「実は男」というトンデモ陰謀論を流しているのは誰? ブリジット・マクロン大統領夫人の闘い
現地時間10月28日(火)、フランスのエマニュエル・マクロン大統領夫妻が起こした名誉毀損訴訟の裁判が始まった。訴えられたのはブリジット・マクロン大統領夫人に関する陰謀論を拡散したとされている10人の男女たち。「ブリジット夫人は実は男」「大統領夫妻は元々親戚」など、ただのデマのようにも聞こえてしまう陰謀論に対し、国のトップを務める夫妻が立ち向かったことがマスコミやフランス国民の関心を集めている。そこで今回は発端となった陰謀論から拡散を後押しした人物の正体、ブリジット夫人側の訴えまで、訴訟について深掘りしてみる。
ブリジット夫人に関する陰謀論とは
今回問題となっている陰謀論とは、ブリジット夫人がジャン=ミシェル・トロニューという名の男性として生まれたというもの。この名前はブリジット夫人の兄の名である。新聞「ニューヨークタイムズ」によると、2021年頃からネット上にブリジット夫人の出生時の生物学上の性別が男性であると疑うコメントや写真が投稿され始めた。それが2024年に急速にネット上に広く拡散した。そのきっかけを作ったのはアメリカの右派のポッドキャスター、キャンディス・オーウェンス。SNSや自分の番組で「ブリジット夫人の生物学上の性別は女性ではない」と主張したことでこの陰謀論を信じる人が激増した。
デマを拡散したキャンディス・オーウェンスって何者?
オーウェンスは保守派の活動家でポッドキャスター。現在36歳である。最初は保守派を批判する立場をとっていたが、2017年頃保守派に転換。その理由についてオーウェンスは「リベラル派の中にある人種差別的なもの」に対抗するためだと語っている。保守派の擁護団体「Turning Point USA」のPRとして保守派の間で知られる存在となっていく。
ドナルド・トランプ大統領のお気に入り
ドナルド・トランプ大統領も彼女のことがお気に入り。彼女を「非常に頭のいい思想家だ」と称賛したこともある。オーウェンスは2019年に黒人のアメリカ人に対して政治的立場を見直すように呼びかける「ブレグジット財団」を共同設立している。2022年にはブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)運動を批判するドキュメンタリー映画「The Greatest Lie Ever Sold: George Floyd and the Rise of BLM(史上最大の嘘:ジョージ・フロイドとBLMの台頭』を制作、ますます保守派の論客として目立った存在になっていく。ちなみにドキュメンタリーとされているが、この映画も陰謀論に終始していると批判されている。上映に抗議する運動が起きたり、実際に上映中止になったりした問題作である。