ダンジョンに幻想体という名の厄ネタがいるのは間違っている!! 作:シビトバナ
短めです。
午前での謎の出来事を終えたオラリオの昼頃。
今日も酒場【豊穣の女主人】は活気に満ちていた。
香ばしい肉の匂い、冒険者たちの笑い声、テーブルを叩く音
その喧騒の中を、一羽の小さな鳥がとことこ歩いていた。
「キュッ(……今日も満員だなぁ)」
おこぼれを貰おうと床をうろつく鳥。
すでに店の常連客にもすっかり顔なじみだ。
可愛いマスコット、癒しの存在、そして――なぜだか知らないが「臨時店員」と呼ばれている。
「アーニャ! 六番テーブル、肉盛りだニャ!」
「了解ニャ〜! ……あっ、鳥ちゃん! ちょっとこっちに来るニャ!」
「キュッ?(うん?)」
アーニャがひょいと鳥を掴み、
「今日から鳥ちゃんも“配膳補助員(仮)”ニャ♪」
「キュキュッ!?(はい!?)」
クロエがにやりと笑う。
「リューに怒られるニャ〜。でも客ウケは良さそうニャ〜」
「キュ〜(悪い予感しかしない……)」
アーニャは鳥の前にメニュー票(小)を持ってきて
「ほら、三番テーブルの人たちに聞いてくるニャ! いってらっしゃいニャ!」
「キュッキュウゥ!?(誰がデリバリーシステムだぁぁ!!)*1」
店内を“メニュー票を咥えさせられとことこ”と歩かされる鳥。
常連客たちの視線が集中する。
「おい、今度は鳥がメニュー票を運ばされてるぞ!」
「ガハハッ!!どうした!ちっこいの!しっかり持たんか!!」
「キュキュ〜!(やめろォ! 笑うんじゃねぇ!!)」
その時、厨房の方から冷たい風のような声。
「……アーニャ、クロエ。」
リュー・リオン登場。
仕事姿のまま、木のスプーンを片手に無表情で立つ。
「……また仕事中に、遊んでいるのですか?」
「ち、違うニャ! 教育ニャ! 社会勉強ニャ!」
「そ、そうニャ! 鳥ちゃんが立派な労働鳥*2になるための――」
「……後で、きっちり教育してあげますね」
「「にゃああああああ!!」」
猫姉妹、沈黙。
鳥、無事?*3救出成功。
リューがしゃがみ込み、鳥のメニュー票を受け取る。
「……ごめんなさい。後で二人にはきつく言っておきますから」
「キュ……(い、いえ……その、程々にしておいてくださいね?)」
その様子をカウンター越しに見ていたミアが、
料理を作りながら低く笑う。
「まったく……相変わらず騒がしいねぇ」
「キュッ!(俺は被害者です!)」
「まぁ、客が喜んでるんならいいじゃねぇか。ほら、次はスープのおかわりでも運んでやんな」
「キュ、キュウゥ!?(まさかの正式採用!?)」
◆◇◆◇◆
閉店後。
店内は静まり返り、ランタンの柔らかい灯りが揺れる。
リューの部屋にある鳥かごに戻った罰鳥は今日の騒動の疲れを感じながら、目を細めた。
「キュ……(ふぁ〜)」
羽を軽く広げてゆっくりあくびをする。
小さな体に、穏やかな夜の空気が染みわたる。
「キュ……(明日も、頑張ろ……)」
そう意気込んだ鳥はまぶたを閉じ夢の世界へと旅立ったのだった。
ちなみに
ミルの由来はミルクのような白さ(外見から)
ミア(Mia)&リュー(Lyuu)の頭文字を組み合わせた造語
という意味を込めました。
※
リュー→Lyuu→Lyu→ru→る、でミルになりました。
名前案
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ムーン
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雪月
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ミル(ミア×リュー)
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なしで