できるなら、今夜のうちに色々決めておこう。
まず心配なのは…。
3日目、ルミ先生が“幼児退行”してしまったのは、ここでのストレスのせいだろう。
1周目、明日の夜のルミ先生は……
ああ、思えばライオンも脱落する前に同じことを言っていたな…
…い、いやいや…。
頭に浮かんでくるネガティブな思考を取っ払って、どうするべきか思考を巡らせる。
ルミ先生はきっと、すでにかなり疲れていたのだろう。
…夜のあれは、自分に言い聞かせるために喋っていたのか?
明日…2日目は確か、探検隊を結成して園内を探索する。
でもアトラクションには挑戦しない。おまけに俺はかえるコールを使ってしまって、メダルを無駄に1枚失ってしまう。
その間、ルミ先生は一日中、休憩所に残った子供たちの面倒を見てくれていた。
ルミ先生の幼児退行を食い止められれば、今後行動できる大人は2人。1周目よりできることも増えるはずだ。
だが、もちろんルミ先生にプレッシャーを与えすぎてはいけない。
それは“1周目より遅れて心が壊れる”ことになるだけだ。
╳╳╳
ルミ先生の対策を考えて──考えて──考えたけど…、どれもあまり良い案とは言えない気がする。
困り果てていた時、後ろから声がした。
ゾーヤは顎に手を当て、考える素振りをする。
──そのとき、頭にひとつの考えが浮かぶ。
『俺が2週目であることをゾーヤに告げたら…?』
……いやでも、伝えたら「疲れて頭がおかしくなってる」って、さらに心配されかねないな…
だけれど、もしゾーヤが分かってくれたなら、一緒にルミ先生の幼児退行を免れる方法を考えてくれるだろうか…。
それに、ゾーヤなら今後も力になってくれるかも…。
……でも、それってゾーヤに甘えるってことじゃ…
決断ができない。
もし信じてもらえなくてゾーヤを心配させることになれば、ゾーヤの負担が増えてしまうかも…。
だがこのままではルミ先生が壊れてしまうし…。
モヤがかかったような頭の中に、ぼんやりゾーヤの声が響く。
ゾーヤは優しい声でそう言った。
頼ってほしい……か。
ルミ先生は、頼られすぎて壊れてしまった。
ライオンは、頼られすぎて嫌になってしまった。
───俺がそうなってしまう前に、少し肩の荷を下ろした方がいいのかもしれないな。
今までのことをゾーヤに話した。全てではないが……
このままでは明後日、ルミ先生が赤ちゃんみたいになってしまうこと…
4日目、ダイゴロウが集金で脱落してしまうこと…
その後、アトラクションなどでマモル、リンリン、ユズリハ、マリア…そしてライオンも脱落してしまうこと。
──そこから先は知らないこと。
俺が1周目で見てきたものを、ゾーヤに説明した。
ゾーヤは困惑しつつも信じてくれた。思わず安堵のため息が漏れる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。