一晩中、病室で「うううああー!」と叫び続けた…37歳の酒飲みに「地獄の激痛」を与えた恐ろしい病気の名前
■プロレスラーに内臓を直接握られるような痛み 長い入院生活、40℃の高熱が出たり何カ月も水が飲めなかったり意識不明になったりといろいろなベクトルでつらいことがあったけれど、純粋な痛みで最もつらかったのは最初の数日だったと思う。初日はとにかくお腹が痛くて痛くてどうしようもなかった。 プロレスラーがお腹の中に直接手を入れて、数秒おきに内臓をギューッと握り潰そうとするような痛みと言えば伝わるだろうか。「その手をどけてくれー!」と暴れたいのだけど、内臓を直接つかまれているので抵抗すらできない。泣いても喚いても急所を1ミリもずらすことのない、完璧で無慈悲な痛みが昼夜を問わず無限ループで続く。 激痛で体を動かすこともできない。妻や会社に連絡をしたいのだけど、すぐそこの枕元にあるスマホを取るという動きがもう無理なのだ。 ナースコールをして虫の息で「ス、スマホ取ってくれませんか……」と言ったら、ベッドの背もたれを起こすリモコンを渡されて「自分でやってください」と言われた。看護師をメイドかなんかだと思ってるナメた患者だと思われたのかもしれない。それ以上何かを言う力もなかったので諦めた。 ■喉は渇くのに水が飲めないという地獄 痛み止めを入れてもらうと一瞬だけ楽になるが、すぐに切れてまたプロレスラーのモツ潰しが再開される。一晩中眠れず、「うううあああああー!」と叫び声をあげ続けていた。のだと思う、多分。 というのも正直、痛みで意識が朦朧としているので自分では叫んでるんだか叫びたくなるくらい痛いだけなのかもわからないのだ。翌朝、同室の入院患者たちが先生と「昨日はうるさくて眠れなくて……」「大変でしたね」みたいに苦笑している会話を聞いて、「あ、もしかして俺ずっと叫んでたのか」と初めて気付いた。まあ気付いてもどうせ声を抑えたりできなかっただろうけど。 痛み止めでようやく少し眠っても、今度はアルコールの離脱症状でシーツがビショビショになるほどの寝汗をかくのもつらかった。寝汗自体はそこまで珍しくない。年に360日くらいは酒を飲んでいた僕にもたまには休肝日があり、そうした日には寝汗の離脱症状を経験していた。 ただ、急性膵炎の治療は「絶飲絶食」と「点滴治療」だ。つまり寝汗をビッチャビチャにかいてめちゃくちゃ喉が渇くのに水が飲めない。これが本当につらい。水が飲めないというのは痛みと並ぶ地獄の苦しみで、期間の長さを考えればこっちのほうがしんどかったかもしれない。