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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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変身拒否

 さて、魔物を狩って金銭を得る事を決めた俺はすぐに行動を開始したのですぞ。

 その途中、幸運にも盗賊を発見しました!


「ぎゃああああああああああ!」

「な、なんだ敵襲か!? どこぞの冒険者か!? 国の討伐隊か自警団か!?」

「金目の物を寄こせですぞー! ハハハハハ!」

「お、俺達盗賊に追い剥ぎしようなんてふてぇ野郎だ! 野郎共! 生かして帰すな!」

「エイミングランサーⅩですぞー!」


 俺の放ったスキルが盗賊達の体や足を貫きましたな。

 もちろん、死なない程度に加減しました。

 ハハハ! 盗賊は資源ですからな!


「「「ぎゃああああああああああああああ!」」」


 ついでに盗賊のアジトを発見したので潰して没収しておきました。

 盗賊はもちろん、お義父さん仕込みのリリースですな。


 さて……幸運にも手早く金銭を稼げましたな。

 とりあえず贔屓にしているフィロリアル生産者の所にでも顔出しに行きますぞー!


 などとスキップ交じりにフィロリアル生産者の所へ行き、恒例の雑談をしながらお近付きになりました。

 以下省略という奴ですな。


「で? 予算はどれくらいで、どんなフィロリアルが欲しいんだ?」

「既に決まっていますぞー」

「あ? まあ良いか……どの卵にするんだ?」


 フィロリアル生産者が案内した小屋にあるフィロリアル様の卵を確認し、ループ時に当然のように選んでいたユキちゃん、コウ、サクラちゃんの卵を……ユキちゃんとサクラちゃんがおりませんぞ!

 何故いないのですかな!?


 よく思い出せ、ですぞ!

 確かユキちゃんは最初の世界では競走羽になっていて、世界が平和になった後、お義父さんが開拓した村へとやってきたのを覚えていますぞ。

 再会した時、懐かしいと思いましたな。

 つまり既にユキちゃんは出荷されてしまったと言う事でしょう。


 何故サクラちゃんがいないのか……よくよく考えて見ればサクラちゃんはフィーロたんになるのでした。

 という事はフィーロたんが居る今、サクラちゃんはいないのでしたな。


 おおう……フィーロたんを選べばサクラちゃんに会えず、サクラちゃんを選べばフィーロたんに逢えないのですぞ。

 運命はこんなにも残酷なのですな。

 どうにかしてフィーロたんとサクラちゃんが共存する世界を作る事は出来ないのですかな?

 お義父さんも仰っていた様な気がしますぞ!


「とりあえず……この卵をくれですぞ!」


 そんな訳で幸運にも売れ残っていたコウをゲットですぞ!


「ホント変わった奴だな、お前は」


 会う度に言いますな、このフィロリアル生産者は。

 まあケセラセラですぞ! 今日の俺はご機嫌なのですぞ!

 コウだけでも回収出来ましたからな。

 ユキちゃん、再会できる時を楽しみにしていますぞ。


「ではまた来ますぞー!」

「ああ、育った奴を見せてくれ」


 と言う訳でフィロリアル生産者と別れ……今度はメルロマルクに飛びました。

 城下町をスキップ交じりに歩いて行きますぞ。

 普段通りの町並みですな。


 目的は魔物商の所ですぞー!

 そんな感じで魔物商のテントにやってきました。


「いらっしゃいませです。ハイ」


 魔物商が揉み手をしながら出迎えてくれますぞ。

 金を積めばお義父さんにお姉さんを斡旋すらしてくれる便利な人材ですな。


「お客様は初めてですね。確か貴方は……槍の勇者様だったかと思いますが、間違いないでしょうか? ハイ」

「間違いないですぞ!」

「お噂は私共の耳にも入っております。私共の店に何をお望みで? 盾の勇者様が連れていた奴隷をお望みでしょうか?」


 これはお義父さんがお姉さんをこの魔物商から買った事から推測したと言う事でしょうな。

 きっと城での決闘など、情報を仕入れていたから言ったのでしょう。

 しかし、俺の目的は違いますぞ。


「槍の勇者様がいらっしゃるのでしたら私共が腕によりを掛けて好みとなる様な奴隷を提供いたします。どの様な奴隷がお好みで?」

「フィーロたん」


 おっと既にフィーロたんはいますぞ。

 脊髄反射で言ってしまいましたな。

 そもそもフィーロたんは奴隷ではないですぞ!

 ……おお、そういえば時期的に今頃、フィーロたんがここの檻に入って暴れる頃でしたな。

 一歩道が異なると、この様な変化があるのですな。


「は? え、え~と……フィロリアルでしょうか? は、ハイ」

「気にする必要はないですぞ」

「あ、わかりましたです。ハイ。それで、本日は私共の店に何の御用でしょうか?」


 さて、クロちゃんはー……この時期には既にいないのはわかっております。

 俺の記憶が正しければブラックサンダーと言う名で何処かの牧場で活動しているそうですぞ。

 やんちゃな若いフィロリアル様に育つそうです。

 アレはアレで微笑ましい姿がありましたな。

 どこでも錬と出会えれば仲良くなれるのがクロちゃんでしたな。


 さて……今のお義父さんにフィロリアル様達の素晴らしさを知って頂くのにちょうどいい気性のフィロリアル様を紹介しなくてはいけません。

 最初の世界のお義父さんを思い出すにみどりかユキちゃん辺りが良いのですが、ユキちゃんは行方不明ですからな。

 コウがお義父さんに説教される光景が思い返されますが、きっと大丈夫ですぞ!


「フィロリアル様の卵を売って欲しいですぞ!」

「はいはい。奴隷ではなく魔物の方でしたか。確かに、槍の勇者様の周りには美女が揃っておりますから、今更必要ないのかもしれませんです。ハイ。ですが、何でも言う事を聞く奴隷が欲しい時は私共の所に是非……」

「奴隷豚なんかよりもフィロリアル様が欲しいですぞ」


 この魔物商も妙な商売を始めていますな。

 豚を売買するとは……豚の放牧解体業者にでも転身するのですかな?

 魔物商は俺の言葉を聞いて配下の屈強な男達にフィロリアル様の卵を準備させておりますな。

 念の為に確認ですぞ。


 見知った子がいますな。

 もちろん、今までのループで会った子達ですぞ。

 とはいえ、やはりクロちゃんの卵はありませんな。


「ではこれとこれと、卵くじにある、このフィロリアル様の卵をくださいですぞ」


 孵化をさせなければ、持っている金銭内で買っていても問題ないですな。


「ま、魔物くじに関しては……フィロリアルかどうかはわからない様にしていますです。ハイ」

「ははは、俺の目は誤魔化せませんぞ」


 ルナちゃんもついでにゲットですぞ。

 順番からして次に孵すのはフィーロたんと同じ、卵くじ仲間のルナちゃんが良いかもしれません。

 ルナちゃんは大人しい子なのでお義父さんが気に入るかもしれません。


「えー……その眼力は想定外です。ハイ。何か秘訣でもあるのでしょうか?」

「そんなのは目で見て匂いを嗅げばわかりますぞ!」

「……わ、わかりましたです。ハイ。とても良い目を所持しておいでのようです。ハイ」


 魔物商が汗をぬぐい始めましたな。

 暑いのですかな?

 俺は金袋を魔物商に手渡し、卵の入った袋をしっかりと数えて受け取りますぞ。


「ありがとうございました。魔物紋の登録や孵化器はどう致しましょう?」

「まだ孵化させないのですが、孵化機は売って欲しいですな」

「はい」


 と言う訳で孵化機とフィロリアル様達をゲットしました。

 後は……そろそろお義父さんを迎えに行くと良い頃合いでしょうな。

 フィーロたんが天使の姿になる頃でしょう。

 衣服の準備をしっかりとする俺の素晴らしい行動を見せる時ですぞ!

 その為にゼルトブルで魔力を糸にする機材を売っている店を探しておきましょう。


 と言う訳でゼルトブルに戻った俺は宿の部屋にフィロリアル様の卵を安置し、フィーロたんの衣服を作る為の機材を買い付けた後、お義父さん達を迎えに行きました。




「やーやーお義父さん、迎えに来ましたぞー!」

「む……元康か」


 フィーロたんが天使の姿になるであろう俺の読みの時間であるおやつ時。

 俺はゼルトブル近隣の森の中で休憩のキャンプをしているお義父さんの所へやってきました。


「ほ、本当に来ました……どうやって来たんでしょうか?」

「それはもちろん、足跡と匂いと気配ですぞ。お義父さん達がどこへ行ってもこの元康、駆けつけますぞ」

「とんだストーカー宣言だな」


 何やらお義父さんが俺に向かって称賛の言葉を発しておりますな。

 そんなに褒められると照れてしまいますぞ。


「ナオフミ様の言う通り、地獄の果てまで追い掛けてきそうですね」

「そんなに褒めても何も出ませんぞ」

「褒めてねえよ。ったく……逃げるには俺もポータルが必要か?」

「それでも逃げ切れる気がしません」

「……ああ。逃げるには波を終えて帰るまで無理そうだ」

「……」


 お姉さんが何やらしんみりするかのように黙りこんでしまいましたな。

 きっとお義父さんが帰ってしまうと聞いて寂しいのでしょう。

 しかし、ご安心を。

 俺の記憶が正しければ、お義父さんはこの世界に残りましたからな。


「それでお義父さん、経過はどうですかな?」

「一昨日までの戦いが冗談じゃないかと思うくらい、楽勝で経験値が入るな。フィーロは言うまでもなく、ラフタリアも容易く敵を仕留めて行って、完全に俺がお荷物だ」

「クエ!」


 フィーロたんが胸を張っていますぞ。

 さすがフィーロたん! お義父さんのお役に立てたのですな!


「魔物があまりにも弱く感じますが……何でしょうね。これで良いのかという危機感が出てきました」

「俺の経験則からこの手のパワーレベリングは単純な強さは得られるが、経験が伴わなくなるんだ。どこかでボロが出る。だから十分に注意するんだぞ」

「はい。どうしたら解決しますか?」

「単純に俺達よりも強い奴と稽古するとか……なんだがな」


 お義父さんが俺を見つめておりますぞ。

 照れますな。

 しかし、無いな、みたいな嘲りの入った表情になった後、お義父さんは言いました。


「後は……フィーロくらいか。他にラフタリアの姉とやらが強いのなら、そいつに稽古を頼むのも良いかもしれないな」

「ええ……サディナ姉さんなら教えてくれるかもしれません」


 そうですな。

 お姉さんのお姉さんは素晴らしい技術を持っていますからな。

 とはいえ、技術を身に付けるなら良い人材を知っていますぞ。


「稽古をするのでしたらピッタリの人がいますぞ」


 覚えていますぞ。

 お姉さんやエクレアの師匠である老婆ですな。

 話によると病に伏していたのをお義父さんが行商の合間に立ち寄って助けたらしいですぞ。

 以前のループでも時々助けていたので場所も知っていますし、紹介は可能でしょうな。


「まあ、十分に強くなる下地はありそうではあるんだが、それはな元康、お前の話が真実であるか証明しないと始まらないだろう」


 お義父さんが、お義父さんを盾にして座りこんでいるフィーロたんを見ながら呟きました。

 そうですな。まずはそこからでしょうな。

 俺としてもフィーロたんの天使姿を早く見たいですぞ。


「フィーロたん、そろそろお時間ですぞ。その眩いほどの後光に満ちた可愛らしい天使の姿を拝見させて欲しいですぞ。そうすればお義父さんもフィーロたんの魅力にメロメロになる事請け合いですぞ」


 世界はフィーロたんとフィロリアル様の光で満ちています。

 お義父さんという神が遣わした天使によって構築されているのですぞ。


「……や」

「ん?」

「やだー」


 おお、フィーロたんが俺に向かっておしゃべりしてくださいました!

 とても透き通る、耳が幸せになる声音ですな。


「……」

「……」


 お義父さんとお姉さんが半眼になってフィーロたんを見ておりますぞ。

 どうしたのですかな?

 なんとなくですが呆れている様に見えますぞ。


「槍の人、気持ち悪い。だからフィーロ、姿を変えたくない!」

「なんと! それはご無体ですぞ! お願いですから天使の姿を是非とも見せて欲しいですぞ!」

「やだー」


 フィーロたんの素晴らしい御本尊が拝めないと言うのは……今の姿も素晴らしいですぞ。

 天使の姿を見られないのは寂しいですが、フィーロたんに無理強いしてまで見たいとは思いません。

 俺はフィーロたんが自分の意思で、自由に変化なさる事を望んでいるのですからな。


「その目がいやー! フィーロ気持ち悪い!」

「フィーロたーん!」

「やー!」


 飛びかかろうとしたらフィーロたんが逃げてしまわれました。


「……」

「なんと言いますか……」

「フィーロお腹すいた。ごしゅじんさまーもっとご飯ー」

「……」

「お義父さん、どうしたのですかな?」


 何やらお義父さんは額に手を当てて俯いてしまいました。

 フィーロたんのご飯はどうなるのでしょうか?

 俺が作っても良いのですが、お義父さんの作った料理と比べると味が落ちますからな。


「どう言えば良いのか……その姿でしゃべれるのかよ」

「えー? うん」


 当然ですぞ。

 フィロリアル様の愛らしい声音を発している器官……声帯は万能なのですぞ。


「で? 変身出来るのか?」

「出来るよー? そうすればごしゅじんさまと一緒の部屋で寝て、槍の人を追い出せるんでしょー? ごしゅじんさまフィーロと一緒に寝る時言ってたー」

「くそ……聞いてやがったか」


 何やらお義父さん達は俺がいない所でフィーロたんと話をしていた様ですな。

 きっと何かの会議だったのでしょう。


「あのですねフィーロ、もう少し槍の勇者を刺激しない様にですね……」

「どこまでもご一緒しますぞ。例え壁があろうとも俺の前では無いも同然ですな」

「やー! 背中がぞわぞわするー!?」


 ああ、フィーロたん。

 そんなそそる様な事を言わないで欲しいですぞ。

 俺の理性が吹っ飛んでしまいそうですぞ。


「とりあえず元康、お前は……少し離れた木の裏の方にいろ。調査をするから」

「一体何をするのですかな?」

「良いから行け!」


 く……お義父さんの命令とあらばしょうがありませんな。

 俺は木の影に隠れ、ツヴァイト・ファイアアイで光線を放って木に少しだけ穴を開け、覗きこみました。


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