盾の勇者の感想【中】
「つーかラーサ姉ちゃんも地味に兄ちゃんの仲間をしてる時あるよなー」
「あ、アタイがなんで盾の勇者に孕まされてる事になるんだ!」
そうそう、元康の話に出てきたパンダ……ちょうど元康が登場人物として出す少し前に村に遊びに来たんだったな。
何でもサディナとはゼルトブルにいる頃からの知り合いで、クソ女神との最終決戦時の戦いにも参加していたそうだ。
世界が平和になっても傭兵業を変わらずにやっていたそうだが、サディナを含めて戦友の所へ顔出しにと俺達の村へ遊びに来た。
配下の連中も連れてな。
で、キールがあまりにもふざけた格好……メイド服とか着ているのに因縁を付けてはいたのだが、アレだけ露骨な態度を取っていたら確信するなって方が無理がある訳で。
ネタで客寄せパンダと称して金で雇ってキールと一緒に売り子をさせている。
もちろん、口では嫌がった態度を示しているが、期日が過ぎても辞めない。
今ではキールと一緒にチームを組んで行動している。
「ラーサ姉ちゃん! そういう時はこういう恥ずかしいってポーズを取るんだぜ!」
キールは演劇に嵌ってるから女装とかに抵抗を示さずポーズをとれる様に成って来ている。
「こ、こうか?」
「で、台詞は、『い、いや! なんで孕まされてるの!』 だぜ」
言い直せばば良い訳じゃないだろ。
というか、キール……お前は何を言っているのかわかっているのか?
わかっていたら説教だな。
「なんでだ! ふざけんじゃないよ!」
「キールくん、どこでそんな台詞を覚えてきたのか、後でナオフミ様に報告しましょうね」
「え? マジで? これって俺、怒られる流れじゃね?」
よくわかったな。
本当、誰から聞いたんだ?
多分だが、サディナか奴隷商関係者と見た。
「ピイ!」
ああ、元康がルナとか名付けたフィロリアルもいるな。
キールの頭に乗って常に元気にポーズを取っている。
色合いは違うらしいがな。
イミアとも仲が良くてイミア、キール、パンダの専属フィロリアルって感じになっている。
キールを筆頭に、売り上げに貢献している村でも有数の連中だな。
「ササちゃん」
ガシッといつの間にかサディナがパンダの背後に回り込んで羽交い締めにする。
「お姉さんと一緒にナオフミちゃんと楽しい事しない? モトヤスちゃんの話に出てくるお姉さん達の様に」
「ヒィ!? や、やめ……アタイは……」
「お姉さん知ってるわよーササちゃんに仕事を紹介したナオフミちゃんに、ササちゃんが淡い恋心を宿してるの」
「ちが――く……」
く……コイツも汚染されているのか。
全く貢献度が無いが、サディナと同類タイプだ。
群れて俺を襲おうとしてくるかも知れん。
警戒度を強めるべきだな。
「俺の話は聞かれていないのですかな? その後のフィロリアル様の話ですぞ」
「勝手に言ってろ」
「では次ですな」
で、元康はフィロリアル達の今を語り始めた。
とはいっても、既にいる連中ばかりで差異は少ないらしいが。
「で、クロちゃんですな」
「そいつは知ってる。錬に懐いた暴れフィロリアルだろ」
「う……」
黙って成り行きを見ていた錬が言葉を詰まらせる。
その隣には、黒い衣装に身を固めた中学生くらいの背格好の人化フィロリアル。
「ん? このブラックサンダー様に何か用か?」
元々は何処かの牧場で気性の荒過ぎるフィロリアルがいる、とフィトリア名義で来た依頼だったんだが、元康に仕事を任せたら何故か錬を呼び出して相手をさせたら懐いて帰って来た。
どうも錬の醸し出す空気か何かを気に入ったとか何とか。
まあ、その前にフィーロがボコボコにしたんだが、暴れるのは止める気は無く、意味のわからない中二病的な言葉と女好きな台詞を連呼していたらしい。
フィーロとかに良い女とか言って圧し掛かろうとしてきて、ボッコボコにされて処分するか考えていた所でのスピード解決。
元康の手腕には関心したが、この語りで理解した。
「ささ、レン。共に世界を闇に染めてハーレムを築くのだ」
「残念だが、断る。俺はそういうのは卒業したんだ」
「ふふふ……拒んでもお前の根底にある黒の信仰心<ブラックパイアティ>が消える事は無い。陥落も時間の問題だ」
「勘弁してくれ……」
とまあ、錬も詰め寄られて困ってる様子だ。
売るにも問題があるそうで、処分に困っている。
ま、錬も最近は慣れて来たみたいだけどな。
「正解ですな。クロちゃんは少々大きくなってますな。錬と同じですぞ」
錬の恥ずかしい歴史がまた刻まれて行くってか……同情する。
つーか……錬や樹も元康の話じゃ今と大分違う性格をしているよな。
錬はぶっちゃけクソ真面目で献身的な性格になっているし、樹はなんて言うか無口っぽい。
本質だと錬は中二病で樹は毒舌か。
……まあ、時々片鱗があるとは思うが、どうだかな。
「そういう世界もあるのかもしれませんね」
「イツキ様が私を救ってくれた世界ですね」
「手遅れな時もあるようですが……」
「それでも助けてくれるじゃないですか」
「リーシアさん……」
「イツキ様……」
はいはい。
甘い空気は大概にしろ。
家に帰ってからにしろ。
むしろ今すぐ帰れ。
「とまあフィロリアル様のその後はこんな感じですぞ。他に質問はありませんかなー?」
なんて話をしている元康を無視して雑談は続く。
端から元康に質問する気が無さそうだ。
「ま、大体間違いはないなのーどうなの? ガエリオンのなおふみへの愛の記録なの」
「うっせー! さっさと村から出て行け!」
でだ。
その問題の中でもかなりの大きさを占める奴がコイツだ。
形式上、雌ガエリオンと言うべきか?
メスリオンで良いな。
コイツが村に住みついている。
どういう経緯で村に住みつき始めたのかと言うと、腐のバレンタインでチョコレートモンスターが暴れ始めた時の事だ。
「ふふふ! ガエリオンはやっと良さそうな素体を手に入れたなのー!」
ゼルトブルで戦っている時、蠢くチョコレートからコイツが分離して俺に向かって飛びかかって来たのだ。
チョコレートドラゴンって感じの姿でな。
「うわ!」
「ここで出てくるとは……させませんぞ! ブリューナクⅩ!」
「なの、槍の勇者、何処までも――」
元康が飛びかかって来たチョコレートドラゴンを吹き飛ばした、俺も何なのかその時は知らなかったから流していたんだが……。
飛び散った体を集結させてゼルトブルの地下水路に逃げ込み、力を蓄えて、しばらくしてからまた姿を現した。
で、谷子と感動の邂逅を果たした……まで良かったんだが、その後、雄のガエリオンと核石の奪い合いを始めた。
「ふ、ガエリオンはこれでも雌なの。お前は雄だから越えられない性別の壁が障害となってなおふみを難攻不落になるなのー」
「キュアアアアアアウウウウウ!」
ぶっちゃけどっちも無い。
同士討ちして両方消えてほしい。
とはいえ、さすがに竜帝の欠片をほとんど集めていた雄ガエリオンに敗北した。
で、しばらくの間は姿を晦ましていたのだが、最近になって村に帰って来た。
グラス達の世界の方にいる竜帝から欠片を漁って来たらしい。
ま、あのホモドラゴンはな……ちなみに谷子とホモドラゴンは村に居ないのが問題だ。
いれば押し付けれるのにな。
元康の話で谷子が出てきた後、雄ガエリオンの中に父親がいる事を察した所で雄ガエリオンは蒸発した。
で、谷子がそれを追い掛けて行った訳だ。
ま、稀に村に帰って来て錬やラトと話をしているみたいだけどな。
錬もガエリオン捜索を手伝っているらしいし。
で、雄ガエリオンは何を目的に行動しているのかと言うと、谷子から逃げるのもあるが性転換薬の伝説を聞いて探しているそうだ。
雌になったからと言って俺が相手をすると思っているのだろうか?
やはりドラゴンは頭が悪い。フィロリアルも同じだがな。
「ガエリオンは新たなボディが出来るまで我慢するなの。お姉ちゃんが奴を捕えて、ラフ種とフィロリアルの混血と子供を作らせるなの」
で、今のままじゃ俺を攻略出来ないと言うか……チョコレートボディをやめろ。
期間限定魔物の体をいつまで乗っ取ってるんだ。
話が脱線したな。
メスリオンは乗り移る新しい体が出来あがるのを待っているらしい。
その為には雄ガエリオンの子供が一番だとかで、その相手にラフ種を宛がわせようとしている。
さりげなく倫理的にヤバイ事をしてやがるな。
「なおふみ、待っているなの。ガエリオンがあのラフーな生き物みたいになって相手してあげるなの」
……ドラゴンの矜持とかプライドは捨てているのだろうか?
つーか元康はとんでもない奴をこの世界に持ち込んだもんだ。
クラスアップで変異をすれば早いとは思うんだが……まあ良いか。
「それで相手をすると思っているのか? 大概にしろよ。このチョコ!」
「なのー優しいなおふみも良いけどワイルドななおふみもいいなのーもっと罵って欲しいなの」
「うぜぇ……」
構ってちゃんに餌をやっても碌な事にならん。
しかもチョコレートモンスターの体を持っているから殺しても死なないしな。
何処までも面倒な……。