BM王〜無敵の人になったので、チートで反社して成り行きで“王”になる話〜 作:4.5cm徹甲弾
起きたら路地裏、一文無し。
警察らしき人に相談しても適当にあしらわれ、公的機関は相手をしてくれない。
「まじかー……」
しかも、更に、
「まー、じ、かぁ……」
二足歩行の犬猫、ロボ、そしてヘイロー付きの娘達が通り過ぎる道の端で、途方に暮れながらひとりごちる。
(今の俺、身分証無しの不法入国者扱いだろうに逮捕されないんだなー)
なんて思いながら、これからどうすればいいか考える。が、特に優秀なわけでも無い俺の頭では解決策が思い浮かばない。
持ち物は一切無し、スマホも無し。服は着ているが換金できそうな物じゃなくてTシャツと……なんか、紐で結ぶタイプのズボン。多分どっちも綿。
ちなみに体に変化は多分無し。顔も良くなってたりしない。
チートは有り。
(マジで不幸中の幸いだわ。“もしチートが無ければ”とか考えたくもない)
そう思わざるを得ない出来事が、起きた。
路地裏で途方に暮れていた俺に、最初に声をかけてきたのは3人組の不良生徒だった。
「おい、そこのお前」
振り向くと、黒マスク装備の見覚えのある生徒たちがニヤニヤしながら近づいてくる。
それぞれ手に銃を持って。
「なんか……男? キヴォトスで男とか超レアじゃん」
「ねー、珍しー。ていうか、どこの学園? 見ない顔だけど」
「えーっと……」
俺は警戒しながらも、穏便に済ませようと答えた。
「いや、財布を落としちゃって……」
「あー、そうなんだ。カワイソー」
リーダー格らしき生徒が、わざとらしく同情の声を上げる。が、その目は全く笑っていなかった。
「じゃあさ、アタシたちが助けてあげよっか? ね?」
「あ、いや、大丈夫です。自分でなんとか……」
「いーから、いーから」
突然、3人が俺を囲んだ。逃げ道を塞がれる。
「一人で金もないとか、ヤバいでしょ? 『お店』紹介するからさ。給料出るよ?」
「お店…?」
「そ。まー、ちょっと特殊なお店だけどね。男なんて珍しいし、お客は喜ぶと思うよー?」
その言葉の意味を理解して、少し
(思っていたより治安が
「いや、遠慮します」
「あれー? 断るんだー」
リーダー格の生徒の笑顔が消える。
「じゃあさ、せめて
「金ないって──」
「あー、そっかー。じゃあ、体で払ってもらおっかな」
次の瞬間、銃口が俺の頭に突きつけられる。
「服、脱げよ。全部な。それ売れば少しは金になるだろ」
(ならないだろッこの服じゃあ!)
内心のツッコミの一方で、どうするか考える。
服自体は惜しくないが、全裸はまずい。何がまずいって
今、暑さを感じていない。ということは夜に凍える可能性があるのに
「おい、早くしろって」
「……分かりました」
俺はゆっくりとTシャツに手をかけた。その時、
パァン!
乾いた銃声が路地裏に響く。
激痛──は、なかった。
弾丸は俺の眉間に当たり、ポトリと地面に落ちた。まるでゴムボールでも投げつけられたような感覚。皮膚には傷一つない。
「……え?」
3人が呆然とする。
「今の……当たったよね?」
「なんで……?」
リーダーが再び引き金を引く。パン、パン、パン! 連続で3発。全て俺の顔面に命中、そして弾かれて落ちる。
「化け物……!?」
彼女たちの顔から血の気が引く。そして、逃げようとした。
でも、俺は逃がさなかった。
3人の動きが止まる。いや、正確には止めた。
俺は彼女たちの
「あ、あれ……? 体が……動かない……」
「なに、これ……!?」
3人は立ったまま硬直している。指一本動かせない。
俺はゆっくりと、リーダーの前に立った。
「人を脅して、撃って、逃げる」
「ご、ごめん……! 悪かった! だから……!」
「当然、『ごめん』では済まない」
「う…いや! 無傷じゃん! 痛い思いしてないからいいじゃねーか!」
俺は目の前の不良達のステータスをさらに操作して。
ドスッ
「ぎゃへッ」
ドスッ
「おぶッ」
ドスッ
「い゛げッ」
一発ずつ腹を殴った。
適当に、5倍くらいに痛みを増やしたから、弾丸飛び交うキヴォトスの住人でも効いたはずだ。
「良いか悪いか決めるのは俺で、残念ながら撃たれたときに良心は捨てたから」
「……」
「
これからのことを、やりすぎだ…とは思わない。
こいつらは俺を売ろうとした。何の罪悪感もなく。
こういう連中がキヴォトスにはいて、助けてくれる奴は居そうもない。
「まずは、お前らの
ブルーアーカイブは滅亡要素の多い世界だが、まず生きる。
数多いるブルアカファンには申し訳ないが、流石に
◆
不良たちの拠点は、繁華街から少し離れた廃ビルの一室だった。
「ここ……」
リーダー格の生徒が震える声で答える。俺のステータス操作によって、彼女たちは今も俺の命令に逆らえない状態だ。
「入れ」
重い扉を開けると、雑然とした部屋が現れた。古びたソファ、散らばった雑誌、そして壁際には盗品らしき電化製品が積まれている。
「他に誰かいるのか?」
「い、いない……今日は私たちだけ……」
「そうか」
俺は部屋を見回した。窓にはカーテンがかかり、外からは見えにくくなっている。ベッドが三つ。簡易的なキッチンもある。最低限の生活はできそうだ。
「学園は?」
「……退学になった」
なるほど。つまり、こいつらも居場所を失った連中か。
だからといって同情する気はないが。
「分かった。今日からここは俺の拠点とする」
「え……」
「お前らを追い出しはしない。が、俺が他に拠点を作るまでは居座るし、他に拠点を作った後も勝手に使うことはある」
3人は青ざめて頷いた。
俺は彼女たちのステータス操作をリセットした。いつでも動きを止められるように、制御は維持したまま。
「まずは飯かな」
夕食は缶詰とレトルトを温めただけのものだった。
飯を食いながら、不良から情報収集のための質問を始めた。
「スマホ持ってる?」
「持って無いけど……」
「なんで?」
「だから退学してるって」
そういえばキヴォトスでは学籍≒人権みたいな感じあったっけ?
それとも単に金ないだけか?
「それじゃあ、ここってどのへん? トリ、ゲヘ、ミレ?」
「そんなでかいところじゃない。DU近くだけど…」
そうやってしばらく情報収集のための質問を繰り返した。
不良故か、知らないことも多かったが、知りたい事はおおよそわかった
先生がいない。
雷帝も知らないらしい。
でかい事件は俺の知らない事ばかり。
その他細かい気になったことも適当に。
ということは──
(俺がいるのは、物語が始まる前か……?)
原作では、先生の登場によって様々な事件が動き出す。逆に言えば、今はまだ平穏……いや、それは語弊があるな。キヴォトスに平穏な時期などないのだから。
ただ、
俺は立ち上がって唯一の窓に近づき、外を見た。
夜のキヴォトスは、意外なほど暗い。学園都市の世界観だからだろうか。一方、どこかで銃声が響いている。
原作知識はある。でも、細かい設定はわからない。
俺は先生じゃあないし、都合よく事は運ばないだろう。
キヴォトスに来る前の世界は、日本は、最高だとは言えない。だが、最低限の救済、保障はあった。
ここには何も無い。生存保障は受けられず、親兄弟も親戚もない。
今すぐ帰ることができるならそれでもいいが、
「よし」
窓の鍵をかけ、入口の鍵をかけて
「な、なにを!?」
「お前達は運が悪いことに、俺を襲って返り討ちにあった」
「……」
「拠点をいただき飯も貰ったが、銃弾4発分の被害には釣り合わない」
「無傷じゃん…」
不良リーダーに近づいて肩に手を置く。
「俺のいたところじゃ銃弾1発で一人死ぬ。まあ死ななかったから未遂として、一人頭100万くらい欲しいな~」
「無傷じゃん!」
「てゆーか、あたしら撃ってないじゃん!」
「てめっ──!?」
仲間割れを始めそうな不良にさらに続ける。
「そこで、オトクな返済方法! これはすごいよ。相場的には10倍くらいお得」
「……どんな?」
「だからあたしらはッ」
「一晩
「ナマナカ?」
「ッ」
リーダー不良を残して2人が逃げようとするが、
ガチャッガチャガチャガチャ!
「おいはやく!」
「だめっ、開かない!」
「本当に残念だろうけど、運が悪いと諦めろ。状況が悪くて
「あの……ナマナカって?」
「痛くするのは趣味じゃないから、そこは安心しろよー?」
「えっ?」
「ひ、ひぃぃぃ」
ステータス操作。とりあえず回復力は上げておいて、対象の痛みはかなり小さく。感度は…5倍くらいから調整しながら。
「じゃ、始めようか」
人権無いもの同士、しっかり楽しんだ。