一晩中、病室で「うううああー!」と叫び続けた…37歳の酒飲みに「地獄の激痛」を与えた恐ろしい病気の名前
■救急隊員「お酒をやめたほうがいい」 119番から15分ほどで救急車が到着。さすが救急車、結構早い。ただ受け入れ先の病院が見つかるまでは待機する必要があり、居間に座った状態で30分ほど救急隊員の人と話をした。「目が黄色いよ。お酒をやめたほうがいい」とありがたいお説教を受ける。「はい……」と殊勝に頷きながら「さっさと治して酒飲もう」と思っていた。 朝7時ごろ、病院に担ぎ込まれてCTなど各種検査を受ける。朝すぎてまだ消化器科の先生が来てないなど、先方もだいぶバタバタしていた。 このあたりからいよいよ痛みで朦朧として記憶が曖昧になっている。「尿検査をする」と言われてその場で即おちんちんをボロンと出したり、点滴が始まった直後、急速に気持ち悪くなって盛大に吐きまくったりといろいろ大騒ぎとなった。付き添ってくれた妻が大変そうで申し訳なかった。 本格的な対応が必要となり、救急車でさらに別の病院に移されてもう一度検査を受ける。医師から「重症急性膵炎」と診断された。まったく現実味が湧かず、フラフラの頭で「G1だぁ……」と脊髄から出た言葉をそのまま言った。たまに一緒に競馬をしていた妻は「重賞」の意味を汲み取って笑ってくれた。 「すぐ入院。最低2〜3週間はかかるから」と言われて「そんなに?」と思った。全然その程度で済む話じゃないことがわかるのはもう少し先の話。 ■入院バッグを動かすこともできなかった 早朝から病院と検査室をたらい回しにされ、入院が決まったのが午後1時ごろ。付き添ってくれていた妻とほとんど会話もできないまま、あれよあれよとベッドに乗せられて病室に送り込まれる。 2022年10月当時はまだまだコロナ禍の真っただ中にあり、家族でも病室への見舞いはおろかわずかな時間の面会すら認められていなかった。 数時間後、妻が着替えやシャンプー、タオルなど入院に必要そうな荷物を大きなバッグに入れて持ってきてくれた。病室には入れないので受付で看護師に預ける形となる。 看護師さんは「奥様から荷物が届きましたよー」と言ってベッドの上にどすんとそれを置くと、忙しそうにすぐどこかに去っていった。ありがとう。助かります。でも、今、僕、お腹が痛すぎて、そこに置かれてもめっちゃ困るんですが。 僕の声なき声(痛すぎてしゃべれない)は届かず、ベッドを占領する巨大なバッグを動かすこともできない。その日はただただベッドの端へと身をじり、不自然な体勢のままうんうん唸り続けた。