」
その瞬間…無数のミサイルが彼のネクストに直撃する
大きな土煙がたち込む中…彼のネクストは機能停止した…
「ウッ……」
体の痛みで目が覚める…かろうじて生きているみたいだが…
身体中血まみれ…手足の感覚もほとんど無い…
(歯が立たなかった…やっぱり”本物”は強いや…)
(機体は…ダメか…そうなるとこのまま…)
このまま死ぬのを待とうかと考えてはいたが…
(いや…納得いかない…このままやれっぱなしは納得いかない…せめて…)
(せめて…爪痕を残して…逝ってやる…)
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『敵ネクストの撃破を確認』
『ミッション完了だ』
首輪付きのオペレーター セレン・ヘイズは告げる
『少々動きの良い奴だったが…お前なら心配はなかったな』
首輪付きの心配をするのは無駄だったなっとそう思うセレンだったが…少々気になる事があるようだ
(あのネクスト…カラードランクにも載っていない無名のリンクスのはずだが…なぜ企業はそいつを撃破するように依頼したのだ?)
(そういえば…ブリーフィングであのネクストはランク9 ホワイトグリントの動きを真似していると聞いたな…)
(ホワイトグリント並の脅威となるから早めに潰しておきたかったんだろうが…まぁ私達が気にするような事でもないな…)
あのネクストについては考えるのをやめ、首輪付きに帰還しろと命令をしようとした時
『!?』
レーダーにネクストの反応が出た 場所は…先程撃破したネクストのいる所
『なぜネクストの反応が!?』
『再起動したのか!?バカな…ありえない…そんな事が!』
『いや…それよりも…なんだ…この出力は!!通常では出ることの無い出力量だぞ!』
『まさか…ネクストの全リミッターを解除したのか…自殺行為だぞ!』
セレンの目に映るのは…機体の排出口から青い火が出て…目からは赤い稲妻が走っているネクストが映っていた
「ウグッ…アガッ…」
(さすがに…これは…やばいな…長く続けてたら確実に死ぬな…)
リミッターを全解除したおかげでネクストの出力が大幅に上がったがそれと同時にリンクスの負荷も大きい
満身創痍の体にこれ程の負荷がかかればいつ死んでもおかしくない
だが彼にはそんな事は関係なかった
(だが…どうせもうすぐ死ぬ身だ…せいぜい暴れてやろうじゃないかッ!!)
『くっ…来るぞ…奴は普通ではない…気をつけろ!』
そう首輪付きに忠告をしたと同時に首輪付きのネクストの背後に奴のネクストが高速で接近してきた
『なっ!?』
首輪付きが反応するのもつかの間…首輪付きのネクストに蹴りが入る
『なんだあの速度…見えない…』
セレンがそう言葉を零すが…奴のネクストは止まらない
OB以上の速度を出し首輪付きのネクストにライフルを打ち込んでいく
首輪付きは何とか距離を取ろうとするが…今の奴には意味が無い
目の前まで接近し左手のライフルで首輪付きの機体の右腕に突き刺す
右腕はえぐれ 使い物にならなくなったが
間髪入れず突き刺したライフルから手を離し頭部へなぎ払う様に攻撃をした
攻撃が当たり頭部が破損首輪付きの視界が制限された
まだ止まらない
距離を取り残ったライフルで首輪付きの機体に向けた
狙いはコア…ロックはできている…
(これで…終わりだ…)
トドメをさそうとしたが急に機体が止まった…
「!?」
(あぁ…そうか…機体が稼働限界だったか…)
ボロボロの機体に無理に再起動し暴れたのだ…さすがに限界だったか…
(はぁ…もう終わりか…せめてもう一度…ホワイトグリントの姿を見たかったな…)
意識が消えていく中で彼はそう思いながら…
静かに…息を引き取った…
『シッテムの箱』へようこそ、リンクス先生
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消えていく意識の中、声が聞こえた気がする…
「………先生………きっ………の話は忘れ…れでも構いま…」
声が聞こえる…若い女性の声…ノイズのせいで話が聞き取れない…一体なんの話をしているんだ?
俺は…あの時死んだはずでは…
「……何の……ですから…大事一経験ではなく、選択」
経験ではなく…選択…
確かにあの時俺は首輪付きに爪痕を残すようにまだ戦う選択をした
まぁその結果があのザマだけど…
「あなたにしかできない選択」
????
どういうことだ…俺にしかできない選択?
本当になんの話なんだ?
「責任を負う者…………大人としての、責任と義務。延長…あなたの選択。 …それが意味する心延えも」
「ですから…先生……どうか……」
ここでまたノイズが酷くなり声が聞こえなくなった…それと同時に意識も消えていった…
一体…なんだったんだろうな…あれは…
「――い、起きてください…」
また声が聞こえる…だけど…今度は別の人の声だ…
「……先生、起きてください…」
どうやら先生が呼ばれているらしいな…まぁ俺とは関係はないだろg…
「”リンクス”先生!!」
「!?」
あまりにも大きな声に思わず体が跳ねてしまう…
ん?待てよ…なぜ俺は寝ているんだ?
俺はあの時ネクストの中で死んだはずでは?
なのに俺は寝ている…訳がわからねえ…
とりあえず目を空け当たりを見渡して見ると
紺の髪色に白いコート、メガネ をかけた気の強そうな女性(いや、少女か?)が、こちらの様子 を窺うように、静かに見つめていた。
頭の上には謎の輪っかがある…
いやいや待て待てなんだそれ…天使の輪かよ…
「…少々待っていてくださいとは言いましたが……お疲れの ようですね。なかなか起きないほど熱睡されるとは」
…っと…彼女は言った
????
待てその言い方だと一度会っている言い方だな…
俺は貴女とあった事はありませんがねぇ!?
「…夢を見られていたようですね。起き抜けに申し訳ありませんが、目を覚まして、集中して頂けると助かります」
夢?
あぁ…あれの事か…夢というより…なんて言うんだろ…あぁダメだ説明が難しい…
「もう一度、あらためて今の状況をお伝えします」
「私は七神リンと申します、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です。そして貴方はおそらく、私たちがここに 呼び出した先生……のようですが」
ん?
なんか曖昧だなぁ…
「…ああ。推測系でお話ししたのは、私も先生がここにいらっしゃった経緯を詳しく把握していないためです」
あれ?
さっきは一度はあっているような言い方をしていたのに…
矛盾してね?
「え〜とつまり貴女はなぜ俺がここにいる事を知らないってわけですか…」
「はい。…混乱されてますよね。心中お察しします。しかし 私はあくまで案内役ですから……先生を選んだ方はまた別であり、詳しい説明は私からは致しかねます」
一体何が起こってんだ…死んだと思ったら謎の場所で”先生”と呼ばれるし…
「とりあえず…ここからは貴女の言うとうりにする…」
「そうですか…」
そう彼女は一呼吸おき俺にこう言った
「今は…私についてきてください」
「……あぁ…わかった」
「ありがとうございます。……どうしても、先生にやっていた だかなくてはいけない事があります」
「学園都市の命運をかけた大事なこと………ということにしてお きましょう」
???
意味深だなぁ…なんか怖いんですけど…
そう思っている間にもリンと言う人は部屋の奥に行ってしまっていた
俺も後を追うとしようとするが…まずは自分の体を見てみる…
服は黒の長ズボンに黒いパーカー…まぁ全身黒ずくめだな…
ふと隣を見てみると…白いコートが置かれていた…
それを手に取り見てみると…胸部分に何かしらエンブレムのようなものがある…「連邦生徒会」…なるほど…
「先生?早く行きますよ?」
「あ…あぁすまない」
とりあえずこのコートをきてリンの所へ向かう…リンはエレベーターに乗ってん俺も続くように乗る
ボタンを操作しエレベーターが動き出す
「それでは、改めて… 『キヴォトス』ヘようこそ、先生」
外を見ると広大な土地が眼下に広がっている。こうして見れば一見普通 の巨大な都市群に思えるが、どうやらこれらーつ一つが『学 園』なのだと言う。
いや…デカ過ぎないか?
「キヴォトスは数千の学園が集まってできている目大な学園都市です。これから先生が働く場所でもあります」
ファ!?数千!?
聞き間違いじゃないよね?
「嘘でしょっていう顔をしていますが…残念ながら本当のことです」
これからの生活の未来は暗いな…
「きっと先生がいらっしゃったところとは色々な事が適ってい て、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが…でも先生 なら、それほど心配しなくてもいいでしょう」
いいのか…そんな簡単に信じて…
騙して悪いがされても文句言うなよ…
そうリンの話を聞きている間に目的の階層に着いたようだ
ここは…フロントか…なんか結構ザワついてるけど…さっきリンが学園都市の命運とか言ってたけど…それ関係か?
エレベーターを降り、歩き出そうとした時
「ちょっと待って! 代行!見つけた!待ってたわよ!連邦生徒長を読んできて!」
その中の喧騒で一際強く。
董色の髪色をした少女がはきはきとした口調で骨み掛けるようにリンに喋り掛けてきた。
……が…そんな事よりもあるものに目がいってしまう…
本来あの子の様な人が持ってはいけないその物に…
(は?あの子の持っているのって銃…だよな…)
「うん?隣にいる大人の方は?」
「主席行政官。お待ちしておりました」
黒髪に…スナイパーライフル…
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況に ついて納得のいく回答を要求されています」
ブロンドヘアーに…ハンドガン…
リンに近ずいて来た者全員…”銃”を持っている
この者たちだけでは無い…周りの人も…みんなそれぞれ銃火器を持っている…
たった1発で致命傷になりかねない…そんな物を平然と持っていやがる…
「あぁ…面倒な人達に捕まってしまいましたね…」
と、小声で、そしてはっきりと面倒と現状を評した。 彼女はどうもこの様子を想像していたらしく、多くの銃を目の前にしても慌てた様子はない。
まるで当たり前かと思うように…
「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださっ た生徒会、風紀委員会、その他時問を持て余している皆さん」
うわ…言い方わっっっる…
あと顔が怖いんですけど…
「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています」
「今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために……でしょう?」
「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ! 連邦生徒会なんでしょ! 数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ! この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
風力発電か…
どうやあそこの世界とは文明レベルはかなり差はあるらしい…
コジマがあれば文明レベルがめっちゃ上がるだろうが…
そうなるとここも終わるな…
「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したとの情報もありました」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」
普通の学園生活とは?
何?戦車とか物騒なものが当たり前にあるの?
いやあの世界もそんな言えたことじゃないけどさ…
でもあんな子供がそんな物を持っているのが意味が分からない…
戦争でもする気なのか?
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの? どうして何週間も姿を見せないの? 今すぐ会わせて!」
「……連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
「……え!?」
「……!」
「やはりあの噂は……」
???
連邦生徒長って誰だ?
さっきから名前が出てはいるが…一体どんな人なのか…
いやそれよりもその連邦生徒長が行方不明って…
「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが……先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「それでは、今は方法があるということですか、主席行政官?」
黒髪の少女がそう問えば、リンはこちらを振り返って、俺を指し示した。
「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
「!?」
えっ?俺がフィクサー!?戦場で戦う事しか覚えてない名のないリンクスなのに?
いくらなんでも丸投げですよねぇリンさん!?
「この方が?」
「ちょっと待って。この先生はいったいどなた? どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」
「はい。こちらのリンクス先生は、これからキヴォトスで働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
……えっ…連邦生徒長が指名した?
会った事もなく行方不明の人なのに?
いやまて…確か目が覚める前……
あぁ…あの人か…ノイズが酷くて何言ってんのか分からなかったがな…
「行方不明になった連邦生徒会長が指名……? ますますこんがらがってきたじゃないの……」
うん…全く同じ気持ちです…
でもリン曰くもうこの手しかないだろうな…
まぁ一応名乗っておくか…
「初めまして…俺は…」
言葉が詰まる…リンクスという名は簡単に言うとネクストのパイロットの事を指す…
ネクストが無い以上…自分にはそれを名乗るの資格は無いと思う…かと言って…
俺の本当の名は…無い…生まれた時から孤児だったのだから…
ある人に拾われてネクストのパイロットになったのが懐かしいが…
本当にリンクスでいいのだろうが…いや名が無い以上それしか名乗る他がないな…
「今は…リンクスと名乗っている…」
「今は?他にも名前が?」
「諸事情により言えないが…リンクスと呼ばれるのは慣れてるから…そう読んでくれるとありがたい…」
「分かりました…よろしくお願いしますしますねリンクス先生」
黒髪の子がそう言ってくれた…納得してくれた助かった…
「は…初めまして、先生。私はミレニアムサイエンススクールの……い、いや挨拶なんて今はどうでもよくて……!」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと……」
「誰がうるさいって!? わ、私は早瀬ユウカ。覚えておいてください、先生!」
「あ…あぁわかった…」
「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました」
リンがそう言うと、手元のタブレットを操作して俺に画面を見せる。
そこに表示されたのは『S.C.H.A.L.E』という文字と、その地点を指し示す地図だ。
「連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることも可能で、各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行うことも可能です」
「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……シャーレの部室はここから約30㎞離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に「とある物」を持ち込んでいます」
リンは手元に持つタブレットを更に操作して、目標となる地点までのルートを指し示す。
「30kmか…近いな…」
そうポツリと言ってしまう
「えっ…近いってどういう事ですか?」
「あっいやぁ何でもない…」
「そうですか…」
あっぶね…ネクスト基準で考えたらOBならすぐだから…
「先生を、そこにお連れしなければなりません」
そこで、再びタブレットを──今度は通信端末として幾度か操作し、此処には居ないであろう人間に、リンは声を掛けた。
「モモカ。シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」
そうリンが言うと…
驚くべきことにホログラムのような物が現れて『モモカ』と呼ばれた少女がその場に映し出された。
……技術力が高いのか低いのかよく分からん…
『シャーレの部室? ……ああ、外郭地区の? そこ、今大騒ぎだけど?』
「大騒ぎ……?」
『矯正局を脱出した生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』
「……うん?」
『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』
うん?生徒が戦車?
いや銃を持っている事の時点でおかしいことだが…ただの生徒が戦車を持ってるなんて…本当になんだよ…この世界は…
『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものがあるみたいな動きだけど?』
「……」
『まあでも、とっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリー来たから、また連絡するね!』
ぶっっ…
っと通信が切れた…
結構ヤバい状況なのに気楽だな…
「………っ!!」
あぁ…今にもリンがAAを発動しようとしているぅ…
「あ〜…大丈夫か…リン…」
「……だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません」
そうして、何かに気付いたように。
何か──妙案を思いついたかのように。
非常にわっっるい顔をしたリンは、先ほどまでの面々、つまりは早瀬ユウカたちをじっとりと見つめた。
うんめっちゃ悪そうな顔しとんな…
「……?」
「な、何? どうして私たちを見つめてるの?」
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「……えっ?」
「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」
「ちょ、ちょっと待って!? どこに行くのよ!?」
そう言ってリンは外へと向かっていった…
はぁ…なんか面倒事になりそうな予感…
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そうして俺達は…シャーレがあるとされる地点へと向かい…
向かったのいいんだが…
「な、なにこれ!?」
ユウカの悲鳴が、戦場の音に掻き消される。
爆音。
銃声。
破裂音に破壊音。
戦場の空気である。
本当にに学園都市の雰囲気なのか?これが?
「どうして私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!」
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……」
「それは聞いたけど……! 私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど! なんで私が……!」
そんなユウカの文句を嘲笑うかのように…弾丸がユウカな直撃する
「いっ、痛っ! 痛いってば! あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!」
「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません」
「うちの学校ではこれから違法になるの! 傷跡が残るでしょ!」
「…………(꒪ꇴ꒪ ;)」
移動中に一応話を聞いたが…いざこうやって見るとおかしい…
なぜ生身で弾丸を受けたのに痛いや傷程度まで収まってる?
……話によると彼女達の頭上にある『ヘイロー』は簡単に言うと…弾丸に耐性がある様だ…
ネクストで言うPAを展開している状態だろう…しかも無制限に…
「今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です」
「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……、私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」
「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください! 私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」
………彼女達が戦場へ出る…いくら弾丸に耐性があるとはいえ…危険な場所に足を突っ込むんだ…
俺は直接戦う事は出来ないが…何かしらの手助けはしなければならない…だとすると…オペレーターがいいだろうな…
「俺が指揮をする…みんな…行けるか?」
「え、ええっ!? 戦術指揮をされるんですか? まあ……先生ですし……」
「俺はオペレーターが本職ではない…あくまで戦場にたっている視点でイメージをしながら指揮をする…多少のズレはあると思うが…それでもいいって言うなら…手を貸そう」
「いえ、それでも十分なんですが……」
「分かりました。これより先生の指揮に従います」
「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」
「よし、じゃあ行ってみましょうか!」
「あぁ…敵勢力排除及びシャーレの奪還をする…」
「ミッション開始だ…」
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「……巡航戦車の撃破を確認。ミッション完了だ」
ハスミの貫通弾により、装甲を貫かれた巡航戦車は一瞬間を置いた後、爆音を鳴らし炎上した。
燃え盛る戦車の中から不良──スケバンと呼ばれていた者達が、悲鳴を上げながら立ち去っていく。
銃弾はいいとしても…こう言った炎などには耐性がないらしい…
なんとまぁ不思議なものだ…
「着いた!」
「はい」
「……ここが…」
『「シャーレ」部室の奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう』
「あぁ…またな…」
リンを映し出していたホログラムが霧散するように消え、通信が遮断される。
色々あったが…何とかなったな…
「なんだか、いつもより戦闘がやりやすかった気がします……」
「……やっぱりそうよね?」
「先生の指揮のおかげで、普段よりずっと戦いやすかったです」
「なるほど……これが先生の力……。まあ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か……」
「……俺はオペレーターが本職ではないし…あくまで戦場に君たちの視点をイメージして指揮したから…俺だけの功績ではないはず…」
そう彼女達の賞賛の言葉を否定してしまう…だって俺はオペレーターに関しては素人中の素人…このミッションが上手くいったのは彼女達の力あってこそだ…
「いえ…そんな事は…」
「でも戦いやすかったのは事実ですし…」
「しかもかなり手馴れた様な感じでした…先生って実は軍人だったりします?」
「……軍人ではないが…まぁ君たちな似たような事はしていた…」
ネクストで戦う事しか覚えてないからな…
「……俺はこのまま行くが…君たちはどうする?」
「え? うーん……先生の安全を鑑みるなら一緒に行くべきなんでしょうけど……」
「しかし、暴徒を制圧したとは言え、原因となった生徒は見つかっていません。シャーレに入って来ることのないよう……そうですね、せめてタワーが復旧するまで出入り口を警戒した方が良いと思います」
「既に不良が入ってる可能性はない? いや、不良じゃなくても、もしワカモが侵入してたら……」
「ただ、この人数を分けてしまうと、もし先程の規模で戦闘が起こった場合、手薄になった側が非常に苦しくなります」
「うーん……」
(……………)
「俺が1人で行く…四人でここを守ってくれ…」
「えっ1人だと危ないですよ!?」
「おそらく中には居ないはず…それに外から入ってきて邪魔されたら本末転倒だ」
「それは…確かに…」
「安心しろ…与えられた仕事はしっかりやるさ…」
そう言ってシャーレの中へと入ったいく…が…
「うーん……これが一体なんなのか、まったくわかりませんね。これでは壊そうにも……」
そんな少女が、目の前にいる。独り言をしている狐面を被った……
あれがリンが言っていたこの騒ぎを起こした元凶か…
確か七囚人の1人ワカモ…だっけ?
あれ?これ少々まずいのでは?
自衛する武器もないし…相手はヘイロー持ち…
どうする…今からでもユウカ達を呼んでくるか?
そう色々と考えていると…
「あら?」
ワカモと目が合ってしまう…
あっやべ詰んだ…
「あ…あらら…」
うん?
なんか様子がおかしいぞ?
「あら…あらあら…!」
「あ…ああ…」
「しっ…失礼いましたぁぁぁぁ!!!!」
そうワカモは叫び…手に持ったものを放り投げ逃げていった…
まて今天井へ逃げなかったか?
「…………」
唖然と天井を見上げていると…
「お待たせしました」
シャーレに着いたリンが地下室へと入ってくる。
「……? 何かありましたか?」
「ああ…いや…何でもない…」
咄嗟にワカモの事を隠してしまったが…言ってしまえば余計にややこしくなる事は予想できる…まぁいいか…
「……そうですか。ここに、連邦生徒会長が残したものが保管されています。……幸い、傷一つなく無事ですね」
そう言ってリンは先程ワカモが放り投げた物を手に取った…
いやそれほんとにキズ1つのないの?
「……受け取ってください」
「……タブレット端末…なのか?」
「はい。これが連邦生徒会長が先生に残したもの。『シッテムの箱』です」
「普通のタブレット端末に見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明」
「連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも……」
ある意味オーパーツか…あの世界で過去に存在したプロトタイプネクストみたいな感じが?
いやそれだとだいぶ危ないぞ…
しかし…リンの言い分には…本当に最後の望だろうな…
連邦生徒長が選んだのは俺…無名のリンクスに何が出来る…そう思ってしまうが…しかし…これは俺にしか出来ないこと…俺はあの時選択した…
「なあリン…」
「どうかしましたか?先生?」
「無名の…実力もない者にも…”本物”になれると思うか?」
「?」
「いや…忘れてくれ…」
「……………私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかっています」
「邪魔にならないよう、離れています」
そうしてリンは部屋の隅へ行ってしまった…
俺は…”本物”になれるだろか…こっから…生徒を導く先生となる…
無名のリンクスに出来ることだろうか…
いや…やらないと…やらなくちゃならない…
任された事だ…ならやってやろうじゃないか…
そうして俺はシッテムの箱を起動させる
画面が光り…パスワード入力画面が映った…
パスワードか…
パスワードなんて知らねえよと思っていたが…
その時…急に脳内にある言葉が浮かんできた…
そのまま脳内に浮かんだ言葉をシッテムの箱に打ち込んでいく…
──我々は望む、七つの嘆きを。
──我々は覚えている、ジェリコの古則を。
―――「『シッテムの箱』へようこそ、リンクス先生」
長あああぁい!!!
小説ってこんなにも大変なんだ!?
これから忙しくなるな…
不定期連載ですがこれも暇があれば書き投稿していきますのでよろしくお願いします