高知県で昨年9月に起きた車の正面衝突事故で、1歳児が亡くなった。対向車線から飛び出した車を運転していた男は、最新の運転支援システムに頼り切って運転していたと検察はみている。せっかくの安全技術が、ドライバーの非常識な運転を招いたとしたら――。遺族はやりきれない思いを抱える。
事故が起きたのは、昨年9月21日午後1時ごろ。高知県香南市の片側1車線の高知東部自動車道で、大阪市の会社経営、神農(かみの)諭哉(ゆうさい)さん(34)の車に対向車線の車が中央線を越えて正面衝突、神農さんの長男煌瑛(こうえい)ちゃん(当時1)が亡くなった。
高知地検は今年8月、対向車を運転していた高知市の無職竹崎寿洋被告(61)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で在宅起訴した。
起訴状によると、竹崎被告は運転支援システムを使って運転中、革靴からサンダルに履き替えようとシートベルトを外し、左側に体を大きく倒して助手席足もとにあるサンダルに左手を伸ばした際、誤って右手でハンドルを急に回し、対向車線に飛び出して事故を起こしたとされる。
運転支援システム「レベル2」とは
竹崎被告が事故時に使っていたと検察がみているのは、トヨタ車の「レーントレーシングアシスト」(LTA)という機能だ。
トヨタ自動車広報部によると、このシステムは、前を走る車との車間距離を一定に維持する機能を使っている際に、車線に沿って走るようハンドル操作を支援するもの。5段階ある自動運転のレベルの中で、下から2番目の「部分運転自動」を示す「レベル2」に該当するという。
レベル2に対応した車は現在、ホンダや日産、マツダなど大半のメーカーが販売しているが、いずれもハンドル操作や加減速などを自動的に調整するといった機能であり、運転はあくまで人間が行うことが前提の技術だ。トヨタ車のマニュアルにも「LTAを過信しないでください」「運転者は常に自らの責任で周囲の状況を把握し、ハンドル操作で進路を修正し、安全運転を心がけてください」という警告が明記されている。
トヨタは「運転の主体はドライバー。手放しや脇見運転は想定していない」と説明する。
自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で起訴された被告が今年9月、朝日新聞の取材に応じました。記事の後半では、現場を訪れた両親の思いを聞いた動画もあります。
車の自動運転技術に詳しい金…
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