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第3話

具を詰めすぎたピロシキ
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2025/11/10 17:00 更新
できるなら、今夜のうちに色々決めておこう。
まず心配なのは…。
岡田ユウ
(ルミ先生に、ダイゴロウだな。)
3日目、ルミ先生が“幼児退行”してしまったのは、ここでのストレスのせいだろう。

1周目、明日の夜のルミ先生は……
ルミ先生
ユウ先生、もっと自信を持ってください。
ここではきっと、私たち大人がなにかを選んで、決断しなければならないこともあるでしょう。
ルミ先生
その時、自分の選択に責任を持てるように……。
ルミ先生
その結果が良いものでも悪いものでも、自分が選んだものを受け止められるように……。
ああ、思えばライオンも脱落する前に同じことを言っていたな…
岡田ユウ
(今…俺がこうして2週目にいるのは、結果を受け止められなかったからか…?)
…い、いやいや…。
頭に浮かんでくるネガティブな思考を取っ払って、どうするべきか思考を巡らせる。
ルミ先生はきっと、すでにかなり疲れていたのだろう。
…夜のあれは、自分に言い聞かせるために喋っていたのか?
岡田ユウ
俺…ちょっと能天気すぎるかもしれないな。
明日…2日目は確か、探検隊を結成して園内を探索する。


でもアトラクションには挑戦しない。おまけに俺はかえるコールを使ってしまって、メダルを無駄に1枚失ってしまう。
その間、ルミ先生は一日中、休憩所に残った子供たちの面倒を見てくれていた。
岡田ユウ
(どうすればルミ先生のストレスを緩和できるだろうか…)
ルミ先生の幼児退行を食い止められれば、今後行動できる大人は2人。1周目よりできることも増えるはずだ。

だが、もちろんルミ先生にプレッシャーを与えすぎてはいけない。

それは“1周目より遅れて心が壊れる”ことになるだけだ。



╳╳╳



ルミ先生の対策を考えて──考えて──考えたけど…、どれもあまり良い案とは言えない気がする。
困り果てていた時、後ろから声がした。
ゾーヤ
センセイ…どうしたの?
岡田ユウ
わっ……ゾーヤ?眠れないのか?
ゾーヤ
それはセンセイもだよ……なにか考え込んでるみたいだけど。
岡田ユウ
(う…鋭いなぁ…)
ゾーヤ
こんなところに迷い込んじゃって…気が動転するのも仕方ない。
ゾーヤ
ボクもセンセイの立場なら不安になるね。
ゾーヤは顎に手を当て、考える素振りをする。
岡田ユウ
あはは、まぁ…いろいろ心配でね…。
ゾーヤ
センセイ、ずっとブルーチーズみたいに顔色が悪かったよ。
ここへ来たあたりから、かな?
岡田ユウ
(…俺は、こんな小さい子に心配させちゃったんだな…。)
岡田ユウ
大丈夫だよゾーヤ、俺は大人だから…。
ゾーヤ
…オトナだって、疲れるものは疲れるでしょ?
ゾーヤ
ボクじゃ力になれないかもしれないけど…
話を聞くことくらいはできるよ。
具合が悪いなら、リンリンが薬を持ってるだろうし…。

──そのとき、頭にひとつの考えが浮かぶ。




『俺が2週目であることをゾーヤに告げたら…?』




……いやでも、伝えたら「疲れて頭がおかしくなってる」って、さらに心配されかねないな…


だけれど、もしゾーヤが分かってくれたなら、一緒にルミ先生の幼児退行を免れる方法を考えてくれるだろうか…。

それに、ゾーヤなら今後も力になってくれるかも…。



……でも、それってゾーヤに甘えるってことじゃ…
岡田ユウ
(こんなときまでダメだな…俺。)
決断ができない。

もし信じてもらえなくてゾーヤを心配させることになれば、ゾーヤの負担が増えてしまうかも…。

だがこのままではルミ先生が壊れてしまうし…。
ゾーヤ
悩んでるの?センセイ。
……汗びっしょりだよ。
岡田ユウ
えっ……と…
モヤがかかったような頭の中に、ぼんやりゾーヤの声が響く。
ゾーヤ
ボクなら大丈夫。センセイたちみたいに何かを背負ってるわけじゃないし。
ゾーヤ
むしろ、もっと頼ってほしいな。
ゾーヤは優しい声でそう言った。
頼ってほしい……か。


ルミ先生は、頼られすぎて壊れてしまった。

ライオンは、頼られすぎて嫌になってしまった。


───俺がそうなってしまう前に、少し肩の荷を下ろした方がいいのかもしれないな。
岡田ユウ
ありがとう、ゾーヤ。
実はね、先生…。








岡田ユウ
未来から来たんだ。



ゾーヤ
……えっ?









今までのことをゾーヤに話した。全てではないが……


このままでは明後日、ルミ先生が赤ちゃんみたいになってしまうこと…


4日目、ダイゴロウが集金で脱落してしまうこと…


その後、アトラクションなどでマモル、リンリン、ユズリハ、マリア…そしてライオンも脱落してしまうこと。

──そこから先は知らないこと。


俺が1周目で見てきたものを、ゾーヤに説明した。
ゾーヤ
……えぇと…。夢じゃなくてホントのお話…なんだよね?
岡田ユウ
混乱するのも無理ないよ、ゾーヤ。俺だってよくわからないんだ…。
岡田ユウ
それでも、今度こそは全員助けたい。みんな無事でここから脱出したい。
ゾーヤ、よければ君の知恵を貸してほしい…!!
ゾーヤ
本当、不思議な話だね。今目の前にいるセンセイは未来から来たんだ…。
ゾーヤ
……わかった、ボクはセンセイを信じることにするよ。
岡田ユウ
ゾーヤ…。
ゾーヤは困惑しつつも信じてくれた。思わず安堵のため息が漏れる。
ゾーヤ
それじゃあまずは、ルミ先生をどうするかだね。
岡田ユウ
あぁ、1周目は大人が俺だけだったし…誰かが世話しなくちゃいけなかったから、負担になったしな。
ゾーヤ
うーん…ルミ先生は具を詰めすぎたピロシキみたいにストレスで押しつぶされちゃう…?
 
ゾーヤ
──そうだ、こういうのはどうかな?

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