迷いの砂漠
「呪術や生贄ですか。今更ですがシビアな世界ですね」
「和風な匂いがするな。ネットで拾った知識だと管狐とかか?」
「あー……確かにね。管狐って俺の知る知識でも狐と言うよりはイタチっぽいらしいし、リファナちゃんの種族はそういう能力を持った種族なんだろうね」
「死んでも自我を強く持ち続ける……」
お姉さんの友人がお姉さんの方を見て小首を傾げます。
お姉さんも釣られて小首を傾げていますぞ。
「それでなおふみ様。今日はこれからどうするのですか?」
「その事なんだけど、みんなに相談になるのかな」
お義父さんが村の連中を集め、プラド砂漠へ調査に行く事を説明しました。
もちろん少し大変そうですが面白そうな事だと村の者達も参加の意志を表明しますぞ。
ですが村の復興などの問題で、みんなで話し合いをします。
Lvの高いお姉さんと友人、お姉さんのお姉さんが代表として行く事になった様ですな。
フィロリアル様達はユキちゃんを筆頭に、コウ、サクラちゃん、クロちゃんが参加する事になりました。
ルナちゃんはキールさえいれば幸せそうにしているようですな。
「何かあったらすぐに帰って来るんだよな。兄ちゃん達」
「まあね。そもそもポータルで帰れる限りは村で宿泊する予定だよ」
「迷いの砂漠ですからね。まずはその砂漠をどう抜けるかが問題ですよ」
「魔力的な問題ならガエリオンに任せるなのー」
ライバルも参加をする事は決定している様ですぞ。
「勇者達、私も未知の魔物の発見に協力して良いかしら?」
主治医も来るのですかな? 相当大人数の気配がしますぞ。
ま、助手はライバルの一存で仲間に成らなかったのですから、変わりに主治医にがんばってもらうのが相場ですな。
高い分析能力から、何かしらのヒントが出るなら良いですぞ。
「ま、問題にぶつかってから改めて詳しい調査隊を派遣するとかすれば良いしな。それこそ、人手が欲しかったら呼ぶ」
「おー! 楽しみにしてるぜ兄ちゃん達!」
「ですね。今は軽い気持ちで行きましょう。Lv上げでは無く……攻略をメインに置いた冒険に」
俺達は揃って頷きます。
「では準備が出来次第出発しますぞ!」
という事で俺達はそのまま、プラド砂漠を目指して出発したのですぞ。
そんなこんなでプラド砂漠を目指して俺達は馬車で迷いの砂漠に侵入しました。
Lvが高いおかげでそれ程ではないですが、砂漠特有の地形が足を引っ張りますな。
昼間は暑いですし、夜は寒いので、中々に厳しい場所ですぞ。
移動は夜に限定するとお義父さんや、砂漠の近くに住む村人辺りから聞いて決定しましたぞ。
昼間は暑すぎるのが難点ですな。
そんなこんなで夜間に砂漠の調査をしていました。
「アレが赤く薄らと見えるって奴かー」
俺達は砂丘の上で目を凝らしながら赤く見える廃墟っぽい物を見ますぞ。
あの場所に辿りつくのが今回の目的ですな。
「確かに活性化中のドラウキューア山脈の山々と輪郭が似ていますね」
「女王様から聞いた話だと蜃気楼という説もあるらしい」
「夜に蜃気楼か?」
「そこだねー……まあ、魔法がある異世界だから滅びた国の発明品とかの類が見せた幻……なんて伝承もあるそうだよ」
「科学的な説明を求めるのは無粋って奴か」
「だね」
「どっちにしても正体を確かめに行くって所にロマンを感じますね」
実は俺も興味はありますぞ。
こう……ゲームだった頃だとねじ曲がった時空とかそんな設定だった気がします。
一定数の魔物を倒してNPCに報告すると経験値がもらえるタイプのイベントでした。
「地図上だと思ったよりも広い砂漠みたいだね。目的地は見えるけど行けるかどうか……」
「ですな」
「まあ、やるだけやってみましょう」
そんなこんなでみんなで移動を開始しました。
夜の砂漠、フィロリアル様達との旅……なんとなくアラビア風な雰囲気とでも言うのですかな?
昼間、情報収集に立ち寄った街や村にいた、この地方独特のフィロリアル様は綺麗でしたな。
砂地を走る様に足腰が出来ているらしく、独特のレッグラインだったのですぞ。
「なのー」
「ナオフミちゃん、ナオフミちゃん! 手前の町でこんな服を売ってたからガエリオンちゃんと一緒に買っちゃった」
ライバルとお姉さんのお姉さんが、何やらへそ出しの民族衣装っぽい格好をしていますな。
アラビアンな雰囲気が演出されていて……お姉さんのお姉さんはあんまり違いがわかりませんぞ。
確かベリーダンスとか言うのでしたかな?
ひらひらの布が印象的ですぞ。
「うふーんなのー! どう、なおふみー?」
露骨な態度に俺はイラっとしますが、そこでサクラちゃんが前に出て遮ります。
サクラちゃん、がんばれですぞー!
「なんなのー? サクラは邪魔をしないでなの」
「んー!」
「なのー」
バチバチと睨み合いをしている所でお姉さんとその友人が呆れ顔で見ております。
「ちなみにラフタリアちゃん達も着換えさせたわ! どうかしら?」
お姉さんも何やらライバル達と似た様な格好をしております。
友人はイタチ姿で何故か頭にターバンを乗せておりますぞ。
異彩を放っております。
「どうかしらと言われても……えっと、似合ってるよ」
「えへへ、ありがとうございます」
「……です」
お姉さんの友人は褒められて喜んでいますが、お姉さんは恥かしそうにしています。
まあ露出の高い服ですからな。
「ささ、サクラちゃんも着ましょうよーみんなの分は買ったわよー」
「まあ……サクラちゃんは似合いそうではあるね。二刀流でソードダンスとか出来そう」
「ナオフミ、サクラに着てほしい?」
「目の保養って意味ならね」
「じゃあ着てくるーガエリオンに負けないもん。リファナとラフタリアーお願いねー」
「はーい。ガエリオンさん撫でて良い?」
「だ、ダメなの!」
「あーリファナはコウが撫でて欲しいー」
「そうなの! お前はフィロリアルを撫でてれば良いなの!」
ははは! ライバルよ。お姉さんの友人に落とされてしまえば良いですぞ。
お義父さんの童貞や処女など絶対に渡す訳にはいきません。
その前にお姉さんの友人に汚されてしまえば良いのですぞ!
「お姉さんの友人よ! 早くそこのライバルを落とすのですぞ!」
「どういう指示? というか……砂漠に合わせた格好になるのは良いけど、遊んでいる様な気が……」
「そうだぞ! 遊びに来たんじゃないんだ!」
「クロ達は遊んでないもんねー。我等は砂漠の覇者<サンドウォーカー>になりに来た!」
「いや、それも違う。当て字を間違えるな」
錬とクロちゃんがコントをしておりますぞ。
ここは笑うべきですかな?
迂闊な事をするとまたお義父さんに怒られそうなので、流しておきますぞ。
「とは言っても……錬とクロちゃんは大丈夫? 今は夜で寒いけど昼間は……ポータルで帰還するから大丈夫なのかな?」
クロちゃんも錬も黒っぽい色合いを好んでいますからな。
砂漠で黒い色合いは熱を吸収して熱いでしょう。
「も、問題ない! な、クロ!」
「どんな時であろうとも心頭滅却すれば火もまた涼し。クロに暑さなど無意味!」
クロちゃんが錬と打ち合わせた決めポーズを取って俺達に見せつけますぞ。
心頭滅却なんて難しい言葉を知っていますな。
これも錬が教えたのでしょうか?
「まあ、それで良いのなら止めないけどね」
なんて感じに能天気な会話をしながら俺達は砂漠を進んで行きますぞ。
慣れていない所為か、砂に足を取られて面倒ですな。
「んー……行けども行けどもって感じだね。フィロリアル達には砂漠用の足周りの装備を付けてもらってるけど中々進まないよ」
地図を参考にお義父さんは指示をしております。
俺はユキちゃん達に付けられた砂漠用の装備を眺めますぞ。
ふむふむ、これさえあれば砂地の移動も楽々ですな。
しかし……。
「近付いている様な、遠くなっている様な、不思議な感じがしますな」