大学入試の“女子枠”に「一定の効果あり」 30年続ける名古屋工業大の理事が検証、残る課題は
女子枠で入った学生「充実している」
名古屋工業大学に女子枠で入学した学生(22)にも話を聞きました。 愛知県内の高校から2022年に入学し、来春に卒業したらメーカーに就職する予定です。 父が工学部出身で、小さいころからモノ作りに親しんでいたといいます。 名古屋工業大には「男性ばかり」というイメージがあったそうですが、オープンキャンパスで会った女子学生から聞いた学生生活の様子に魅力を感じ、進路の選択肢になったそうです。 「不安はあったけれど、入ってみたら性別の関係なく友達ができたし、課外活動を通して様々な経験を積むことができました」 「女子枠」について、こう話します。 「この大学が女性の技術者を必要としているんだ、私も必要とされる存在になりたいと思えるきっかけでした。一時は『男ばかり』と名古屋工業大学を進路から外しかけたけれど、多くの学びを通して成長することができ、充実した大学生活を送っています。いまの女子高校生や中学生にも、『女性が少ない』ということで進路を狭めないでと言いたいです」 機械工学の分野では、ロボットの研究が盛んになっています。 近年、女子枠に応募する生徒は「介護ロボットや災害救助のロボットを開発したい」という動機も多いそうです。
「女性の進出はまだまだ」
今後の課題として井門理事が挙げたのは、大学院への進学です。 名古屋工業大学で、修士課程に進学する男子学生は約80%にのぼります。 女子学生も70%近いのですが、女子枠の学生に限れば40%ほどにとどまります。 さらに博士課程で学ぶ女子学生の多くは留学生だといい、「海外との差を感じさせられる」と話します。 工学系の大学教員はいまも男性が圧倒的に多く、女性の進出が遅れている職場だといいます。 井門理事は「ロールモデルとなる女性研究者がまだ少ないことが大きな要因ではないか」とみています。 名古屋工業大学は、女子高校生向けに、社会で活躍するOGや女子学生と触れ合えるイベントを開いています。 また、「文系・理系に分かれる前から理系に興味を持ってもらいたい」と、小中学生向けに実験の体験会を開くなどしています。 (メ~テレ 山吉健太郎)