愛車の履歴書──Vol81 沢尻エリカさん(後編)

愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第81回の後編。俳優の沢尻エリカさんが、現在所有するクルマや気になるクルマについて語る!
愛車の履歴書──Vol81 沢尻エリカさん(後編)
Hiromitsu Yasui

1年3カ月で3万kmを走破

前編では、BMW Z4でクルマ生活をスタートした俳優の沢尻エリカさんが、BMW6シリーズ、そしてBMW M6と乗り継いできた経緯を記した。

後編ではM6以降の愛車について記す。

前編では、初めてのマイカーだったBMWの初代「Z4」と対面。ちなみに沢尻さんが所有していたのはロードスターではなく、クーペだった。

前編では、初めてのマイカーだったBMWの初代「Z4」と対面。ちなみに沢尻さんが所有していたのはロードスターではなく、クーペだった。

Hiromitsu Yasui

「私はキャンプやスキーといったアウトドアがすごく好きで、結構山に行ったりもするんです。そういうライフスタイルから考えたらSUVもあるかなと思って、BMWの『XM』に試乗しました。でも、あまりにも大きすぎて、これは都内だと厳しいかなと思いました。悩んで悩んで悩み抜いて、BMWの『M8クーペ』を選びました。前に乗っていたM6と同じマットブラックの塗装で、すごく気に入っています。1年と3カ月前に納車されてから、もう3万kmも走りました」

沢尻さんによれば、冬はスタッドレスタイヤに履き替えて、スキー場にも自走で行くとのこと。

本格的なサーキット走行が可能なMハイ・パフォーマンス・モデルとしてM8は誕生した。エクステリアは、Mヘッドライト・シャドーラインの標準装備により、精悍さを増しているのが特徴だ。

本格的なサーキット走行が可能なMハイ・パフォーマンス・モデルとしてM8は誕生した。エクステリアは、Mヘッドライト・シャドーラインの標準装備により、精悍さを増しているのが特徴だ。

Hiromitsu Yasui
M8は高効率な4.4リッター V型8気筒BMWツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンに、ダイナミックな走りを実現する8速オートマチック・トランスミッションが組み合わせる。

M8は高効率な4.4リッター V型8気筒BMWツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンに、ダイナミックな走りを実現する8速オートマチック・トランスミッションが組み合わせる。

Hiromitsu Yasui

「東京生まれなので雪道は慣れていないので慎重に走りますが、4駆だからなんとかなります。一番遠くだと、北海道でのツーリングも楽しみました」

BMWのラインナップでクルマ選びをすると、XMはさすがに大き過ぎるにしても、「X5」や「X3」でスキーに行くという選択肢もあるわけだから、根っから車高の低いクーペスタイルがお好きなのだろう。

インテリジェント4輪駆動システムM xDriveを搭載。後輪駆動重視の設定で、リヤホイールに優先的に駆動力を振り分ける。車両が安定性を保つために必要なタイミングを見極めて、フロントホイールに駆動力を供給するセッティングだ。

インテリジェント4輪駆動システムM xDriveを搭載。後輪駆動重視の設定で、リヤホイールに優先的に駆動力を振り分ける。車両が安定性を保つために必要なタイミングを見極めて、フロントホイールに駆動力を供給するセッティングだ。

Hiromitsu Yasui
M8のインテリアは、モーター・スポーツ由来のアグレッシブなデザインと、ラグジュアリーな優雅さを兼ね備える。

M8のインテリアは、モーター・スポーツ由来のアグレッシブなデザインと、ラグジュアリーな優雅さを兼ね備える。

Hiromitsu Yasui
新開発のスポーツシートは、立体的にデザインされ、両脇のサイドボルスターや肩回りは大きくせり出す形状を採用することで、ドライバーを快適に包み込むデザインとなっている。ヘッドレストには、「M」のロゴがデザインされた照明付きモデルバッヂを装備。

新開発のスポーツシートは、立体的にデザインされ、両脇のサイドボルスターや肩回りは大きくせり出す形状を採用することで、ドライバーを快適に包み込むデザインとなっている。ヘッドレストには、「M」のロゴがデザインされた照明付きモデルバッヂを装備。

Hiromitsu Yasui

「そうかもしれませんね。M6にしろM8にしろ、BMWがいうところの“駆け抜ける歓び”を体現したクルマだと思います。M8は“駆け抜ける歓び”の最高峰という感じで、最初に乗ったときはかなり衝撃的でした」

ちなみに、2024年にBMW8シリーズの生産終了と同時に、M8もカタログから姿を消している。したがって前編で紹介したM6と同じように、沢尻さんのいまの愛車であるM8も現時点では最後のM8ということになる。それもあって、沢尻さんはいまのM8にできるだけ長く乗りたいと考えているとのことだ。

沢尻さんがメディアで愛車について語るのは、今回が初めてという。

沢尻さんがメディアで愛車について語るのは、今回が初めてという。

Hiromitsu Yasui

街で見かけてスタイリングに魅了された1台

そのいっぽうで、実は1台、とても気になるクルマがあるという。それはアルピーヌ「A110」で、BMW以外のブランドにこれほどまで惹かれたのは生まれて初めての経験だという。

「青いクルマだったと記憶していますが、街で見かけたときに、『あっ、かわいいな、乗りたいな』と思ったんです。かわいいけれどカッコいいもあるし、エレガントな要素もすべて融合されていて、すごく個性的なクルマだという印象を抱きました。どこのクルマなんだろう、と思って調べたらアルピーヌというブランドだったんです」

撮影車両のアルピーヌA110 R TURINIは、 F1を始めとするモータースポーツで培われたノウハウを活用してバランスの最適化が図られたエアロダイナミクスなどが特徴だ。

撮影車両のアルピーヌA110 R TURINIは、 F1を始めとするモータースポーツで培われたノウハウを活用してバランスの最適化が図られたエアロダイナミクスなどが特徴だ。

Hiromitsu Yasui

そのスタイリングに魅了されたという沢尻さんに、アルピーヌの担当者がこのブランドの歴史を簡単に解説する。

1950年代に、ルノーのディーラーを経営していたジャン・レデレという人物がチューンしたルノー車がモータースポーツで大活躍したこと。1970年代はWRC(世界ラリー選手権)で快進撃したこと。そして現在はF1にも参戦していること、などなど。

アルピーヌA110 R TURINIは、ラディカルな走りを支える性能、装備を備えながら、乗り心地に優れ、日常の様々なシーンでも気兼ねなくドライビングが楽しめるモデルだ。

アルピーヌA110 R TURINIは、ラディカルな走りを支える性能、装備を備えながら、乗り心地に優れ、日常の様々なシーンでも気兼ねなくドライビングが楽しめるモデルだ。

Hiromitsu Yasui
セミスリックタイヤ(ミシュラン パイロットスポーツ カップ2)を履く。

セミスリックタイヤ(ミシュラン パイロットスポーツ カップ2)を履く。

Hiromitsu Yasui
アルピーヌA110 R TURINIは、カーボンパック(フロントボンネット、ルーフ、サイドスカート、リアフード、リアディフューザー)を標準装備する。

アルピーヌA110 R TURINIは、カーボンパック(フロントボンネット、ルーフ、サイドスカート、リアフード、リアディフューザー)を標準装備する。

Hiromitsu Yasui
フロント部分にも荷室を用意。実用性もそれなりに高いのが特徴だ。

フロント部分にも荷室を用意。実用性もそれなりに高いのが特徴だ。

Hiromitsu Yasui

ルノーとアルピーヌの関係はBMWとM社、メルセデス・ベンツとAMGに似ているという解説を受けて、沢尻さんは「なるほど」と大きくうなずいた。

試乗のために用意された真紅のアルピーヌA110 R TURINI(チュリニ)に近づくと、沢尻さんは目を輝かせてホイールやタイヤ、スポイラーを確認する。

チェックするポイントとその熱い眼差しから、沢尻さんがどれだけクルマと運転が好きなのかが伝わってくる。

アルピーヌA110 R TURINIは、国内在庫車両のみの販売だ。最高速度は284kmhに達する。

アルピーヌA110 R TURINIは、国内在庫車両のみの販売だ。最高速度は284km/hに達する。

Hiromitsu Yasui

うながされて運転席に座った沢尻さんは、助手席に座った担当者から6点式シートベルトの装着方法を教わる。ミシュランのセミスリックタイヤを履く武闘派仕様のR TURINIというグレードは、6点式が標準装備なのだ。

そのシートベルトでバケットシートにがっちりとホールドされた沢尻さんは、「このシートベルトは初めてなんですけれど、テンションがアガりますね」と満面の笑みを浮かべた。

マイクロファイバー製のコックピットとドアの布製ストラップが目をひくインテリア。センターコンソール下の専用プレートには、シリアルナンバーが刻印される。

マイクロファイバー製のコックピットとドアの布製ストラップが目をひくインテリア。センターコンソール下の専用プレートには、シリアルナンバーが刻印される。

Hiromitsu Yasui
6点式レーシングハーネスを装備したSABELT®製カーボンモノコックレーシングシートを装備。

6点式レーシングハーネスを装備したSABELT®製カーボンモノコックレーシングシートを装備。

Hiromitsu Yasui
ステアリングにもマイクロファイバーを使う。A110 Sよりも10mm低い専用シャシーは、サーキットでさらに10mm調整できる高性能のアジャスタブルレーシングダンパーを採用する。

ステアリングにもマイクロファイバーを使う。A110 Sよりも10mm低い専用シャシーは、サーキットでさらに10mm調整できる高性能のアジャスタブルレーシングダンパーを採用する。

Hiromitsu Yasui
センターコンソールに設置されたエンジンスイッチ。7DCTを組み合わせる。

センターコンソールに設置されたエンジンスイッチ。7DCTを組み合わせる。

Hiromitsu Yasui

スターターボタンを押すと、ドライバーの背後にミドシップされる1.8リッター 直列4気筒ターボユニットが、フォン! と目覚める。「いい音ですね」と感心した表情の沢尻さんは、しばしのテストドライブに出かけた。

しばらくして、試乗から戻った沢尻さんは、「思っていたよりすごく運転しやすかったです!」と、上気した表情で語った。試乗前より少しだけ早口になっているあたりから、このクルマをかなり気に入ったとお見受けした。

路面に吸い付くような走りを実現するために、エアロダイナミクス全体が見直された。結果、A110 Sエアロキットに比べて最大29kgのダウンフォース増と5の空気抵抗低減を実現。

路面に吸い付くような走りを実現するために、エアロダイナミクス全体が見直された。結果、A110 Sエアロキットに比べて最大29kgのダウンフォース増と5%の空気抵抗低減を実現。

Hiromitsu Yasui

「見た目より実際に運転をしたほうがコンパクトに感じます。あと、やりすぎだと思うくらいエンジン音を強調するスポーツカーもありますが、このクルマは本当に心地よい響きというか。あとは軽快な動きにも心がときめきました。乗り心地も硬いは硬いけれど、びっくりするほどではなかったです。お話したように、私は自分で運転してかなり遠くまで行くので、一度、ロングドライブを試してみたいですね」

もしかすると沢尻エリカさんの愛車の履歴書に、はじめてBMW以外のブランドが名前を刻むかもしれない。そう伝えると、「可能性はあると思います」と、力強くうなずいた。履歴書にどんな上書きがなされるのか、しばらく時間が経過したら、改めて取材を申し込んでみたい。

タートルネックボディスーツ(¥20000TW/0343346121、ラムレザーブルゾン¥75900、デニム(スタイリスト私物)

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Hiromitsu Yasui

沢尻エリカ(さわじりえりか)

俳優。1986年4月8日生まれ。東京都出身。05年、ドラマ『1リットルの涙』で主演を務め、同年公開の映画『パッチギ!』で、『第29回⽇本アカデミー賞』新⼈俳優賞を受賞。映画『へルタースケルター』(12 年)では日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞し、『ファースト・クラス』(14 年)など話題作に出演。映画『#拡散』が2026年2月に公開される。また昨年に上演されたテネシー・ウィリアムズの名作『欲望という名の電車』では初舞台で主人公のブランチを演じ、来年は『ピグマリオン-PYGMALION-』の公演が控えている。

【舞台情報】
『ピグマリオン-PYGMALION-』  
【期間】2026年1月20日(火)~2月8日(日)
【場所】東京/東京建物 Brillia HALL 他、地方公演(愛知・北九州・大阪)
【原作】ジョージ・バーナード・ショー
【演出】ニコラス・バーター
【出演】沢尻エリカ/六角精児/橋本良亮/清水葉月/玉置孝匡/市川しんぺー/池谷のぶえ/小島聖/春風ひとみ/平田満 他

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Vol81. 沢尻エリカさん 前編

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・冨沢ノボル スタイリング・亘つぐみ 編集・稲垣邦康(GQ)