最初のアトラクション──がんばり山に向かうと、既にみんな集まっていたようだ。
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ーがんばり山ー
登りきれたらメダル5枚!
初回限定、参加メダルなし!
無料で挑戦できるデミ!
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がんばり山の入口の看板にはそう書かれていた。
だが、俺は知っている。
がんばり山は一見緩やかに見えるが、その傾きは登るにつれ急になる。それは成人男性の俺でも登りきるのは難しいほどだ。
確か、最初は俺がお手本を見せるために登ったんだよな…。
今回も登るべきか…?
山頂のほうを見上げる。紫の霧がかかっていて、上の方はよく見えない。
やっぱりなんか嫌な感じがするなぁ…。
俺が悩んでいる間に、シンタは意気揚々とがんばり山を登ってしまった。
大丈夫だろうか……
仮に“初日へ戻って来る前の期間”を1周目、“ここへ戻ってきた今”を2週目、と呼ぶこととする。
1周目は、俺が落ちてきたのを見てからみんな登っていった。まぁ材質はそんなに硬くないみたいだし、シンタが無理しちゃっても怪我はしなさそうだが……。
案の定、シンタは叫びながら転がり落ちてきた。
シンタは恥ずかしそうに俯いてしまった……。
みんなぞろぞろとがんばり山にチャレンジしていく。
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あれからみんな何回か挑戦して、俺もやってみたけど……
やっぱり結果は1周目と変わらなかったな。
そうだ、もちろん係の人なんて1周目も見つからなかった。
そもそも俺は今回、従業員や裏口は探していない。探すふりをして、アトラクションを探してきた。中にはまだ封鎖されてるのもあったけど…
ルミ先生はスマホをちらちら見ている。ここは圏外だからどこにもつながらないはずだ。
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もう遅い時間だ。辺りが暗くなってきた。屋内のはずなんだが…。
休憩所に集まったけれど、みんな疲れた様子でいる。
確かそろそろ初日の集金が始まる。
がんばり山は無料で挑戦できるから、だれもメダルを失ってないけれど……。
集金といえば、嫌な思い出がある…。
そのとき、どこかからノスタルジーな音色の曲が聞こえてきた。
ルミ先生はカエルタマゴの前に立つ。
説明……あのモニターで紹介された映像の最初にでてきた、長文のことだろう。
思い返せば、あんなので同意って…少し腹が立つな……。
すると、たくさんのカエルタマゴがこちらへ向かってきて、あっという間に俺たちを取り囲んでしまった。
そのとき、1匹のカエルタマゴが助走をつけてルミ先生に突っ込もうとしていた。
俺は咄嗟にルミ先生をかばった。カエルタマゴとぶつかった衝撃で、持っていたメダルが1枚カランと落ちてしまう。
カエルタマゴは落ちたメダルの前に立つ。そしてそのまま、口を大きく開けた。
それを節目として、他のカエルタマゴたちも威圧するように迫ってくる。
みんなひどく脅えて、ルミ先生までも青ざめていた。
まずい、みんな怖がってる…。
みんなの怖がる姿は見たくない。勇気づけるように声をかけてみた…。
すると、みんな怖がりつつもメダルを差し出してくれた。
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初日の集金は無事に終わった。全員メダルの残数は4枚。
───ここまでは1周目とあまり差はない。
休憩所の布団に入る。眠る前に、ここで密かに作戦を立てることとしよう。
できるなら、今夜のうちに色々決めておこう。
まず心配なのは…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!