厄ネタ×二乗は一周回って厄ネタではない(白目) 作:ハゲチャビン
勢いのまま書いて投稿しているので何言ってんだコイツ? となるかもしれませんがご容赦を……。
様式美という言葉がある。
芸術分野で主に使われる言葉だが、時にはアニメやお笑いなどでも使われている。
例えば、バナナの皮を踏んで滑る。曲がり角でパンを咥えた少女とぶつかる、頭上からタライが落ちてきて頭をぶつける。その他etcetc……。
画一化された形式で行われるソレはマンネリを生み出すが、『お家芸』として愛されることもある。
つまり何が言いたいかというとだ。俺は今その様式美の最中に居るという事だ。
「知らない天井……でもないか、見覚えのあるデザインだし」
そんなことも無かったわ。
真っ白な色調の部屋に、自動開閉式の扉はカルデアに来てから見慣れたデザイン。
そして部屋の中には薬だろうか。多種多様な瓶が入った硝子戸の棚に俺が横たわっているベッドと同じものが数台。
俺の予想が正しければここはカルデアの医務室。あれ以降意識が無かったが、此処にいるという事は特異点は解決したのだろう。
さて、どうするか。
目が覚めたはいいものの、することが無い。手持無沙汰だ。
どーしよっかな。
勝手に動く訳にも行くまいし、かといって二度寝しようという気にもならない。
なんか暇を潰すもの……あ、ナースコールがあったわ。俺の暇は有給休暇でハワイに行った。
「はいはーい。ダヴィンチちゃんのとうちゃーく♪ 気分はどうだい、文目君?」
「特にこれといった異常は感じませんね」
押して5分と経たないうちにご機嫌な声と共に女性が入ってきた。
……女性がダ・ヴィンチを自称していることには突っ込まないでおこう。
「それは何より。本当ならばロマニが来るべきなんだけど、ちょっと忙しくてね。その間、私と少しお話しして親睦を深めようじゃないか」
悲報:俺の暇は有給休暇ではなく退職代行を使って退職した模様。
まさか起きてすぐに尋問が来るなんて思わないじゃん。
「あっはっは! 安心してくれたまえ。これは本当にただの雑談さ」
本当に?
「勿論。聴取は君のバイタルを見て問題なしとなってからさ」
ドクター。別に急ぐ必要はないんでゆっくりと、一秒でも長くそちらの業務に集中してください。お願いします。
「それで……何か聞きたいことはあるかい?」
何でも聞き給えとニコニコ顔でいう彼女。
何でも? と尋ねると私のプライベートなこと以外ならね。と付け加える。
いや、それは聞かないよ? 興味はあるけど。
「……じゃあ、その、お名前なんですが、ダ・ヴィンチと名乗ってましたよね? もしかして」
「そう! 万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ! 気軽にダ・ヴィンチちゃんと呼んでくれ」
「えっと、ダ・ヴィンチさ「ダ・ヴィンチちゃん」……ダ・ヴィンチちゃんは史実だと男性、でしたよね? もしかして特異点のアーサー王と同じように」
「いいや? 元々男だったさ」
ん?
「ならなんで女性に?」
「モナ・リザは知っているね?」
まあ、はい。
うちの学校でもそれで「フェチ」を拗らせた奴がいたし、それでなくても知らない人間はいない。
「美しいだろう?」
「まあ………」
芸術についてさっぱりわからないが世間的にはそう言われてるな。
「だからさ」
「はい?」
どういう事?
「美しさを追求することはごく自然な事。つまり私がモナ・リザの姿になることはごく自然で当たり前という事さ!」
「……つまり、あれですか。自分の作品が完璧なので自身の身体もそれに作り変えたと?」
そう言う事さ!
ドヤ顔をキメながら胸を張るダ・ヴィンチさん。
……流石は時代を代表する天才。一般人の我々にはできないことをするなぁ。
「お待たせ! いやぁちょっとカウンセリングが長引いちゃって―――」
俺がダ・ヴィンチさんの言葉にショックを受けていると自動扉が開閉して急いだ様子のDr.ロマニが入室した。
「ちょっとロマニ」
「あっ」
諫める様に彼に視線を向けるダ・ヴィンチさんと、しまったとでもいうように手で口を押えるDr。多分聞いちゃいけない事なんだろうな。
「え、え~っと、目が覚めたんだね文目君! 早速で申し訳ないんだけど今からバイタルチェックを行うよ」
誤魔化す様に咳払いをして仕切り直すDr。俺は何も聞いてなかったことにしてDrの指示の通りにチェックを受けた。
一通りバイタルチェックを受け問題なしと判断された後、俺はあの特異点でのことを話すために別室に移った。
機密保持の為か、セキュリティが厳重な部屋に入ると二人の雰囲気が重いことに気が付いた。席についても二人は無言を貫いていた。
暫くの沈黙を破ったのはDr.ロマニだった。彼は一度目を伏せると意を決したように口を開いた。
「……文目君、聴取をする前に一つ伝えなきゃならないことがある」
「―――人理保障機関フィニス・カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアは特異点Fでのミッション中に亡くなった」
「……そうですか」
彼の口から出た言葉に対して俺はそう呟いた。それ以上の言葉は出なかった。
「驚かないんだね」
「何となくお二人の様子から察してはいました。あの後、俺が気絶した後何が起きたのかお尋ねしても宜しいでしょうか?」
正直あれだけ念押しした彼女がこの場に居ないことと、彼らの反応から死んでいるとまではいかなくとも、あまり芳しくない状態であろうことは予想できていた。
ただ、何故そうなったのか知る必要はある。あの後の事も知っておかなければ生死に関わるかもしれないからだ。
俺がそう申し出るとDrはダ・ヴィンチさんに目配せをする。彼女は持っていたタブレットを操作する。
「それが特異点Fの、君が気絶した後の記録だ。ただ、見るならば覚悟はしておいてくれ」
ダ・ヴィンチさんはそう言うと、操作し終えたタブレットを俺に渡した。
覚悟なら、あの日藤丸を見た時から、この世界がどういう道をたどるのか知った時からできている。
俺はそれを受け取ると、一も二も無く再生ボタンを押した。
そして流れるあの後の記録。
―――セイバーによる、グランドオーダー。聖杯を巡る戦いの始まりの宣言。
―――消失したセイバーと入れ違いに現れたレフ・ライノールと、彼による人理焼却の暴露と真っ赤に燃え上がるカルデアス。
そして――
『いや―――いや、いや、助けて、誰か助けて! わた、わたし、こんなところで死にたくない!』
『だってまだ褒められてない……! 誰も、わたしを認めてくれてないじゃない……!』
『誰もわたしを評価してくれなかった! みんなわたしを嫌っていた!』
『やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいや……! だってまだ何もしていない!』
『―――生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めて貰えなかったのに…!』
カルデアスに吸い込まれ消えゆく、オルガマリー・アニムスフィアの慟哭。
映像を見終わった俺は深呼吸をして、心に沈殿した重苦しい感情を空気と共に吐き出すとダ・ヴィンチさんに返した。
「……色々整理することがあるだろうから、それまで聴取を待つよ」
「いえ、その必要はありません。このまま直ぐに始めましょう」
Dr.ロマニが此方を気遣って時間をくれるというが、俺はそれを断った。
思うところが無かった訳ではない。ただ、今は故人の無念に心を痛めるよりも先にやらなければならないことがある。ただ前に進んで、為すべきことを為し遂げる。
それらがすべて終わって、後を振り返ってそこで初めて無くしたものに想いを向けることができると思っている。
だから、今目を向けるのは所長の死ではなく人理が焼却されたという情報であり、するべきは焼却された人理を戻すために何が必要なのか考える事だ。
ならば、俺がやるべきは気持ちの整理ではなく、俺の影に居るアブノーマリティの情報の共有だ。
「……わかった。じゃあ、このまま始めよう」
俺の冷徹とも思われても仕方のない行動を、二人は責める事無く聴取の準備を進めた。
俺は二人の質問に嘘偽りなく、答えられる範囲でアブノーマリティの情報を渡す。それがグランドオーダーに必要な事だと信じて。
尚異世界の怪物であることは伏せている模様。
感想は全部見ています。返信できなくて申し訳ない……。
次回はガチャの時間です。アブノマじゃないよ、サーヴァントだよ。
フェチ拗らせたクラスメイトは別に平穏を求めてるわけでも何かしらの能力に目覚める訳でもない普通のフェチを拗らせたクラスメイトです。
今後の展開次第ですが、その時が来たら主人公にE.G.Oを付けていいか否か。
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『武装』主人公も戦力を付けるべき
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『非武装』そのままの方がおもしr、輝く