ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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リブラ部隊
 対ゴッデス暗殺部隊4機の特化型と複数の量産ニケによって構成されている。

L
 リブラ部隊のリーダー的存在。
 切っ先が剣のような大槍を持ち、左腕にはバックラー、左腰にはショットガンを装備している。
 青いスリッドが特徴。

S
 リブラ部隊の狙撃手。
 口が悪くGのことが嫌い、サブウェポンに拳銃とナイフを所持。
 赤いスリッドが特徴。

M
 部隊員で一番背が小さい。
 背丈と同じぐらいの機関銃を持ち冷淡な性格。
 紫色のスリッドが特徴。

G
 リブラ部隊の前衛。
 口が悪く、大雑把な性格。
 二丁のサブマシンガンに銃剣が装着されている。
 黄色のスリッドが特徴。



4対1

 

 荒廃した大地、乾いた峡谷に対峙する4人と1人。

 

「ソーン博士、ここで退けばなにもなかった事にする。貴方の排除は認められていない」

 

「別にお前たちに恨みもないし、殺したくもない。リリスと約束してた。ニケと人間は殺さないって…だが」

 

 ソーンの声が一気に低くなる。

 

「仲間に手を出すなら殺すしかねぇ」

 

 リブラ部隊の4人が息を飲むと彼女たちが着けていた無線機から声が聞こえる。

 

「待ち伏せされているのは予想外でしたが来ると思ってましたよ姉さん」

 

「俺に妹は居ない」

 

「姉さん…思考転換して記憶がないのは承知してます。でも貴方は私にとって姉であることに変わりない」

 

 リブラ部隊と視界を共有していたパリスはエレベーターの前で無線を片手に話す。

 

「姉さんがグレイゴーストとして発見された時、気付くべきだった。でも気付いた頃にはゴッデスに入っていた私の気持ちが分かりますか?」

 

「……」

 

 自ら行った自己改造が明暗を分けたと言っても過言ではない。完全に謎に包まれたニケと言う肩書きを手にしたからこそソーンはゴッデス部隊に入れたのだ。

 もしそれがなければソーンは元の部隊に戻されていただろう。

 

「トロイメア計画は破綻した。ですが私たちは同じ目的のために造られたニケではありませんか」

 

 無線機から聞こえてくる言葉にソーンは表情を一切変えずに構える。

 

原初にして最強のニケ《リリーバイス》

 

リリーバイスを参考に三大企業が技術の粋を集めて製造されたフェアリーテイルモデル。 

《ドロシー》

《ラプンツェル》

《スノーホワイト》

《レッドフード》

 

 そして傭兵上がりながら人類連合最高の実力を兼ね備えた指揮官。

 

 文字通り世界最強の部隊、人類の決戦部隊。

 

 そんな彼女たちはラプチャー進攻と言う災害を乗り越えるための対抗措置としてつくられたのは良いが問題が生じる。

 ゴッデス部隊が特定の派閥、思想に走った時に彼女たちを止める手段がないと。

 

「そのカウンター装置としてつくられた部隊がイリオス部隊、ゴッデス暗殺を目的とした部隊だろ」

 

「流石です。思考転換で全て忘れたと思いましたが…なぜその答えに?」

 

「軌道エレベーターの時に死にかけてな。その破片で作り上げたラプチャーのニケ擬き。ソイツは格闘戦をよく分かっていた。ラプチャーだったのに」

 

 紅蓮は言っていた。まるで暗殺者のような足捌きであったと、対ニケのために進化し、射撃戦に適応したラプチャーが格闘戦を知っているのはおかしい。

 

 俺が転生して憑依したのならラプチャーが体から抽出できたのは元の身体の主であった者のデータだ。

 ソイツはドロシーとリリーバイスの攻撃をいなしたくせに、紅蓮と自分の攻撃を受けてしまうと言う矛盾を抱えていた。

 

 後は答え合わせ、前ソーンにはリリーバイスとドロシーの戦闘データが入っていたが新規に入った紅蓮とソーンの戦闘データが入っていなかったから対応できなかった。

 

 ゴッデス暗殺のためだけに集められた古いデータによってドッペルゲンガーはソーンが容易く葬れた訳だ。

 

「そしてお前たちにも最新のゴッデスの戦闘データが積まれ、訓練をしてきたんだろ?でも誤算が起きた、スノーホワイトと紅蓮の思考転換、その後のデータがない。だからみんながボロボロのこのタイミングを逃せない」

 

「パリス」

 

「はい?」

 

「ソーンは我々の任務の障害だ」

 

「……分かった。交戦を許可、上層部にはこちらから伝える」

 

 リブラ部隊はそれぞれの武器を構え、交戦に備える。

 

「さぁ、来い。戦いかたを教えてやる!」

 

ーー

 

「しゃあ!」

 

 ソーンの声と共にGが飛び上がり、二丁のサブマシンガンを乱射、銃弾の雨を降らせる。

 シールドで受けつつ、周囲を警戒するとLが切っ先が剣のようになっている大槍を構えながら突進、ヒートサーベルと何度も切り結ぶ。

 

「槍を持つだけはある」

 

「接近戦はお前たちだけの十八番ではない」

 

「おら!」

 

 乱射しながら落ちてきたGはシールドを足場にして着地しようとした瞬間、ソーンはガトリングの銃身でGを殴る。

 

「おっと!」

 

「身軽だな」

 

「よそ見!」

 

 Lのランスを避けるとホバーを起動させ周囲を索敵すると遠距離の崖上で配置についたSを見つける。追撃してきた2人の鼻先にクラッカーを投げ込んでやれば炸裂する爆発に思わず後退する。

 

 ランドセルにマウントしていた対艦ライフルを取り出すとSと銃口同士睨み合い、ほぼ同時に射撃、お互いの頭部めがけて飛翔した弾丸同士が接触し軌道が逸れる。

 

「くっ!」

 

 近くに着弾した対艦ライフル弾の威力にSは思わず怯む。

 レッドフードのウルフスベインを参考にした対艦ライフルの威力は想像を遥かに越えていた。

 

 Sはすぐさま、狙撃地点を変えていた頃。

 ソーンも即座に位置転換をしていたが背後からまるで電動ノコギリのような銃声が響き渡る。

 

「マジか!」

 

 完全な死角からの攻撃に左脚部ホバーユニットを損傷、すぐさまパージする。

 

「迂闊…」

 

 機関銃を撃ちながら接近してくるMに対して右のホバーユニットをパージしながらそのユニットをぶつけようと飛ばす。

 だがそんな単純な攻撃は簡単に避けられるがユニットがMの直近まで来た瞬間、自爆。爆炎に巻き込まれる。

 Mは素早く身を翻すと目の前に移ったのはヒートサーベルの刀身、胴体を切り裂かんと振るわれた剣をLの槍が受け止める。

 

「気を抜くな」

 

「抜いてない」

 

「なら、問題だな」

 

 双方、一旦距離をとる。

 タイマンで勝てるとは思っていなかったが4人相手にやや圧倒されるとは思わなかったリブラ部隊は認識を改める。

 ゴッデス部隊の中ではソーンは強い訳ではない。どちらかと言えば支援や開発向きであったからだ。

 

 だがそれは対ラプチャー戦での事、対人、対ニケ戦闘においてはゴッデスの中でもソーンはトップクラスの部類である。

 

「しゃあ!」

 

「ぐっ!」

 

 Gは足でソーンの首を締めつけながら肩車状態になるとサブマシンガンに装着していた銃剣で頭を貫こうとする。すぐさまヒートサーベルで銃剣を弾くとソーンはそのまま頭を岩に叩きつけ、Gを岩に埋める。

 

「ちっ!」

 

 一瞬、意識を飛ばされたGは力なく地面に転がるがLはその隙に大槍で刺突、だがそれは脇に挟まれ槍を固定させるとヒートサーベルを振るうがLも左腕に付けられたバックラーで防ぐ。

 

「このやろう!」

 

 数度、地面を転がったGはすぐさま体勢を整えて立ち上がると銃口をソーンに向け、Mも射線が被らないよう機関銃を向ける。配置についたSも狙撃銃で狙いを定め、これでソーンは袋のネズミと化した。

 

「………」

 

 Lは左腰のショットガンを抜くとゼロ距離射撃、ガトリングが大破し爆発する。2人の距離が離れた瞬間、3人は爆炎に飲まれたソーンに向けて引き金を引こうとした瞬間。

 彼女は下がることなく後退するLにピッタリくっついて前進してきた。

 

「な…ん…くっ!」

 

「L、邪魔だ!」

 

「射線が」

 

「…やられたわね」

 

 どう撃ってもLに当たる状況。

 完全に仲間を人質に取られた状況で3人は一瞬、躊躇うが状況を打破したのはL。

 

「殺るなら殺れ!」

 

 彼女はコアをバックラーで守りながら倒れ、無防備な状況のまま仰向きに倒れる。

 

「ちっ!」

 

 ソーンも彼女の意図が分かると対艦ライフルを左手のみで保持しSに向ける。コンマ数秒の沈黙と共に互いが撃ち合う。

 Sの狙撃銃は木っ端微塵にされ、ソーンのバイザーが吹き飛ぶ。

 

「くっ!」

 

「片手で当ててくるなんて…でもおしまいよ」

 

 Mの射撃がソーンに襲いかかり、シールドは粉砕され、サーベルは吹き飛ばされる。

 Gの銃剣が背中から彼女のバックパックごと胸を貫き、ソーンは苦悶の表情を浮かべる。

 Lはそれを見て素早く立ち上がると槍を構え直し、Sもサブウェポンの拳銃を取り出して崖を降りる。 

 

「流石に4人相手は無謀だったなぁ!」

 

「……」

 

「っ!?」

 

 背中から串刺しにしたはずのソーンの鋭い眼光に思わず銃剣を抜いて下がるG。

 

「ぐっ…げぽっ!」

 

 血反吐を吐きながら片ひざをつくソーンをカメラ越しで見ていたパリスは悔やみながらも言葉を発する。

 

「姉さん、最後の勧告です。これ以上になれば私は止められません。私と共に元の使命に従事するか。アークで安楽な人生を歩むか」

 

「……」

 

「躊躇う必要はありません。ゴッデスなどただの仮宿ではないですか。最初はそう言う契約だったのでしょう?」

 

 確かにラプチャーと言う訳の分からない存在から避難するために、安定した環境を手に入れるために人類に加わり、ゴッデス部隊に所属していた。

 最初は深く関わるつもりなんてなかった…でも。

 人類のためにひたむきに戦って来た奴らが...あんなに気持ちの良い連中が、最後は裏切られて殺されたなんて物語はなにがなんでも許せない。

 

 自分がそのバットエンドの欠片だと言うのならアイツらとは関われない。それでももう後悔しないために。

 

「俺はハッピーエンドが好きなんだよ」

 

「…そうですか。数分後にお会いしましょう、貴方は死体でしょうが」

 

 通信が切れたのを確認した瞬間、4人が無言のまま動き出す。

 

《EXAMシステム スタンバイ!》

 

 ソーンの装備から電子音声が響き渡った瞬間、彼女の瞳が赤く輝き、全ての装備がパージされたのだった。

 

 

 

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