ハーレム病
「なのなのなの! そうなの! 戦いは避けられないなの!」
「そうなの?」
「決まっているなの!」
俺と意見が同じなのは非常に不服ですが、これはしょうがない事ですぞ。
「そうですぞ! コイツは! ライバルは俺にとって避けられない敵なのですぞ!」
ですが、既に俺は先手を打っております!
「既に手遅れですぞ、ライバル!」
俺はライバルに向けて指差しました。
そうですぞ。
ライバル、お前が最も望んでいる結末は既にありません。
「お義父さんは既にお姉さんのお姉さんとやって童貞ではありませんぞ!」
「……は?」
お義父さんを含め、錬、樹、お姉さんとその友人が唖然とした様に口を開けました。
なんか凄く驚いています。
「あらー? どういう事なのかしら?」
「奴はお義父さんの愛、引いては童貞を狙っているのですぞ! ですから既にお義父さんの童貞はお姉さんのお姉さんに奪われて無いのならば俺の勝ちは揺るぎませんぞ!」
「く……先回りされる可能性は既に懸念していたなの。だからガエリオンは新たな性癖に目覚める事で代用する事を決めたなの!」
「何ぃ!? 何を狙う気ですかな?」
予想外の作戦を取ってきましたぞ。
ここまで妨害する俺の予測を越えた事をするとは何を企んでいるのですかな?
「ふふ、ガエリオンは考えたなの。もしもシャチ女に先回りされていた場合、間違いなく奪われていないであろう、なおふみの初めてを」
ライバルは更にふんぞり返って言いましたぞ。
「それはなおふみの処女なの!」
「な――」
バカな……男であるお義父さんから処女……その発想に至るとはとんでもない奴なのですぞ!
ザッと俺とライバルのやり取りを聞いていた錬と樹がお義父さんから距離を取って言いましたぞ。
「どうやらとても強力な戦力が加入する様ですね。しかも尚文さんを心の底から愛しているようで何よりです。ハーレムですね、尚文さん」
「羨ましい限りだな。それに比べて俺はとてもちっぽけな悩みだった。うん、尚文達を見ているだけで満足だ。実際にやった事はないが、これがギャルゲーという奴か」
「うわ! 錬、樹! 距離を取らないで! 置いて行かないで!」
「近寄らないでください。ハーレムがうつります」
「病気じゃないよ!」
お義父さん達のやり取りをしり目に俺は戦慄しました。
「あらーそれは良かったわねー。ナオフミちゃん」
「く……お義父さんの童貞を捕れないなら処女を狙って来るとは……どうやって阻止すべきですかな!」
やはりデストロイしか道はなさそうですぞ!
ですが、奴の台詞から察するにラストエンヴィースピアの力を切り札として使える事は過言ではありませんぞ。
「じゃあお姉さんは二番目で良いわね」
「……は?」
……なんですと!?
俺は思わずお義父さんを凝視します。
お姉さんのお姉さんに何を言っているんだ? という顔をしていました。
「お義父さん!? まさか童貞なのですかな!? お姉さんのお姉さんとやっていないのですかな!?」
「大声で言わないでよ! 恥ずかしい!」
「なの!? これは大チャンスなの!」
ライバルが両手を合わせて瞳にハートを浮かべた様な気がしますぞ!
そんな……まさかお義父さんが童貞のままだと言うのですかな!
「どうして童貞なのですかな! お姉さんのお姉さんとやらなかったのですかな!」
「確かに良い雰囲気になる時はあったけど!」
お義父さんはチラッとお姉さんの方に視線を向けました。
ま・さ・か!?
お姉さんの夜泣きの所為で楽しめなかったと言うのですかな!
「しょうがありませんぞ! お姉さんのお姉さん……いえ、お姉さんの友人でも良いですからお義父さんの童貞と処女をここで奪うのですぞ!」
「どういう指示!? そういうのやめてよね!」
「チャンスは逃さないなの!」
「尚文さん!?」
「まさか尚文の童貞を狙うために強引に!?」
「とんでもない光景が展開しそうですね!」
と、錬と樹がそわそわし始めました。
その反応にお義父さんが大きな声で言いました。
「なんでちょっとワクワクしてるの? 二人とも助けてよね!」
胸を誇らしげに張った後、ライバルは自身に魔法を掛けていきますぞ。
「これは前回、竜帝になる時に覚えた魔法なの。だからフォーブレイの竜帝を倒さずとも、出来るなの」
むくむくとライバルは縮小して行き……人の姿を形作って行きました。
その造形は何処となくお姉さんのお姉さんを連想させる大人の女って感じの姿。
背には翼を生やしております。
「ささ、なおふみ。ガエリオンがなおふみを守ってあげるなの。頼って欲しいなの」
そう言いながらライバルはお義父さんの腕に絡みつこうとしてきますぞ。
変化に関して若干驚いておりますが……く、ライバルの奴め!
露骨にお義父さん好みになるように背丈を弄っておりますぞ。
「大丈夫、どんな困難であろうともなおふみをガエリオンは守るなの。これからずーっと一緒なの! ガエリオンはなおふみが大好きなの!」
物凄く露骨にライバルはお義父さんに胸を触らせようとします。
「え? あ? その?」
「あらー。じゃあ次はお姉さんね」
「二番目は許可するなの!」
く……そういえばお姉さんのお姉さんはその辺りは拘らない方でした!
「ささ、早く尚文の家に帰るなの! 戦いは始まったばかりなの、ガエリオンは今度こそなおふみのハートを射抜いて見せるなの」
「ああ、戦いってやっぱりそういう方向ですか」
「安全に仲間が増えてよかったな」
「なんか釈然としないんだけどー!」
「えっと?」
お姉さんが首を傾げております。
そしてお姉さんの友人がライバルに後ろから近寄って、人化しても変化していない尻尾を軽く撫でますぞ。
「なの!? な、なんなの?」
「リファナです。ガエリオン……さんで良いんですか? なおふみ様の事がとても好きなんですね」
「そうなの! 絶対になおふみを落として見せるなの。よろしくなの」
「は、話はわかったけど、君のお父さんとお姉さんに当たるのかな? は、連れていかなくて良いの?」
「大丈夫なの! むしろ争いに巻きこまない様に山奥で平和に暮らしている方が幸せなの」
「まあ……そういう考えもあるけど、錬は良いの?」
「問題ない! それよりも飛び火させようとしないでくれ、無関係でいたい」
「た・す・け・て・よ! 錬・樹!」
すごく一言に想いを込めてお義父さんは助けを求めて二人に近付こうとしています。
そこに俺はいないのですかな?
ぐぬぬ……ですぞ!
「お姉さんのお姉さん! 根性を見せなければいけませんぞ! 前回の周回の様にお義父さんの童貞を先に頂くのですぞ!」
「あらー、でもお姉さん、ナオフミちゃんが童貞じゃなくても良いわよ?」
「俺が嫌なのですぞ!」
く……お姉さんのお姉さんは暖簾に腕押しですぞ。
ならば先手必勝!
「ブリュー――」
ガッとライバルが俺の槍を掴んで方向を逸らしながら笑みを浮かべます。
「撃っても無駄なの。絶対に耐えきって見せるし、仮に殺されてもすぐに再生して見せるなの」
く、くそ!
ここで俺の前に最強の敵が立ちはだかったのですぞ。
「槍の勇者が教えていないだろうから改めて自己紹介をするなの。ガエリオンは前回のループで竜帝になったなの。後はフォーブレイのドラゴンから核石を奪えば前回よりも更に強力なドラゴンになれるなの」
「前回?」
「そうなの。ガエリオンは槍の勇者のループに便乗して未来を知っている竜帝なの。協力してなおふみ達を救う予定だったけど、槍の勇者は立場を守ろうとガエリオンを押しのけたなの」
ライバルの言葉にお義父さんを含め、みんなが俺を睨みますぞ。
どういう事ですかな?
俺は悪くないですぞ!
「元康くん?」
「お義父さんの童貞を狙っている敵ですぞ」
「それはわかったけど……はぁ……まあ、元康くんだし、相手もわかっていたみたいだから良いけどさ」
「なのなのなの! 尚文の童貞はいずれ頂くなの!」
ハイテンションでライバルはお義父さんの腕に絡みついて胸を当てております。
く、このビッチめ! ですぞ!