ダンジョンに幻想体という名の厄ネタがいるのは間違っている!! 作:シビトバナ
【豊穣の女主人】
それは、迷宮都市オラリオに存在する冒険者向けの酒場で、
本編の主人公ベル・クラネルの行きつけの店でもある。
元々は【フレイヤ・ファミリア】の団長だったミア・グランドが、
オラリオの治安が悪かった時代に誰もが笑って酒を飲める場所を
作りたいという考えから、ファミリアを半脱退して立ち上げた店。
値段は少し高いが酒も料理も上手く、なにより―――店員が可愛いことで評判だ。(ここ重要)
但し、店員は元腕利きの冒険者、殺し屋、賞金稼ぎと一癖も二癖もある者ばかりで、
もし店で揉め事を起こしたら彼女達に問答無用で叩き出される。
とまあ、なんで急にこんな話をしたかと言うと……
「にゃはっ、かわいい~ニャ!」
……そう。
現在俺がその酒場で猫人姉妹に絶賛モフられているからだ。
「キュゥゥゥ……!(やめろおおおおおおっ!!)」
「ふわっふわニャ〜! このもちもち感たまんないニャ!」
こうなった経緯を説明しよう。
そう、あれは遡ること数時間前。
俺はリューさんの肩に乗ってダンジョンを登っていた。
……えっ?危なくなかったのかって?そんなん、
レベル4のリューさんに勝てるモンスターが中層及び上層にいるわけないじゃないですか。
も〜なにいってるんですか。(白い目)
※鳥はリューによる一方的な蹂躙を見て本能的な恐怖を感じていた。
とまあ、そんな感じで俺達(一人と一匹)は地上に無事ついたわけ。
でそこからリューさんは迷宮都市オラリオの街を抜け、俺を肩に乗せたまま
まっすぐ酒場『豊穣の女主人』へと向かった。
………なんで逃げなかったのかって?、そりゃあ理由は簡単だ。
肩の上に乗せられた俺は、まだ鳥としての飛行能力がほとんどない。
(羽ばたいても、ぺちんと地面に落ちるだけだし、しかも走って逃げても追いつかれるだろうし)
飛べない鳥に逃げる選択肢なんて、ほぼゼロに等しい。
しかも、リューさんの肩は、言ってみれば絶対安全保障付きの特等席だ。
一歩間違えば即死する可能性もあるダンジョン内で、肩の上なら攻撃を受ける心配はほぼない。
(……鳥としては、これ以上ない安心感……!)
加えて、リューさんの動きは無駄がなく、モンスターを一撃で蹴散らす。
下手に逃げるより、肩の上でじっとしていたほうが安全どころか賢明だったのだ。
(……ああ、これが正しい選択ってやつか……)
そんなわけで、肩にしがみつきつつ街を進む俺――
無事に地上まで辿り着いたあとも、その特等席から降りる理由はほとんどなかったのである。
と、まあここらへんで回想は終わりにして。そろそろ現実を見ようか。
目を開ければ、そこは迷宮都市オラリオ――そして酒場『豊穣の女主人』の中。
俺は、数時間前の緊張感を微塵も感じさせず、猫姉妹に囲まれていた。
「にゃはっ、かわいい~ニャ!」
「ふわっふわニャ〜! このもちもち感たまんないニャ!」
羽をバタつかせ抵抗する俺に、アーニャとクロエの手は止まらない。
猫人姉妹――アーニャとクロエ。
見た目は完全に可愛い系店員(ただし凶器持ち)。
その二人に挟まれ、今俺は机の上で正座ポジションだ。
「キュ、キュゥゥ……!(ふ、不当な労働環境だ! 動物愛護団体は何処に!?)」
カウンターの奥では、店主ミアが腕を組んでこっちをじっと見ていた。
元フレイヤ・ファミリア団長にして、オラリオ屈指の怪力女将。
その視線に、猫姉妹がピタリと動きを止める。
「……また妙なモン拾ってきたな、リュー」
「……放っておけませんでしたので。それにあのままではモンスターに襲われていた可能性もありましたので」
「ふん。優しさもほどほどにしときな」
ミアはそう言いながらも、俺をちらっと見て――
ふっと、口元を緩めた。
「……まあ、見た目は悪くねぇ。客受けしそうだ」
「キュ!?(まさかの商用利用!?)」
「そうだな。カウンターの片隅にでも座らせとけ」
――こうして、“罰鳥”の俺は、
猫姉妹にもみくちゃにされながら、“豊穣の女主人”で働く(?)ことになった。
(いや、どうしてこうなったんだよぉぉぉぉ!!!)
最初に書いていたやつよりなんか好評だな?
名前案
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ムーン
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雪月
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ミル(ミア×リュー)
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なしで