俺はまた守れなかった。
ダイゴロウ、マモル、リンリン、ユズリハ、マリア……
もう失わない、絶対に守ると何度も決意したはずなのに。
指の隙間から水がこぼれ落ちるように、みんな…みんな脱落してしまう。
今日、ついにライオンが脱落してしまった。
それは二人の脱出者と引き換えに。
ライオンは最期まで凛とした振る舞いだった。
それは小さな妹たちを守るように…。
だが俺は何も守れなかった。
ああ、もう一度、最初からやり直せたら……。
……えっ?
…気づけば俺は広場に立って、向こうに広がるアトラクションを眺めていた。
周りを見れば、もういなくなってしまったはずの園児たちがそこに立っていた。
あまりの出来事に、思わず脚から力が抜ける。
ここはなんだ……どうしてみんないるんだ…?
そのとき、ガラガラと台車を押すような音が聞こえてきた。
──大きなモニターを運んでやって来たのは、一匹のカエルタマゴ。
みんな何言ってるんだ…?ただのカエルタマゴだろう…。
見たことない、みたいな反応をして…。
俺がぼうっとしていると、ルミ先生が不安そうな顔をしてカエルタマゴの前に立つ。
ルミ先生は顔を引きつらせながらカエルタマゴと対話しようとしていた。
……ここはゆぅろぴあの広場だろう。なんでみんな分かってないんだ…?
そのとき、突然テレビの画面が真っ白になったかと思うと、利用規約のようなものがずらっと映し出され……。
それが下へとスクロールされると、すぐ『よいこのルールせつめい』という画面に切り替わった。
これはゆぅろぴあに来て最初の日に見たものだ。
───みんなの変な反応に、このカエルタマゴに…。
もしかして俺は…“初日”に戻ったのか……?
あのピンク色のメダルが5枚ずつ配られ始める。
だがそんなことより、俺はまだこの状況を飲み込めないままでいる。
バイバイスロットでマリアが、その後ライオンがルール違反で脱落したはずだ…。
これは夢なのか?…夢にしては妙に生々しい。
ルミ先生が不安げに振り向く。
やっぱり……俺は戻ってきたのか?ゆぅろぴあの初日へ……!?
だとすれば、もうやることは決まっている。
──今度こそ、全員守り抜いてみせる!!
ルミ先生の言葉にはっとして、初日に言ったことを必死に思い出そうとする。
きっとこの段階ではもうゆぅろぴあから逃れられないだろう。だから“このアトラクションで遊ぶ”方向に持っていった。
焦ってしまってすこし早口になってしまったが…
╳╳╳
やがてカエルタマゴはメダルを配り終えると、モニターを引っ張ってどこかへ消えていった。
……子供たちのうち何人かが、さっそくアトラクションへ向かった。
えぇっと…見守りに行くとしようか。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。