自民党側が公式に誤りを認めたこともあってか、各メディアも事実誤認を批判する記事をのせている。
国光外務副大臣、質問通告めぐり投稿削除し謝罪 高市首相の3時準備 [高市早苗首相 自民党][自由民主党(自民党)][立憲民主党][高市早苗首相 自民党総裁]:朝日新聞
午前3時過ぎからの首相公邸での衆院予算委員会の答弁準備をめぐり、国光文乃・外務副大臣が「(特に野党の)質問通告が遅い」と自らのX(旧ツイッター)に投稿し、衆院議院運営委員会の村井英樹・与党筆頭理事(自民党)は10日、記者団に「事実と異なる」と述べた。国光氏は同日、投稿を削除し、「関係者の皆さまにおわび申し上げる」とXにつづった。
「前々日の正午まで」は1999年の与野党の申し合わせで、2014年以降は「速やかな質問通告に努める」となっている。
上述のように官僚を早朝から働かせる問題を責任転嫁しようとして、以前に何度も流されていた野党の質問通告の遅さという主張を当てはめた。議員が圧倒的に多かった安倍政権時代ならその主張で押し切れたのだろう。
あくまで政府与党が答弁しやすいよう野党が質問通告をしているのであって、むしろ現実には国会のスケジュールを決められる政府与党に野党がつきあっているとすら考えることもできる。
今回は他にも複数の自民党有力者がデマに加担し、外部にも広められている。風評被害を批判していたはずのライター林智裕氏が「立憲共産党」なる表現をつかってまでデマに加担しているところも見かけた。
どうやったら高市さんが本会議に喋ってる2日前の午後より前に通告が出せるか教えてください
どう言い訳しても、「立憲共産党は、他の党が概ね出来ていることが特異に出来ない」事実だけが残される。
ちなみに期日を明確には決めていないルールとしては、臨時国会の召集がある。
憲法で召集することが決められているが、その期日が明記されていないからといって、当時の政府与党は召集をさきのばしにしつづけた。もちろん当時の政府与党も自民党だ。
憲法第53条後段に基づき、速やかな臨時国会の召集を強く求める会長声明|東京弁護士会
憲法第53条後段に基づく召集の要求がなされた日から既に50日以上を経過したにもかかわらず、現内閣は未だに臨時国会を召集していない。明らかに合理的期間を徒過しており、憲法違反であるといわざるを得ない。
安倍内閣においても2015年、2017年に同様の事態が起きており、このような事態の常態化により憲法規範の空洞化が進むことは、立憲主義の見地からも到底看過することはできない。
当時のことを思えば、期日を明記はしない努力義務の現行ルールでどのようなタイミングで質問通告をおこなっても、自民党が批判できる立場ではないと思えてしまう。
もちろん国会を進行させることは一般的には野党にとっても重要なので、非合理的なタイミングでの質問通告をおこなうことはまずないだろうし、事実として今回の立憲民主党も短い期間で質問通告を早々にそろえて出したが。