「日本人もひどいことをしている」立民・西村智奈美氏 高市首相のシカ発言を繰り返し追及
立憲民主党の西村智奈美衆院議員は10日の衆院予算委員会で、高市早苗首相(自民党総裁)が先の総裁選で外国人観光客を念頭に、奈良公園(奈良市)のシカに対する暴力行為を問題視した背景を繰り返し追及した。首相は外国人観光客の急増に伴い、「残念な行為が目立っている」と対応する必要性を訴えたが、西村氏は「日本人も大変ひどいことを行っている」と食い下がった。 【写真】「ダバッ」「トデッ」「キエッ!」 審議中に「意味不明の奇声」 ■首相「日本人も外国人もしてはいけない」 「外国人だけの問題なのか」。西村氏は、首相のシカ発言について、こう疑問視した。 奈良公園周辺のシカは地域住民に親しまれ、国の天然記念物に指定されている。外国人観光客の増加に伴いトラブルも問題視されており、奈良を地盤とする高市首相は9月22日の総裁選の所見発表演説で、外国人政策に言及し「奈良のシカを足で蹴り上げる、とんでもない人がいる。殴って怖がらせる人がいる」と述べていた。 この日の予算委で、首相は西村氏に対し「日本人でも悪意をもって加害行為をし、報道された人はいる」と述べたうえ、「日本人も外国人もしてはいけないことはしてはいけない」と強調した。 奈良のシカを巡っては、三重県の男が平成22年に矢を放ち、令和3年には別の三重の男が刃物で襲って、シカをそれぞれ死なせる事件が起きている。 ■「日本人も同じく暴行しているかも」 西村氏は「外国人観光客がちょっと盛り上がって、いたずらに暴行のようなことをしてしまう可能性はゼロではない。日本人も同じ割合で同様のことをしているかもしれない」と主張した。「言葉や見た目で外国人だと思っても、確かめようがない」とも指摘し、重ねて両事件を上げて「このことを知った上で、総裁選のときのエピソードを話したのか」と、高市氏に質問した。首相も改めて「大きく報道されたので、よく承知している」と答えた。 これに対し、西村氏はさらに「最近SNSなどで外国人を攻撃する不確かな内容が飛び交っている。放置すれば関東大震災で朝鮮人虐殺のような悲惨なことにつながりかねない」と問題視した。 首相は自身の発言の根拠について「不確かな情報に基づいたものではない」と答えたが、西村氏は「しかし、日本人もそれはもうとても大変なひどいことをやっている。それを前提にすれば発言は撤回すべきだ」と主張した。首相は応じず、西村氏は「大変残念。今後注意してほしい」と語った。