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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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中二研究

「リファナ、ラフタリアー待ってー」


 コウは特にお姉さん達の事を気に入った様で、サクラちゃんよりも仲良くしている様ですぞ。


「はいはい。こっちだよー」

「うん。二人ともギュー!」


 コウがお姉さんと友人にハグをしております。


「今日は何処にいくー? サディナについてって泳ぐー?」

「どうしようか? ラフタリアちゃん」

「うーん……」

「それともお料理? ラフタリアの料理もイワタニみたいに美味しくて好きー」


 コウが目をキラキラとさせてお姉さんを見ていますぞ。

 お姉さんは苦笑しながらコウの頭を撫でます。


「魔法の勉強をしたいなぁ。この前、リファナちゃんに幻覚魔法対決で負けちゃったし」

「やり方次第だと思うけどなーラフタリアちゃんって魔法や力を込める時に独特の力の流れ方してるし、見破るのは上手じゃない」

「コウ、ぐるぐるしたー」


 お姉さんは確か……光と闇の幻覚魔法が得意なのだそうですぞ。

 城の魔法使いもお姉さんを診断して仰っていました。

 友人の方も幻覚魔法の使い手だそうですが、火から来る幻覚魔法だとか。


 陽炎とでも言うのですかな?

 似て非なる性質を持つ……お義父さん曰く、化かしの魔法が二人とも得意だとか聞きました。

 コウはその二人の魔法の実験台に自ら進んで立候補しているのですぞ。

 何でもお姉さん達の見せる幻が見ていて面白いのだとか。


 俺も今度見せてもらいますかな?

 幻でもフィーロたんを再現して会わせてもらいたいですぞ。

 そんな楽しげな打ち合わせをしているお姉さん達に手を振り、村の様子を俺は見て回ります。


 ……おや?

 人目の無い建物の陰で錬とクロちゃんらしき姿が視界の隅に入りましたな。

 そっと近寄って見てみますぞ。


「しゃきーん! こうすると良いよ!」


 クロちゃんが右目を手で隠し肘を上げて、戦隊モノのようなポーズを取っております。

 これは……クロちゃんの好きなかっこいい姿を錬に見てもらっているのですかな?


「いや、こうした方がカッコいいだろ」


 錬が右目を隠すのは同じですが手を広げ流し目に見せるポーズでクロちゃんを見つめます。

 なにやら錬もノリが良いですな。


「カッコいいー! こう?」


 クロちゃんは錬が教えたポーズを実践しながらアレンジを加えていますぞ。


「後はー、れんがカッコいい鎧とか着て、仮面とか付けると完璧だよね。金ぴかか、赤いのが良い」


 すると錬は腕を組んでふふんと馬鹿にした様な声を出しましたぞ。


「甘いぞ。俺達はダーク路線なんだ。確かに黒に金色は高級感こそあるが、見当違いだ。似合う色合いは黒、もしくは青に決まっているだろ。面白味も無い正義の味方では無いんだ! 間違えるなよ!」

「そっかー! 黒に黒で闇路線なんだねー! じゃあ仮面も黒でー、マントも黒ークロも剣とか使うかなー? サクラみたいに」


 それでは真っ黒なのではないですかな?

 まあサクラちゃんはフィロリアル形態でも天使姿でも二刀流でカッコいいですが。


「確かにサクラは踊っている様に敵と戦うからカッコ良さはあるな。だが安易にマネをするもんじゃない。マネはカッコ悪いからな」

「んー……じゃあどうしよー」

「武器が全てでは無い。抜け羽根が舞う様に高らかに跳躍してからの蹴りでもカッコ良さは表せる!」

「ユキみたいにー?」

「アイツは遠隔操作で羽根を飛ばしていたな。俺は浮遊武器は好まないが」


 などと錬はクロちゃんと打ち合わせをしておりました。


「何か凄く楽しそうに話し合っているね」


 振り返るとお義父さんが俺の後ろから錬達の様子を見ていました。


「ですな。しかし錬はクロちゃんのノリに付き合いきれなかったのではないのですかな?」

「元々錬はこういう話が好きなのはわかってたでしょ。クール路線が好きみたいだし」

「俺も混ざってポーズをとりますかな? なんとなく楽しそうですぞ」


 一歩踏み出して声を掛けようとしました。

 するとお義父さんは俺の手を掴んで止めますぞ。


「待って待って。ああいうのは内緒にしてるから錬も付き合ってくれているんだよ。俺達が見ているのがばれたらそれこそ大変だよ?」

「そうなのですかな?」

「間違いないよ。絶対に良くない事になるから知らない振りをしてあげるのが優しさってモノだよ」


 なんとも難しい問題なのですな。

 クロちゃんはオープンにカッコを付けていますが錬は恥ずかしいと思っているという事ですぞ。


「そうだなぁ……元康くんは小さい頃に秘密基地とか作らなかった?」

「作りましたな。豚共と」


 小学校低学年の記憶はあまり覚えていないのですが、高校の時、幼い頃知り合いだった豚と再会した際に思い出していったのですぞ。

 子豚との幼い恋愛など、俺からすれば黒歴史その物ですがな。


「……俺の知る秘密基地とちょっと違うけど、こう……ああいうのはロマンを楽しむものなんだよ」

「なるほど……ですぞ」


 本質は近いのに何が大きく違いが出るのか俺には……ああ、そう言えば一時期ヘビメタやパンクをカッコいいと思った時期がありましたな。

 飲めないのにコーヒーを飲んだり等、ちょっと大人ぶった時期が俺にもありました。

 楽器が弾けたりスタイリッシュにスポーツを楽しむのがカッコいいと思った事もありました。


 おそらくその時期の精神状態なのですな。

 ま、どちらにしても豚に教わった事ばかりですが。

 なんて様子で見守っていると今度は樹が俺達の所にやって来て、錬とクロちゃんを見ております。


「何をしているんですか? アレは」

「中二病設定の練り合わせかな。ダーク系が好きみたいだし、樹なら入って行けるんじゃない?」

「やめてくださいよ。僕は行きたくないです」


 きっぱりと樹が言いました。

 おや? 反応が鈍いですな。


「樹なら元康くんとは違って輪に入れると思うんだけどなー」

「……なんでそう思うのか問い詰めましょうか」

「ん? パーフェクト――」

「わかりました。やめてください」


 お義父さんが言い切る前に樹は降参しましたぞ。

 早いですな。


「隠れた正義なんて系統が同じでしょ? 状況さえ違えば悪く無いと思うんだけどな」

「お義父さんは樹を副将軍とも呼んでいましたな」

「そっちの路線か……あっちもヒーロー路線だし、やっぱり樹なら問題ないでしょ」

「まあ……言われたら拒否できないのは確かですね。ですが同類には見られたくないので行きません。自分はみんなとは違うという発想が――と、指摘するかもしれませんけど」

「自虐も程々にね」


 などと話をしているといつの間にかキールが錬達の輪に混ざっていました。

 どうやらキールも錬にとって恥ずかしい相手では無い様ですな。


「マントをこうやってはためかせて高笑いすんのが良いと思うぜー」

「それだと悪役だ! 如何に自分達が強いかを冷静に説明するのがカッコいいんだ!」


 クロちゃんもキールも目を輝かせています。

 仲が良いのは良い事ですぞ。

 しかし錬の台詞に樹が呆れていますぞ。


「それもどうなのでしょうね……錬さんが幼心を爆発させているのはわかりましたけど」

「あれじゃない? 錬は年下の男の子に好かれるタイプなんじゃない?」

「そうかもしれませんね。とりあえず、見つかる前に離れませんか?」


 という事で俺達はクロちゃんと錬の楽しそうな打ち合わせの現場からそっと離れたのですぞ。

 その後、クズの使いの者がやって来て、戦闘顧問を雇う事を提案されました。

 既に戦闘顧問に適した人物には手紙を送っているらしく、俺達が行くだけ、という事になっているそうですぞ。


 で、現地に向かったのは良いのですが、病に伏せっていたのは何の冗談ですかな?

 最終的にイグドラシル薬剤を飲ませて一発完治ですぞ。

 尚、この老婆、最初の世界や前々回でもお義父さんが治療したそうですな。

 まあそんな訳で戦闘顧問が来る事になりました。


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