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第2話

初日
19
2025/11/08 17:00 更新
最初のアトラクション──がんばり山に向かうと、既にみんな集まっていたようだ。
╳╳╳╳
ーがんばり山ー
登りきれたらメダル5枚!

初回限定、参加メダルなし!
無料で挑戦できるデミ!
╳╳╳╳
がんばり山の入口の看板にはそう書かれていた。
ライオン
登りきれたらメダル5枚?
ということは……
ライオン
全員が最初にもらった5枚と、
がんばり山でもらえる5枚を合わせれば…
ライム
5枚と5枚で…
どどどうなるんですか〜〜!?
岡田ユウ
5と5を合わせたら10になるよ…。
ハヤテ
…クリアに必要なメダルが集まるな。
だが、俺は知っている。
がんばり山は一見緩やかに見えるが、その傾きは登るにつれ急になる。それは成人男性の俺でも登りきるのは難しいほどだ。
ルミ先生
なかなか大きな山ですね…
シンタ
ヒ、ヒーローならこれくらい楽勝だぜ!
カナタ
『足がふるえてるゾ!』
……ってヒナタが言ってるよ。くすくす…。
シンタ
な、なんだとーっ!!
確か、最初は俺がお手本を見せるために登ったんだよな…。
今回も登るべきか…?

山頂のほうを見上げる。紫の霧がかかっていて、上の方はよく見えない。
やっぱりなんか嫌な感じがするなぁ…。
シンタ
よーし!オレが最初にクリアしてやる!
みてろよーっ!!
岡田ユウ
えっ…シンタ!?
俺が悩んでいる間に、シンタは意気揚々とがんばり山を登ってしまった。
大丈夫だろうか……

仮に“初日へ戻って来る前の期間”を1周目、“ここへ戻ってきた今”を2週目、と呼ぶこととする。

1周目は、俺が落ちてきたのを見てからみんな登っていった。まぁ材質はそんなに硬くないみたいだし、シンタが無理しちゃっても怪我はしなさそうだが……。

シンタ
───うわぁああああっ!!!
案の定、シンタは叫びながら転がり落ちてきた。
岡田ユウ
しっ…シンタ?大丈夫か!?
マリア
レッドちゃん、すべりだいすご〜い!
ライム
ずるいです〜!!
あたちもすべりだいやるです〜〜!!
シンタ
え…あれぇ…??
カナタ
『キャハハ!すごい悲鳴だったゾ!』
カナタ
笑っちゃわるいよヒナタ。くすくす……。
ワタル
ちょっとカッコわるかったのら〜?
シンタは恥ずかしそうに俯いてしまった……。
岡田ユウ
大丈夫だよシンタ、俺でも登れそうにないし…
怪我はない?
シンタ
ひ…ヒーローはこれくらいでケガなんてしないぞ!
ルミ先生
あ、ちょっと……!
みんなぞろぞろとがんばり山にチャレンジしていく。
ダイゴロウ
ぶへーーーっ!!(ゴロゴロゴロ…)
ユズリハ
ダイゴロウってばダーッサ!
ちょっとはハヤテくんを見習えば?
ハヤテ
……俺はこんなの、どうでもいい。
ダイゴロウ
うおお、クールだなハヤテ……!
マリア
ひーちゃん、マリアもいってくるね〜。
ヒカル
マリア、大丈夫!?
おヒザ擦りむかないようにね…!
ワタル
なのら〜〜〜゛!(ゴロゴロゴロ…)
╳╳╳
あれからみんな何回か挑戦して、俺もやってみたけど……
やっぱり結果は1周目と変わらなかったな。
ルミ先生
……やっぱりどこにもいませんね、係の方。
ルミ先生
明らかにもう閉館時間を回っていると思うんですが……
そうだ、もちろん係の人なんて1周目も見つからなかった。

そもそも俺は今回、従業員や裏口は探していない。探すふりをして、アトラクションを探してきた。中にはまだ封鎖されてるのもあったけど…
ルミ先生
とにかく一度、保護者の方々に連絡しないと……。
ルミ先生はスマホをちらちら見ている。ここは圏外だからどこにもつながらないはずだ。




╳╳╳



もう遅い時間だ。辺りが暗くなってきた。屋内のはずなんだが…。
休憩所に集まったけれど、みんな疲れた様子でいる。
ダイヤ
……
アキ
ワタシ、疲れた…。
ヒカル
しょーがないよ、もうちょっとがんばろ!
マリア
マリアも立ってるのつかれちゃった……。
ヒカル
大丈夫?そこにベンチあるよ!!
座る?
アキ
何よその態度の違いは????
岡田ユウ
(さてと……)
確かそろそろ初日の集金が始まる。
がんばり山は無料で挑戦できるから、だれもメダルを失ってないけれど……。

集金といえば、嫌な思い出がある…。
そのとき、どこかからノスタルジーな音色の曲が聞こえてきた。
マドカ
な、なんですかっこの曲?
カエルタマゴ
時間デミ。時間デミ。
ゾーヤ
時間…?
リンリン
あっ、カエルタマゴ!
ルミ先生
なんだ、閉館時間だから迎えに来てくれたんですね。
ルミ先生はカエルタマゴの前に立つ。
ルミ先生
すみません、もう帰らなければいけなくって。
出口を教えていただけると……
カエルタマゴ
集金タイムデミ。
カエルタマゴ
今日ノ参加料ヲイタダクデミ。
メダル1枚出スデミ。
ルミ先生
さ、参加料……?
カエルタマゴ
最初ニ説明シタデミ。
参加ヲモッテ、同意トスルデミ。
カエルタマゴ
毎日1枚、払ッテモラウデミ。
説明……あのモニターで紹介された映像の最初にでてきた、長文のことだろう。
思い返せば、あんなので同意って…少し腹が立つな……。
ルミ先生
と、とにかく私たちはもう帰るんです!
カエルタマゴ
メダル出スデミ。
ルミ先生
ですから……。
カエルタマゴ
……。
カエルタマゴ
メダル出スデミ。メダル出スデミ。
メダル出スデミ。メダル出スデミ。
すると、たくさんのカエルタマゴがこちらへ向かってきて、あっという間に俺たちを取り囲んでしまった。
ユズリハ
わっ…?!
カエルタマゴ
メダル出スデミ。メダル出スデミ。
メダル出スデミ。メダル出スデミ。
ダイゴロウ
い、いっぱいでてきた……!
そのとき、1匹のカエルタマゴが助走をつけてルミ先生に突っ込もうとしていた。
岡田ユウ
ルミ先生…!
俺は咄嗟にルミ先生をかばった。カエルタマゴとぶつかった衝撃で、持っていたメダルが1枚カランと落ちてしまう。
岡田ユウ
うぐ……。
ダイヤ
……!
ルミ先生
ユ、ユウ先生!
カエルタマゴは落ちたメダルの前に立つ。そしてそのまま、口を大きく開けた。
カエルタマゴ
イタダクデミ。
それを節目として、他のカエルタマゴたちも威圧するように迫ってくる。
カエルタマゴ
1人1枚デミ。
参加料デミ。
カエルタマゴ
ルールハ絶対デミ。出スデミ。
ユズリハ
や、やめてよ……!
ちゃんと払うってば!
マドカ
ひえぇええーっ!!
シンタ
や、やめろ…!
ハヤテ
クソッ、なんなんだよ……!
ライム
びえーーーーーーーーーー!!!
ライオン
ラ、ライムさん…はな、離れないで……!
ルミ先生
な、なんなんですか、これ…!
みんなひどく脅えて、ルミ先生までも青ざめていた。
まずい、みんな怖がってる…。
岡田ユウ
みんな、落ち着いて!
1枚メダルを出して、カエルタマゴに渡そう!
みんなの怖がる姿は見たくない。勇気づけるように声をかけてみた…。
ワタル
た、たたたたべないでなのら…!!
ライオン
し、仕方ありませんね……。
すると、みんな怖がりつつもメダルを差し出してくれた。



╳╳╳



初日の集金は無事に終わった。全員メダルの残数は4枚。

───ここまでは1周目とあまり差はない。

休憩所の布団に入る。眠る前に、ここで密かに作戦を立てることとしよう。
できるなら、今夜のうちに色々決めておこう。
まず心配なのは…。

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