ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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再会

 

 ソーンがアークで作業を始めてからもうすぐ1ヶ月だと言う頃、彼女にあてがわれた個室にミアが資料を持ってきた。

 

「ソーン様、こちらが頼まれたものです。それと個人的に渡してほしいと頼まれまして」

 

「ん?」

 

 書類を渡されたソーンは軽く目を通すと目の色を変える。

 

「何ですかその数字の塊は?」

 

「ミア、これを渡してきたのは無愛想な金髪眼鏡だったか?」

 

「え…まぁ、そうですかね?」

 

ーー

 

 ヘレティック研究所。

 

「うっ…!か、母さん!」

 

 研究員が銃口を頭に向けた瞬間、その拳銃は後ろから来た者に掴まれグチャグチャに握りつぶされる。

 

「寝てろ」

 

「へぁ!」

 

 軽い電気に当てられた研究員はそのまま意識を失う。

 突然の出来事に驚くシンデレラは研究員の背後から現れた人物の姿を見るや彼女に飛びついて泣き始める。

 

「ソーン!」

 

「シンデレラ…」

 

「遅かったな」

 

「エイブ…連絡が直前すぎるんだよ。これでも飛ばしてきた方だ」

 

 シンデレラがソーンを抱き締めたまま泣いている間、彼女とエイブも握手を交わす。

 

「でも…なんで?」

 

「ゴッデスをなめるなよ。頭が吹き飛ばされたぐらいで死ぬか!」

 

「えぇ、そうね。流石はゴッデスだわ」

 

「流石にお前だけだろう。それは…」

 

 豪快に笑うソーンを見て安心したようにスリスリしてくるシンデレラを撫でながら状況を把握する。

 

「とにかくここはもう駄目だ。エイブとシンデレラは撤退してくれ」

 

「お前はどうするんだ?」

 

「助けれる命は助けとかないとな」

 

 気絶させた研究員を担ぐと笑いながら瞳に涙を浮かべるシンデレラをまた撫でてやる。

 

「とにかく生きてて良かった。シンデレラ」

 

「でも私は…赦されないことをしたわ……」

 

「お前の意思じゃないだろ?」

 

「でも……」

 

 落ち込むシンデレラに視線を合わせるとソーンはゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「それが己の過ちだと言うのなら。それを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、生きる者の特権だ」

 

「ソーン…」

 

「絶望の先に希望を産み出すのが英雄じゃないのか?安心しろ、お前はもうゴッデスだよ」

 

 ソーンの言葉にシンデレラはもう一度、しっかりと抱き締める。その感触と温もりを二度と忘れないように。

 

「元気でな…シンデレラ」

 

 シンデレラを見送った後、研究所の生存者をまとめると避難を始める。

 

「流石はゴッデスですね。これ程早く避難が進められるとは」

 

「じゃあ、後は頼んだ。俺はナイチンゲールで外のラプチャーを倒してくる」

 

 避難誘導していた量産型ニケに研究員を渡して格納庫に置いてあるナイチンゲールの元へと向かう。

 

「しかしなんでラプチャーが」

 

 シンデレラは正気を取り戻していたのにラプチャーの群れが研究所に殺到するとは何が起きているのか…。

 やはりラプチャーの動きに知性を感じる気がする。

 

「考えは後、まずはラプチャーを一掃してから…っと!」

 

 ナイチンゲールに乗り込もうとした瞬間、ドッペルゲンガーが後ろから斧を振り下ろしてきた。

 

「なんとなく来ると思ってたよ!」

 

 ナイチンゲールを自動操縦にしてラプチャー迎撃に向かわせながら拳銃で応戦するも避けられる。

 

「適応してるか」

 

 ドッペルゲンガーについては少しだけ心当たりがある。

 ソーンは構えると格闘戦でドッペルゲンガーと交戦を始める。

 リリーバイスから教わった軍隊式の格闘術だったがことごとくをいなされ、首を飛ばされそうになる。

 

「こわっ!」

 

 大きく後退するソーンを逃がすまいと猛追してくるドッペルゲンガーに対して身体に納めていた刀を取り出して斬りかかる。

 紅蓮から教わっていた剣術を駆使し立ち回り、攻撃すると斧で受け止めるドッペルゲンガーは先程までの勢いは衰え、今度は防戦一方になる。

 その動きを見てソーンは確信する。やはり予想は正しかったと、そして果てしないほどの怒りが湧いてくる。

 

「てめぇらは…そうやっていつも…自分だけ賢いと思いやがって!」

 

 右手で斬りかかると同時に左の二の腕からビームサーベルを取り出してドッペルゲンガーの左腕を切り飛ばすと右腕を顔面に向ける。

 

 ソーンの前腕に銃口が中から生え、ドッペルゲンガーに向けてゼロ距離射撃を浴びせる。前腕チェーンガンが弾切れになると文字通り、頭が蜂の巣になったドッペルゲンガーは力無く、倒れる。

 

「くそが…」

 

 沈黙するドッペルゲンガーの右腕を切って回収すると思わず悪態をつく。

 これでもう自分は戻れなくなってしまった。あの仲間のところへ家族と呼べる者たちの所へは…。

 

「みんな。ごめんな…」

 

ーー

 

 ヘレティック研究所、調査報告。

 

 ヘレティック研究所はラプチャーの大規模襲撃により壊滅。

 

 死者56名、大破21機。

 

 研究所内資料はほぼ逸失。

 

 ヘレティックアナキオールの研究のため派遣されたゴッデス部隊所属ソーンの迎撃によりラプチャー襲撃を遅延させたものの、度重なる波状攻撃により撤退。

 

 迎撃中にアナキオールは脱走。

 

 ヘレティック・アナキオールはコーリングシグナルによりラプチャーを召集。

 

 施設の混乱に乗じ脱走したものと判断する。

 

 

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