ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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封鎖作戦

 

 最初に頭を吹き飛ばされたのは部隊のムードメーカーであるサンだった。

 側面から奇襲してきたラプチャーに対応しきれずに倒れた。第七方面軍のエース部隊の副隊長として支えてきた彼女は呆気なく死んだ。

 

 殿を勤めたニアは侵食を受け、隊長であるウォーに処理された。侵食されてもなお、ニアは相棒であるマシンガンを手離さず、味方に撃つこともなかった。

 

 ヤオは心を病みながらも戦い続けたが正面からラプチャーのビームを受けてやられた。

 

 ウォーはピナと共に最期まで戦ったがロード級と相討ちでやられた、敬愛する指揮官の名を最期まで呟きながら。

 

 グレイル分隊は最期まで戦い続け、最期まで生き残ったピナが辺りを見渡せば誰も立っていなかった。

 40機いたバクゥたちも数機を残して全てがスクラップと化し地獄の様相を産み出していた。

 

ーー

 

 アーク入り口に設置された監視所でその凄惨な光景を目にしながらも人類の希望たるゴッデス部隊は健在であった。

 しかし、その内情は悲惨と言うべきだろう。

 

「今は死者の方が良いかもしれません…」

 

「なんですって?」

 

 かつて慈愛に満ちたラプンツェルは多くの死に向き合うばかり。

 

「食べ物の代わりに少し飲んだのさ。穀物で作ったものだから。ははは。」

 

「なにを考えているのですか。こんな状況で飲酒だなんて」

 

 紅蓮は酒に溺れていた。 

 最後に残った量産型であるピナの言葉が耳に残るまま、ドロシーはソーンが残してくれたバクゥたちを見つめる。

 彼らは良く頑張ってくれているが度重なる戦闘で目に見えてボロボロであった。

 昔のスノーホワイトならソーンが居なくとも直してくれただろうが残念ながら今の彼女にそれは出来なかった。

 

(ソーン、せめて貴方が居てくれたら…)

 

 レッドフードと共に大声で笑っていた彼女の顔が浮かぶ。 

 通信でソーンを寄越すようにと何度も願い出ているが反応がない、彼女がその要請を聞いて来ない筈がない。

 ならばアーク側からこの要請を止められているとしか考えられなかった。

 

(この状況を考えると…アークは私たちを)

 

 遮ったはずの紅蓮の言葉が反芻する。

 

「ソーン…」

 

ーー

 

「…来たか」

 

 その頃、ソーンも最後の作戦を遂行すべく準備を進めていた。

 

「やはりナイチンゲールには厳重な警備が着いています。使うのは難しいですね」

 

「予想通りだ」

 

 ソーンの部屋に監視用のカメラや盗聴機が仕掛けられてあるのは分かっている。それを細工して逆に安全地帯を作り上げていたソーンは部屋に入ってきたミアの報告を聞いて頷く。

 

「その為にこれを残していた」

 

 もしもの時の奥の手の装備を眺めながら呟く。

 

「後は向こうがいつ動くか」

 

「大方予想はつく。アイツらはバカだがゴッデスを舐めていない」

 

「やはり、作戦最終段階…本当に作戦が実行されるのでしょうか?」

 

「じゃなきゃ俺は産まれなかった。ミア、引き継ぎの書類はこの引き出しに入れてある。お前なら問題なく計画を進められるだろう」

 

 ソーンの言葉にミアは深く頷く。

 

「作戦が失敗すれば俺は死ぬ。成功してもアークには戻らない。いずれにせよ、さよならだ」

 

「許せません。私はアークを好きになれそうにありません」

 

「だがここが人類最後の防壁だ。結局のところ、俺が我儘を言ってるだけに過ぎない」

 

 工具箱を持って立ち上がり、扉の前に立つと振り返り、ミアを見る。

 

「元気でな」

 

ーー

 

「えぇ~諸君。君たちの出番が来た」

 

 ガスマスク顔のパリスは愉快そうに話す。

 彼女の前に整列するリブラ部隊は表情一つ変えずに彼女を見つめる。

 もっとも、彼女たちの顔にはフルフェイスマスクが装着され、顔が分からない状態ではあった。

 真っ黒の防弾装備を全身に身に付け、それぞれのマスクのスリッドから、青、紫、赤、黄色の光が漏れていた。 

 

「これを聞きたまえ」

 

《ゴッデス部隊からアークへ。現在の私たちの状況は、絶望的です。一刻も早い支援と補給が必要です。アークの入り口が守れなくなる可能性が高くなっています。この音声を確認次第、支援と補給を送ってください。以上です。返答をお待ちしております。》

 

 それはドロシーがアークへ送ってきた通信音声だった。

 

「ゴッデスはボロボロだ。我々はこの期を逃さない、対ゴッデス部隊として役目を果たそうじゃないか」

 

「気に食わんな。相手が瀕死の時に狙うなど」

 

「L、何度も言っただろう。我々は万全のゴッデスに勝てるのか?」

 

「……」

 

「無理だろう?その大槍が飾りではないと示さないとな」

 

 フルフェイスマスクのスリッドから青い光が漏れる大槍を持ったニケ、Lは悔しそうに顔を背ける。

 

「L、私たちには名誉なんて存在しないの。私たちはそう造られたからそうするだけよ」

 

 紫色の光をスリッドから発しているMは自分の背丈ほどの機関銃を持ちながら答える。

 

「ハハッ!Mに言われたらおしまいだな!」

 

「うるさい…黙れG」

 

 飽きてきたのか二丁のサブマシンガンをクルクルと回しながら笑うGを横目にため息をつくSは鬱陶しそうにGを狙撃銃の銃床で小突く。

 

「元気でなによりだ。向こうはボロボロだし、ラプチャーの相手をしなければならない。勝ち目は十分にある、諸君、励みたまえ!」

 

 パリスの言葉に4人は敬礼をするとまだ封鎖されていないエレベーターに乗り込み、地上へと向かう。4人とは違い、パリスは後で向かう手筈となっており、彼女たちを見送る。

 

「しかし…対象が弱ってるからとは言え。封鎖が完了していない今、仕掛けさせるとは…人間というのは本当に愚かな生き物だなぁ」

 

 パリスは笑いながら静かに呟くのだった。

 

ーー

 

「エレベーターの爆破確認」

 

「これで逃げられないなぁ!」

 

「目的を果たせなければ我々も帰りのエレベーターは教えられない。背水の陣というやつだ」

 

 4人はアークの監視所から少し離れた場所から地上に上がると装備を再確認する。

 

「全員、問題ないな。最優先はスノーホワイト、監視塔に居る奴を排除すれば後は心身ともにガタが来ている奴らばかりだ」

 

「L」

 

 Sの言葉にLが反応すると彼女が見ていた方へと視線を向けるとラプチャーによって踏み鳴らされた大地に1人のニケが立っていた。

 

「どう言うことだ?私たちは極秘なんだろ?」

 

「情報が漏れていた。そして我々を阻止しに来た、それで十分」

 

 ガトリングシールドからヒートサーベルを引き抜き、構えたのはグフカスタム装備のソーン。

 既にバイザーを降ろし、臨戦態勢に入っていた。

 

「リリス、レッドフード…俺は死に場所を見つけたよ」

 

 顔の前にヒートサーベルを掲げたソーンはゆっくりと歩を進めるのだった。

 

 

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