ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

31 / 35
ゴッデスのソーン

 

(一撃でコアを破壊する)

 

 Lの渾身の一撃がソーンのコアを貫こうと放たれる。例えこれが避けられようともMとGが対応してくれると疑わなかったLの一撃は真っ直ぐだが最速にして最高の一撃であった。

 

「え?」

 

 だがその一撃は避けられた。Lの視界からソーンが消えたからだ。他のニケと比べても高い動体視力を持ったLでさえ認識できないほどの速度で消えたソーン。

 それとほぼ同時に彼女は身体の自由を失う。

 両腕を身体ごと足で拘束され腕で首を絞められる。

 

「が!がぁぁぁ!」

 

 Lは完全に拘束されソーンの剛力によって一瞬で背骨を折られる、続けざまにLの身体中から何かがへし折られる音が鳴り響き続ける。

 

「……」

 

 2人が密着している状況とあまりにも異常な光景にMとGは恐怖を感じ身動きが取れなくなり、駆け付けてきたSも状況が理解できずに固まる。

 

「ああぁぁぁぁっ………」

 

 Lの悲鳴は首があらぬ方向に曲がった瞬間に途絶え、力なく倒れる。

 

「殺す」

 

 MはLごと蜂の巣にするために銃口を向け、引き金を引こうとした瞬間、ソーンは素早く射線から外れる。

 だが全ての装備をパージした彼女は接近戦しか選択肢はない、Mならヤツが迫る前に蜂の巣に出来ると確信していた。

 

「M、避けろ!」

 

「は?」

 

 Gの声に反応したMの眼前にはLの大槍が高速で飛翔してきていた。

 

「うそ…」

 

 大槍はMのコアを貫くと彼女を絶命させる。

 Mは膝をつきながら静かに倒れるのを気にやる余裕はGにはなかった。

 リーダーであるLと重火力であるMをやられ、残ったのはメインウェポンを失ったSと己のみ。

 

「くそが!」

 

 Gの左腕にはロープが巻き付き、高圧電流を流される。

 まともに受けては不味いと判断したGは銃剣で左腕を切断し難を逃れる。

 距離を取って蜂の巣にするのが一番の最適解だ。だからこそソーンはMを最優先で狙ったのだ。

 Gが大きく下がると同時に駆け付けたSはMの機関銃を拾い構える。

 

「S!」

 

「分かってる!」

 

 ソーンはヒートロッドを伸ばしヒートサーベルを拾うとそのままこちらに手繰り寄せずに渾身の力で横に振るう。

 鎖鎌のように振るわれたヒートサーベルは遠心力により、凄まじい速度で振るわれたと思えばSの首を切断した。

 

「くそがくそがくそが!」

 

 咄嗟に姿勢を低くしていたGだけが助かり、血のような真っ赤なオイルを噴水のように噴出させながら倒れるSを見る。

 Gは駆ける、止まったら殺されると直感で感じたからだ。

 

 サブマシンガンで弾幕を張りながら突っ込み、銃剣でヒートサーベルを弾くと弾が切れた銃を棄て、彼女の肩を掴むとブーツの爪先から隠し刃が出てソーンのコアを狙う。

 だが胸に何かを押し当てられ体勢が崩れる。

 

(Lのショットガン…)

 

 ゼロ距離射撃で吹き飛ばされるGは地面を転がるとソーンに首を踏まれ身動きが取れなくなる。

 

「…バケモノめ」

 

「……」

 

 ショットガンの弾が切れるまで頭部に撃ち込まれ絶命するG。

 

「これは…」

 

「…」

 

 Gが絶命してすぐ、パリスは目の前に広がる光景に絶句する。通信を切ってから3分もかかっていない、だと言うのに満身創痍のはずのソーンが立ち、リブラ部隊が全滅していたのだから。

 

「流石ですね。姉さん、まさかリブラ部隊がやられるとは。でもこれも望んでいた結果ではありましたが」

 

 パリスは嬉しそうに手を叩きながらガスマスクを取るとそこにはソーンから隈を無くした瓜二つの顔があった。

 

「なぜ笑う。仲間が死んだのに」

 

「姉さんが記憶を失っても姉さんだったからですよ」

 

 ケラケラと笑うパリスを睨み付けるソーン。

 

「私たちは身内を殺すしか出来ないんです。その為に造られたのですから!だから殺しましょ、ゴッデスもアークもみんな殺しましょ!」

 

 笑うパリスの顔の横を投げつけられたショットガンが通り過ぎる。

 

「黙れ…俺の家族はゴッデスだけだ」

 

「家族は私だ!」

 

 先程の笑いが消え去り、物凄い形相で激昂するパリスは斧を取り出す。

 

「まぁ良いです。取り敢えず四肢を捥いで連れていきます。家族擬きが死ぬのを見せて本当の家族のありがたみを知ると良いですよ」

 

「余計なお世話だ」

 

 だがやることは変わらない、背後にいるはずのドロシーを、ラプンツェルを、スノーホワイトを、紅蓮を守るために退くことはない。

 

 EXAMの残り時間も少ない。

 

「っ!」

 

 一気に距離を詰めるソーンに容赦なくアサルトライフルで弾丸を浴びせるパリス。Gの死体を盾にしながら、接近し、ヒートサーベルを振るうが斧に阻まれる。

 ビームサーベルでライフルを破壊するとパリスはもう1本の斧を取り出して2刀と2斧の激しい攻防が続く。

 

 流石、対ニケ戦闘に特化したタイプと言うべきか立ち回りはソーン以上であった。

 

「貴方は最初の任務で消えた。私を置いて…せめて連れていってくれればこんなことにならなかったのに!」

 

 パリスが投擲した斧が左肩に刺さり、突き出したヒートサーベルを蹴りあげられ飛ばされる。

 

「知るか!」

 

「こんなに愛してるのに!」

 

 ビームサーベルを構え前進するソーンと避けるために一気に後退するパリス。

 

「刃が...伸びる!」

 

 ビームサーベルを最大出力にしていたソーンのサーベルは伸びパリスの胸と左腕を切り飛ばす。

 それと同時にソーンも右腕を切り飛ばされ、そのまま左膝を砕かれる。

 

「ぐっ!」

 

「姉さん!」

 

「俺はゴッデスのソーンだ!」

 

 左肩に突き刺さった斧を投擲しパリスの脳天に直撃する。

 頭を斧でかち割られたパリスは一言も発することなく倒れる。

 

「すまん…」

 

 正気ではなさそうであったがそれほどまでにソーンの事を思ってくれていた子に対して短く発した言葉は本心であった。

 

「少し…疲れたな...」

 

 膝を完全に砕かれ修理しないと立ち上がれないだろう。

 

「しかしあんなに派手に戦っておいてラプチャーが来る気配すらないとは…」

 

「リブラ部隊は5人だけではありません。部隊所属の量産型ニケたちが周辺をクリアにしているのですよ」

 

「こんな状況で外に人間がいるとはな…名前は?」

 

 ソーンは1人で堂々と歩いてきた男に感心しながら笑う。

 

「オスワルドと申します」

 

 





パリス
【挿絵表示】


 ソーンと同時期に開発された妹であり彼女を唯一の家族として心から尊敬している。
 同じ顔なのは喜んでいる反面、ソーン以外の他人が心底嫌いであり、相手への嫌悪を隠そうとしない、表情を取り繕いたくないために常にガスマスクを着けている。
 ラプチャー戦役以前の戦争孤児であり、生前のソーンとは生前からの知り合い。その頃から実の姉のように慕っていた。
 ソーンとパリスの開発責任者はパリスの目の前でソーンの悪口を言ったために、壮絶な拷問の末に殺された。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。