ソシャゲの掛け持ちをしまくった結果がこれだよ!   作:じゅうじキー

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第三話

 ラピ……?ラピだと……? なんでや!ブルアカ関係ないやろ!

これはあれだ、疲労が生み出した幻覚だ。そうに違いない。

 

ピロン。

 

 ラピ:指揮官、先ほど副指令から、新たな任務とのことで出撃命令がかかっています。

 ラピ:アニスとネオンも向かっていますので、指揮官室にお越しいただけますか?

 

 うーん、クォレは……ガチな感じの内容だ。

どうして世界線超えてチャットできてるんですか?あーもうめちゃくちゃだよ……

 

「指揮官室に来いっていったって、どうやってニケ世界に行けっていうんだ?キレそう……」

 

 そう思いながらタブレットをいじっていると、俺がいつも使っているアプリ構成は変わっていないことが分かった。

ニコ〇コもAmaz〇nもある……LI〇Eのアプリが、モモトークのアプリにすり替わっているだけだ。

 

 画面の背景を見ると、電池消費を抑えるため黒背景にしていたのが、青空教室になっていた。

アプリの後ろではアロナがNe〇flixのような画面を投影して見ており、プラナが机をくっつけてプリンを食べている。

 

 ……おいアロナ君、君が今見ているのは闇に舞い降りた天才じゃありませんかね。なんでそのアニメチョイスしたの。二人とも「私も偶機待ちやってみたいです!」「はい、アロナ先輩。次は哲〇で力業を学びましょう」とか言ってる。こら、教育によろしくないから見るのはやめなさい。こっちのワン〇ャン時〇伝にしなさい。えーとか言わないの。

 

「……ブルアカアプリもあるし、ニケやアークナイツなんかのアプリもそのままだな……」

 

 俺はタブレットのホーム画面を眺めながら、独りごちた。見慣れたアプリのアイコンがずらりと並んでいる。とりあえずラピからのメッセージが気になるが……これどうすりゃええねん。指揮官室に行けって言われてもな……。

 

「まさかな……。アプリをタップしたらニケの世界にいけるなんて、そんなことあるわけ……」

 

 そして、恐る恐るお尻が魅力的な女神のアイコンに指を伸ばした。

ポチッとな。

 

 すると、目の前が光に包まれ、強烈な浮遊感に襲われた。

 

「のわあああああああああ(二度目)!」

 

――――――――――

――――――

――

 

 「いでっ!」

 

 気づけば、俺はソファから転げ落ちて床に尻餅をついていた。よく見ると格好もスーツから軍服にかわっている。さっきまでいたのはシャーレのオフィスだったはずなのに、今俺がいるのは……なんだこの、SFチックな部屋は。

 

「……指揮官?もういらっしゃったのですね」

 

 声がする方に目をやると、アプリアイコンで見慣れた顔の美女がいた。うお……ふっと……。

見渡せば、そこは間違いなくNIKKEの前哨基地にある指揮官室だった。壁一面のモニターには、アークの状況を示すデータが並んでいる。

窓の外には、前哨基地の賑やかな景色。

 

「えぇ……(困惑)。マジで来ちゃったよ……」

「……指揮官、どうかされましたか?」

 

 ラピは真剣な眼差しで、俺の腕を引っ張って立たせようとする。

やめてくれ、俺はただ連勤明けで疲れてて、ガチャ引いて寝たかっただけの一介の社畜なんだ。

なんでキヴォトスの次はアークで働かにゃならんのや。

 

「あっ! 師匠! こちらにいらっしゃったんですね!」

「も~指揮官様、探したのよまったく!」

 

 ラピに続いて、アニスとネオンも入ってきた。

ニケにおけるメイン部隊である、カウンターズ勢ぞろいである。

 

「全員そろったようね。……それで指揮官。任務内容ですが」

 

 ラピが手にした端末を俺に見せる。そこには”地上特定エリアにおけるラプチャー残党の掃討”とあった。

 

「どうやら地上で定期パトロール隊が奇襲を受けたようです。生存者は救助済みですが、ラプチャーの集団が残っているとのこと。我々カウンターズに出撃命令が下りました」

「まーたラプチャーですか。しつこい奴らね……指揮官様、さっさと片付けて炭酸水、買いに行きましょ!」

「おやアニス……残念ながら師匠は、この後私と火力アップパーツを探しにいく予定があります!」

「そんな予定さっきまでなかったでしょ……」 

 

 いやいやいや、盛り上がってるとこ悪いけど、無理よりの無理よ?

さっきは画面越しだったから何とかなったけど、今度はガチの現場じゃぞ。俺、死ぬんか?

内心で滝のように汗を流している俺の心情など露知らず、三人はテキパキと準備を始める。

 

「指揮官、行きましょう」

 

 ラピに手を引かれ、俺はなすすべもなくエレベーターゲートへと向かう。

……どうして恋人つなぎなんですか? ついていけるから離して……力強っ?!

 

「(わあ。ラピったら大胆~)」

「(しばらく師匠と会えていませんでしたからね……溜まってるんですよ)」

「(こりゃ今夜は寝かせないつもりね……私たちの分も残ってるといいけど)」

 

 後ろで不穏な会話が聞こえるが、気のせいだと思いたい。

ラピに腕を絡めて手を繋がれたままエレベーターを昇り切ると、そこには荒廃した地上の景色が広がっていた。

 

「もうだめだぁ……おしまいだぁ……」

 

 俺の小さな悲鳴は、地上から吹き付ける風の中に消えていった。

 

――――――――――

――――――

――

 

 ラピに先導されて、指定されたポイントに来ると、奴らに遭遇した。

目の前には、SF映画で見たような無機質な金属体――ラプチャーの群れ。

すごく……大きいです……! ゲーム画面で見るより10倍はデカいし、なにより殺意がすごい。物理的な殺意がビリビリ伝わってくる。

いまからこんなのと戦るんですか?? 

 

「指揮官、指示を」

 

 ラピが冷静な声で俺を促す。

隣ではアニスが「さっさと終わらせますか」とグレポンを構え、ネオンは「火力!私の火力を見せる時です!」と目を輝かせている。

いや、指示って言われても!

 

 さっきのブルアカはまだマシだった。あれはカード形式で、俺は「カードをタップする」というワンボタン作業を安全地帯で徹すればよかった。

でもNIKKEは違う。TPSだ。三人称視点のシューティングゲーム。

遮蔽物に隠れたり、リロードしたり、スキルを撃つタイミングを計ったり……そんなもん現地で指示できるわけないだろ!いい加減にしろ!

 

「あ、あの、みんな、とりあえず遮蔽物に隠れて……!」

 

 俺が蚊の鳴くような声で指示(になっていない懇願)を出した、その時だった。

 

ぶるーあーかいぶっ♪

 

「……おん?」

 

 聞き覚えのある軽快な声が響いた。

おそるおそる取り出したタブレットの画面には、セーラー服の少女が腕を大きく回しながら1号の変身ポーズっぽいものを決め、にっこりと笑っていた。

 

『先生!お困りのようですねぇ!』

「アイエ――――ッ!? アロナ=サン?! アロナ=サンナンデ!?」

 

 思わず素っ頓狂な声を上げてしまった俺に、カウンターズの三人が「?」と怪訝な視線を向けてくる。

 

『このアロナ、先生の危機を察知して駆けつけました!というか、シッテムの箱は常時起動してるので全部筒抜けですよ!』

『急に転移シーケンスが作動したと思ったら、外の世界でお仕事をされていたんですね…… かってに逃げちゃダメじゃないですか先生!』

 

 逃げたのと違うわ! というかそんなことより、現地で戦闘指揮なんか、こんなのできっこないよぉアロナえもん! 

 

『も~、先生ってばしょうがないですね……。これをこうして……これなら指揮できるでしょう!えへん!』

 

 アロナが言うが早いか、タブレットにはニケで見慣れた戦闘画面が表示された。

そこにはカウンターズ三人の体力バー、スキルアイコン、そして目の前のラプチャーを狙うためのレティクルが表示されている。

 

「おおっ、いつもの戦闘画面だ!すごい!」

 

 『すごいでしょ!』とアロナが胸を張る。

どうやら俺が指を動かせばみんなの照準が動き、アイコンをタップすればスキルが発動する仕組みらしい。

 

「指揮官? どうされたんですか?」

 

 ラピが不審そうに眉をひそめる。まずい、これ以上変な奴だと思われたら社会的に死ぬ。

 

「……いや、なんでもない。集中していただけだ。……ほらいぐどー!」

 

 俺は腹を括った。もはややるしかない。ヤッテヤロウジャネェカヨコノヤロウ!!

ゲームセンターで鍛えたガンシューティングの腕(なお戦績は平凡)を見せてやる!

 

「ラピ!目の前のデカいやつを!アニスは右の小さい群れを掃討!ネオンは援護!」

 

 俺がそう叫びながら、タブレットで目標に照準を合わせる。すると、不思議なことに、ラピたちの動きが俺のイメージと完全にシンクロした。

 

ドドドドドッ!

 

 ラピの射撃がラプチャーのコアを正確に撃ち抜き、アニスのグレネードが小型ラプチャーを一掃する。

 

「うひょー!今日の師匠、なんかキレッキレじゃないですか!」

 

 ネオンが笑いながらリロードする。

いける、いけるぞ!

ゲーム感覚で指揮できるなら話は別だ!俺はかつて、『ハ〇ス・オブ・ザ・デ〇ド』をテンコインクリア(ザコ)した男だぞ!

 

「ネオン、スキル発動!」

『いよいよお見せする時が来ましたね! 私の究極の火力を!』

 

 皆のバーストスキルが炸裂し、凄まじい爆発がラプチャーの群れを飲み込む。まるで花火のようだ。

こうして、俺の死に物狂いのリアルTPS指揮は、なんとか勝利に終わったのだった。

 

――――――――――――

――――――

――

 

 前哨基地に戻った俺は、ソファに崩れ落ちるように倒れ込んだ。精神的な疲労がヤバい。もう指一本動かせない。

 

「いやー、今日の指揮官様、すごかったわねー!鬼神かと思っちゃった!」

「はい!私の火力も、師匠の的確な指示のおかげで最大限に引き出されました!」

 

 アニスとネオンが興奮気味に話している。その隣で、ラピは何も言わず、ただじっと俺を見つめていた。その瞳には、今まで以上の信頼の色が浮かんでいるように見えた。

……嫌な予感がする。仕事はしたし、ここは早く退散するとしよう。

 

「みんなお疲れ様……。俺は休むから、皆も部屋に戻って休みなね」

「お待ちください、指揮官」ガシッ

 

 シキカンは にげだした!

しかし まわりこまれてしまった!

 

 そそくさと部屋を出ようとすると、異様な雰囲気でラピが俺の腕を捕まえてくる。

悪い予感は、悲しいかな的中してしまった。

アニスとネオンが何かを察し、「じゃ、シャワー浴びてくるからー」「わ、私はガンショップに!」と部屋を出て行った。

 

「指揮官」

 

 ラピが、そっと俺の前に立った。そして、どこからともなく取り出した分厚いファイルを、テーブルの上に置いた。

 

「……何かな?ラピさんや」

 

 俺は引きつった笑みを浮かべた。そのファイルの厚さは、ユウカが見せてきた書類の山とほぼ同じだった。デジャヴ。

 

「今回の任務報告書です。それと、先週までの物資の在庫確認リスト、そして中央政府への次期予算要求申請書です。……いろいろと、溜まっております」

 

 ……あっ(察し)。どうして近未来的な世界なのにペーパーレス化してないんですか?キレそう……

 

「今日中に、お願いします。私もお手伝いいたしますから」

 

 ラピはそう言うと俺をソファに座らせて、静かに横に座り、書類整理を始めた。

……なんでそんなピッタりくっついてくるんですか?仕事し辛くありませんか君?

 

 体をよじって逃げようとすると、腰に手を回して抱き寄せてくる……だから力が強ぇ!

ぐおおすごくいいにおいかんしょくががががががが……

 

「指揮官、まずはこちらの書類にサインをお願いします」

「アッハイ」

 

 疲れ果てた俺は、むちむちぼでぃと絶望的な量の書類の山に挟まれて仕事を始めた。

キヴォトスに続き、アークでも俺の安息は訪れなかった。もう、俺のHPはゼロよ!

 




ラピ
和名:エリシオンアカフトモモ
 
せいそくち
アーク前哨基地、地上(おもにシキカンオンナタラシの生息域ちかく)
 
とくちょう
指揮官がブルアカの次に遭遇した、ニケ科と呼ばれるしゅるいの生物。総じて体が肉厚な傾向にあるのが特徴。
背中で見せるガンガールの名に恥じぬ、すばらしいぷるんぷるん具合を持っているぞ!
いつも無表情で何を考えているかわからないが、実はシキカンオンナタラシのことになると感情がバグっている。

のうりょく
戦況把握:番がサボろうとしたり、他のメスに気を取られたりすると、音もなく背後に出現するぞ!コワイ!
「詳しく 説明してください 私は冷静さを欠こうとしています」

レッフーモード:ごくまれに口調が不良みたいになるぞ! 求愛の奥の手でこの姿を見せることがあり、このすがたを見たシキカンオンナタラシはイチコロだといわれているぞ!
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