〈時代を読む〉新しい戦前がやってきた 田中優子・法政大学名誉教授・元総長

2025年10月26日 07時30分 有料会員限定記事
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 とうとう高市政権が誕生した。安保関連3文書を前倒しで改定するそうだ。岸田政権の時に倍増することを決めた軍事費は、さらに増大する可能性が高い。武器輸出の対象を絞っている5類型の撤廃もするというから武器輸出も増える。

◆自民党を守るための「新しい戦前」

 選択的夫婦別姓の導入は遠のき、女性天皇も生まれそうにない。日本は再び、男権的家族制度が称賛される社会となる。国民が裏金問題を忘れて自民党が勢いを取り戻すには、戦争が現実味を帯びてくることが効果的だと計算するかもしれない。スパイ防止法を制定すれば、戦争に抗する声を黙らせることは可能だ。

衆院本会議で就任後初の所信表明演説をする高市首相=24日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 「新しい戦前」という3年前に生まれた言葉は、女性の首相によって実現するだろう。女性の人権を一つ一つ実現していくことに、多くの女性たちが尽力してきた。まさに少しずつの獲得だったが、それが戦前まで後戻りする。それも、国民のためでも女性のためでもなく、自民党という組織を守るために、である。
 一人一人の人間の具体的生活と生命と困難を理解し、その自己決定や自立を支えていくのが政治の役割ではないのか? 政治や企業に女性リーダーが必要だといわれてきたのは、組織の延命とは異なる、人間への視点と価値観を持つからだった。自分の所属する組織のためには、国民を裏切る裏金問題を隠し通し、ワークライフバランスをも放り出すリーダーなら、女性である必要はない。

◆石破前首相「所感」の問い

 異なる価値観を持つ人間が3割を超えることで、組織は変わるといわれる。それが多様性をもたらし、硬直をほどき、新たな方向へかじを切るからである。しかし、同じ価値観でそれをいっそう極端に実現してみせることで、自己の地位を高...

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    みんなのコメント3件

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    まもちゃん 16 時間前

     予想通りというか、やっぱりというべきか、台湾有事発言が出た。少なくとも日本の方向は、平和ではなく、戦争に向いたのは間違いない。いやしくも一国の総理大臣なら、その影響に思いをいたすべきだと考えるのだが。
     世界の真ん中で咲き誇る日本外交というなら、どこかの国に安全保障も外交もまるまる追随するのではなく、世界に冠たる平和憲法を盾に世の中の平和に1ミリでも近づくことではないのか。
     リアリズムの外交は、そんな甘いもんじゃないと言う声が聞こえそうだが、戦争は「ひとごろし」を人にも国にも強いることなのだ。断じて回避すべきものだ。このまま戦後がつづくことを祈らずにはおれない。

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    • ユーザー
      まもちゃん 10月27日22時56分

       この田中氏の記事の全文を読みたくて、また今、こんな記事を掲載する新聞社を応援したくて本日デジタル会員に登録しました。
       ①田中氏の記事の中で一番怖いと思ったのは「スパイ防止法を制定す れば、戦争に抗する声を黙らせることは可能だ」というところです。新しい戦前どころか先の大戦(15年戦争)前に、タイムスリップしてしまいそうです。
       ②新首相のこれまでの言説から、先の戦争はアジアへの侵略とは認めず、また過去の戦争に対しそれを知らない世代までが謝罪の意を表明すべきでないとの考えの様です。
       少なくとも新しい戦前が来ることに心理的抵抗がない歴史認識の方の様です。その様な方を多くの若い世代が支持していることにも恐れと共に疑問を感じます。
       今後とも「新しい戦前」にならない様に、非戦の立場から、さまざまな記事をお願いします。こころより応援します。(了)

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      • ユーザー
        記者アカウント 10月29日16時4分

        田中優子先生の原稿の編集担当者です。
        先生の「時代を読む」への温かいコメントをいただき、誠にありがとうございます。
        今回の記事をきっかけにデジタル会員にご登録いただけたとのこと、大変光栄に存じます。
        今後もまもちゃん様にご期待いただけるよう、より質の高い記事を発信してまいります。引き続きご愛読いただけますと幸いです。
        今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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    • ユーザー
      ジャック・リーチャー 10月26日10時34分

      「新しい戦前」と言うよりは「新しい幕末」と感じる。
      日米地位協定という治外法権と80兆円もの対米投資(関税自主権の欠如)の不平等条約に、外国人排斥(攘夷)が加われば、どうしても世襲封建制の幕末に重なる。

      また、メディアは高市首相を保守と呼ぶが、これほどの対米従属を保守とは言えない。新しい呼び名が必要である。

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