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NEWS◎全国医師ユニオンシンポジウムで弁護士が報告
医学部大学院生が“過労”自殺、遺族が大学を相手取り訴訟

全国医師ユニオン総会シンポジウムで報告する原告側弁護士の和泉貴士氏

 20歳代の国立大学医学部の大学院生が2015年に自死した件を巡って、遺族が大学を相手取り、訴訟を提起したことが分かった。2025年8月、A氏の母が大学を被告として、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求を行った。遺族側は、研究室全体の雑用を含む研究業務が過重だったほか、外部の医療機関へのアルバイトを割り当てられたことで過労状態となって精神疾患を発症、自死に至ったと主張している。なお、過去に遺族は労働災害の申請を労働基準監督署に行ったものの、基準を満たさず認められていない。裁判では、医学系大学院生による外勤業務、研究・研さん、研究室内の雑務などを含む“労働”のあり方などが争点となりそうだ。

 原告側弁護士となるまちだ・さがみ総合法律事務所の和泉貴士氏が、2025年11月9日に開催された全国医師ユニオン第18回総会シンポジウムで発表。「十数年間、過労死事件に関わってきたが、大学院生の中でも特に医学系の大学院生の過重労働の問題は、光がほとんど当たっていないテーマだと感じている。『学業』という名の下で、ずさんな管理で無償労働を強いる状況が横行している」(和泉氏)と指摘した。

 和泉氏によれば、自死に至るまでの経過はこうだ。A氏は、病気で苦しんでいる人を救う研究者になることを志し、当初は薬学部に進学したが、入学後、直接患者を救う医師という立場で人を助ける研究者になりたいと考え、2006年に国立大学医学部へ入学。2012年に大学を卒業し、3年間の病院勤務後、2015年に基礎研究を行うことを希望し、大学院に入学した。

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