【DENTONS 中国法コラム 2025年11月号】中国における雇止めの可否と東南アジア移管に伴う人員整理の実務対応

世界中に拠点を置く総合法律事務所で、深圳市にジャパンデスクを設置している大成法律事務所」(DENTONS)から中国法コラムをお届けします。

今回は、最近の日系企業によく見受けられる中国から東南アジアへの業務移管に伴う人員整理の実務対応について解説されています。

中国における雇止めの可否と東南アジア移管に伴う人員整理の実務対応

現在、日系企業の多くが東南アジアへの業務移管を実施していることに伴い、中国における人員削減のニーズが高まっております。この点、中国における雇止めと東南アジア移管に伴う人員整理の実務対応について、当職の見解をまとめましたので、皆様と共有させていただきます。

一、初回契約満了時の雇止めについて

中国では、初回の労働契約が期間満了を迎えた際に、会社が期間満了を理由として雇止めを行うことが認められております。この場合、経済補償金の支払いは必要となりますが、期間満了を理由とする限り、1か月前の通知または通知金の支払いは不要とされています。もっとも、深圳市では契約満了の1か月以上前に、従業員と契約更新に関する協議を行うことが求められている点には注意が必要です。

二、2回目契約満了時の雇止め制限

労働契約法第14条の規定に基づき、2回目の労働契約満了時に従業員が契約の更新を希望した場合、原則として会社はこれを拒否することができません。例外は、従業員が同法第39条(規則違反・不正行為など)または第40条第1項・第2項(健康上の理由・業務不適格)に該当する場合に限られます。したがって、これらの例外事由に該当しない限り、会社は契約の更新を拒むことができず、無固定期間労働契約を締結する義務が生じる点に留意が必要です。

三、関連法令抜粋

労働契約法第14条 使用者が労働者と固定期間のある労働契約を連続して2回締結し、かつ労働者に本法第39条または第40条第1項・第2項に規定する事由がない場合、使用者は固定期間のない労働契約を締結しなければならない。

 労働契約法第39条 労働者が規則制度に重大な違反をした場合や不正行為等により会社に損害を与えた場合、会社は労働契約を解除することができる。

労働契約法第40条:労働者が病気や非業務上の負傷により業務を継続できない場合、または職務不適格で職業訓練・職場調整を経ても改善が見られない場合、会社は30日前の書面通知または1か月分の賃金を支払うことにより契約を解除することができる。

四、東南アジア移管に伴う人員整理スキーム

(1)協議による労働契約解除(労働契約法第36条)

業務移管の時期に関わらず、会社は協議により労働契約を解除することが可能です。この場合、経済補償金の支払いは法律上の義務となりますが、従業員がこれに応じない場合には、法定補償額に一定の上乗せ(いわゆるN+α)を提示して合意形成を図ることが実務上一般的です。協議解除に基づくため、通知金の支払いは不要です。

(2)協議が整わない場合:労働契約法第40条第3項による解除

東南アジアへの業務移管が、「労働契約締結時に依拠した客観的状況に重大な変化が生じ、契約の履行が不可能となった場合」に該当する場合には、会社は従業員と異動・配置転換・条件変更等の協議を行い、合意に至らなかった場合、会社側から一方的に契約を解除することが可能です。この場合には、経済補償金に加えて1か月前通知または通知金(いわゆるN+1)の支払いが必要です。

五、実務上の留意点

1. 中国では初回の労働契約満了を理由とする雇止めは可能であるが、二回目以降は制限される。
2. 深圳市では、契約満了の1か月前に従業員と更新についての協議を行う必要がある。
3. 東南アジア移管などの合理的理由がある場合でも、今後争いとなることを避けるためにまずは協議解除(36条)を優先するのが望ましい。
4. 協議が不調に終わった場合には、40条第3項に基づき、N+1補償を前提とした解除を検討する。

六、まとめ

企業の海外移管や生産体制の再編に伴う人員整理では、形式的な契約満了による雇止めは原則として認められず、慎重な対応が求められます。まずは協議による円満な合意解除(36条)を試み、それが困難な場合には事情変更(40条第3項)を理由とする解除スキームを活用することが現実的な対応策となります。企業としては、いわゆる「N+1」以上の誠実な補償提案と、事前協議の履行を通じたリスク回避が重要となります。

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