ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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胎動

 

「それで私をお呼びになったと…ナカモト博士」

 

「そうだ、ソーンと一緒に仕事をしていた君なら何かを分かるかと思ってね。ミア博士」

 

 上層部から激しい叱咤を受けたナカモトは気が進まなかったがソーンと共に働いていたミアを解析班に招待した。

 当初、事情を知ったミアの反応は悪かったが予想とは違い、素直に班に入ってくれ安堵していた。

 

「ソーン様…」

 

 ミアはソーンが眠るケースを優しく撫でると黙って指定された部屋に向かうのだった。

 

ーー

 

「主導していたのは保安長官だ。昔はエプタ島の最高権力者だったらしいが。偉そうで気にくわない奴だった」

 

「そいつが私たちを?」

 

「アークの上層部に案を出したのは奴だ。ゴッデスはいずれ禍根を残すとな」

 

 シェルター内で腰のフレームを修理されながら話すL。

 

「そしてソーンはアークの最奥に閉じ込められているか…」

 

「あぁ、茨の園とか言ってたかな。そのシステムに組み込まれている。実質死んだと言っても過言ではないだろうな」

 

「だから死んだと言っていたのか」

 

 Lの知りうる限りの情報を聴きながらスノーホワイトは彼女の修理を続けた。

 

「お前は思考転換をして技術を失ったと聞いていたが見事な手並みだな」

 

「監視所の端で見つけた箱に私の名前が書いてあった。見つけたのは皆と別れてからだが」

 

 その箱の中には持ち運びやすいようにカスタムされた工具箱と工具たち。その使い方とやり方を記したデータチップが入っていた。

 

「私はその通りにしているだけだ」

 

「殺そうとした私が言うのもなんだが。顔ぐらい見せてやれば良かったのにな」

 

「色々あるんだ」

 

「…そうか」

 

 体がかなり動かせるようになり喜ぶLは大人しくする。

 

「これからどうするつもりだ?」

 

「保安長官を殺す。たっぷり後悔させてからな」

 

「アークに入れるのか?」

 

「方法はある。エレベーターの位置さえ分かればな」

 

 現在アークは完全に封鎖されているがそれが長く続くわけがない。物資は無限ではない、物資調達にせよ、地上奪還にせよいつかは地上にでてくる。

 

「何故だ?」

 

「リブラ部隊が私たちを回収しに来た時、奴はもがく私を見て笑って言ったんだぞ。ゴミはいらないとな」

 

「そういう人間だと分かっていただろう?」

 

「あぁ。だが、分かっているのとやられて腹が立つのは別だろう?」

 

「そうだな…そいつが死んだらアークに影響はあるのか?」

 

「ないな、アイツは寄生虫だ。それに人1人死んだところで回るのが社会システムじゃないのか?」

 

「…そうだな」

 

ーー

 

「不可能です」

 

「…」

 

 数日と言う時を費やしてミアの導き出した答えは予想通りであった。

 

「この世でこれを解析できるのは本人ただ1人です。ですが貴方たちは対話を放棄した。その結果がこれです」

 

 その場にいたもの全てが言葉を失う。ミアの言うことはその通りであるからだ。

 

「解決策はあるか?」

 

「我々が解析できないのであれば諦めるしかありません。ソーンに直接作らせるしかありません」

 

「直接作らせる…」

 

 ナカモト博士はしばらく考え込むとなるほどと考える。

 

「茨の園と開発施設を繋げてソーンに直接作らせれば解析しなくても何かしらが出来る可能性がある!」

 

「それには非常に高度で専属の設備が必要です」

 

「そうだな。あらゆるシステムから切り離された無人工房を作ろう。上層部に提出用の資料を作ってくる!」

 

 ナカモト博士は急いでその場から離れ、資料を作りはじめる。

 

(ソーン様、なにかお考えがあっての事でしょう。私が出来るのはここまでです)

 

 ミアは静かに中に入ったソーンを見つめるのだった。

 

ーー

 

 青い空に白い雲、静寂に包まれた世界の大地には勝利の翼号が鎮座していた。

 だがそこは現実世界ではなく、いわゆるソーンの心象風景と言うものだ。

 ゴッデスの仲間たちと笑いあったこの船こそがソーンの心に刻まれた風景なのだ。

 

 甲板の縁に腰かけていたソーンは静かに青空を眺める。

 するとその後ろから酒を片手に歩み寄ってくるソーンが居た。

 

「……」

 

「よう、ヘクトール」

 

 ソーンはヘクトールの横に座るとお互いが全く同じなので見分けが着かなくなる。

 

「話そうぜ」

 

 

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