PROJECT
2025.11.6
人”と”対話”から生まれるものを大切に。MNTSQ社の社内コラボレーションのための新オフィス
AIを活用した契約業務のデジタル化を推進するMNTSQ株式会社は、2025年10月に人形町の旧オフィスから、勝どきの「晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーX棟(以下、トリトンスクエアX棟)」へ移転しました。これまで2フロアに分かれていた約240坪のオフィスを、ワンフロア約280坪へと拡張した今回の移転プロジェクトの特徴は、7名のタスクフォースメンバーが中心となって意思決定を進めたこと。そのプロセスを支えたのがヒトカラメディアで仲介営業を担当した木幡、内装デザインを手がけた半沢、プロジェクトマネージャーの佐々木です。今回は、MNTSQのタスクフォースメンバーと移転に伴うワークショップに参加したメンバーのみなさんと共にプロジェクトの軌跡を振り返ります。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
1.「コラボレーションの強化」を目指したオフィス移転プロジェクト

――まず、オフィス移転を検討された背景を教えてください。
MNTSQ・加賀谷優希 様(以下「加賀谷」):人員が増えてきたことによる拡張だけでなく、部署や役職に関係なく、誰とでも気軽にコミュニケーションをとることができるオフィス空間を求めていました。MNTSQのビジネスを成長させるには、プロジェクトごとに多様なメンバーとのコミュニケーションが必要で、社内からも「コラボレーションしやすいオフィスで働きたい」という声が上がっていました。
MNTSQ・芳賀由希 様(以下「芳賀」):というのも、以前のオフィス環境は5階と6階の2フロア構成で、各階のセキュリティが厳しく上下階の移動がしづらかったので、スピード感のあるコミュニケーションや偶発的な会話が生まれにくい状況になっていました。
MNTSQ・岩永真知子 様(以下「岩永」):加えて、旧オフィスはセットアップオフィスだったので内装を自由に変更できなくて、社内からの要望に対してその場しのぎの対応しかできませんでした。交流の場もリフレッシュスペース程度しかなくて。
芳賀:そこで、全社員が同じ空間で業務を進められるワンフロアのオフィスへ移転しようと決まり、以前のオフィス近隣で移転先の物件を探し始めました。



――今回の移転プロジェクトは、タスクフォースメンバーが中心となって進めたそうですね。なぜ、タスクフォースを結成することになったのでしょうか?
芳賀:移転プロジェクトのリーダーにアサインされた私たち総務だけでは、各部署の働き方やオフィスに求める機能を理解するのに限界があったからです。そこで、候補物件がある程度絞られた段階で各部署から代表を募り、7名のタスクフォースを結成することで、現場の声を効率よく吸い上げ、新オフィスに反映できる体制を整えることにしました。
加賀谷:人事部である私が参加したのは、人生の3分の1を費やす仕事の時間をより有意義にするオフィスづくりに携わりたいと考えたからです。タスクフォースメンバーになることで、オフィスに込めた想いを求職者の方に、直接自らの言葉で伝えることができますし、人事として日頃から社内メンバーと接する機会も多くあるため、いろんな声をオフィスづくりに反映することができて、それは結果として会社全体のためになると思い、自ら手を挙げました。
ヒトカラメディア・木幡 大地(以下「木幡」):プロジェクトを進める中でみなさんの熱量がすごいなと感じたのですが、「会社のために」という想いはみなさん共通していたんですか?
加賀谷:「ベストなオフィスをつくることは、メンバーのパフォーマンス最大化を実現し、事業の成長につながり、お客様のためにもなる」ということはタスクフォースメンバー全員でぶれることなく共有されていたように感じますね。その上で、みんなでプロジェクトを進めていったんです。

2.物件選定から内装まで。現場とタスクフォースが主導
――移転先はいつ頃から探し始めたんですか?
岩永:2024年1月に「1〜2年のうちに移転したい」という話になり、その年の6月にヒトカラさんにご相談したと思います。
木幡:たくさん内見を行いましたが、その中でだんだんと「こういう物件がいい」という解が上がっていきましたよね。
芳賀:そうですね。これまで物件選びの経験がないので、最初は適切な広さのイメージも湧きづらかったんですが、木幡さんのアドバイスや全社員の最寄り駅からのアクセスを比較検討したことで、最終的には3つまで絞り込むことができましたね。
木幡:その段階でヒトカラメディアの空間プランナー・半沢がテストフィット(※)を作成したことで、ちょうどいい面積帯が見えてきましたよね。テストフィットのレベルを超えるほど、具体的なイメージを落とし込んで作成していた記憶があります。
(※テストフィット=図面ベースのレイアウト案。どんなレイアウトが実現できるかをシミュレーションすること)
ヒトカラメディア・半沢 広道(以下「半沢」):内見の段階でボリュームチェック(=席や会議室がどれだけ設置できるかの確認)を行うことはよくありますが、今回はそれだけだとイメージが湧きづらいと思ったので、より実際の空間をイメージしていただけるよう、木幡と連携してプランナーである私がテストフィットを作成することにしたんです。「この場所にリフレッシュスペースを配置したら、窓の外の桜を見ながら休憩できるな」とか、具体的な空間の使い方などを考慮しながら作成していきました。
岩永:テストフィットというより、ほぼ図面に近いようなものを作っていただいたことで、空っぽの空間の中にどんなオフィスを作れるのか、具体的にイメージできるようになり、「この広さだと希望するゾーンがつくれない」とか「社内外の人の動線が一緒になる」とか、物件を選ぶ上でかなり参考になりました。

――そうして絞り込んだ物件の一つが、今回の移転先であるトリトンスクエアX棟にある物件です。木幡さんは、なぜこの物件をご提案したのでしょうか。
木幡:好条件だったことに加え、大きな柱がなくワンフロアを見渡せて、レイアウトの自由度が圧倒的に高かったからです。「みんなの顔を見渡せるようなオフィスにしたい」とおっしゃっていたので、それが実現しやすいのは柱の無い貸室形状が理想だと思いました。それに、急成長されている企業さんなので、オフィスを将来拡張される際、館内の別フロアに移転すれば、移転作業がラクになるだろうと考えました。
芳賀:その拡張性も決め手になりました。このビルは、館内の貸し会議室やカフェなどの施設が充実していることも魅力で、必要に応じて使える場所が十分にあります。うまく活用すれば、自分たちのオフィスだけで会議室や休憩スペースを抱え込む必要がなくなるので、周辺環境も含めてコストパフォーマンスが高いなと感じましたね。
最終的には、タスクフォースメンバーとさまざまな角度から検討した上で、この物件を経営陣に提案して、経営陣が立地や契約条件などを踏まえて決定したんです。
岩永:経営陣が関わったのは主に承認の部分で、オフィスの中身に関してはタスクフォースに全面的に任せてもらいました。経営陣はデザインなどには出来上がりまで一切口出しせず、オフィスが完成したあとに初めて見て、「めっちゃいいじゃん!」という新鮮な感想をもらいました。これはワークショップを経て、社員の望む形になるはずだと信頼していただけたからこそだと思っています。
木幡:嬉しいです。当初から「みんなで決めることを大事にしたい」とおっしゃっていましたよね。とはいえ、規模が大きくなるほど大きなお金が動きますし、移転は影響も大きいので、ここまでプロジェクトメンバーに託し意思決定を任せる企業は見たことがありません。経営陣の方との信頼関係をすごく感じます。
岩永:そうですね。その上で、タスクフォースとしては「MNTSQで働くみんなの要望をどれだけ実現できるか」を重視しながら、物件やオフィスの内装を決めていきました。

3.「オフィスづくりワークショップ」で社員の理想を空間設計に落とし込む
――物件が決まり、そこから内装デザインを検討していくにあたって、どのようなアプローチを取りましたか?
半沢:内見時、タスクフォースメンバーのみなさんから「社員の要望を反映させたオフィスにしたい」という想いを強く感じました。そこで、みなさんの想いや考えを吸い上げた上で、より良いオフィス空間をデザインしようと、『メンバー参加型ワークショップ』をご提案したんです。
岩永:今回、2回のステップに分かれて開催したワークショップは、延べ70名の社員が有志で参加してくれて大盛況でした。
半沢:このワークショップでは、参加者の「成功体験」や「失敗体験」など過去の経験を語ってもらうことで、その人が大事にしている価値観や働き方の傾向を理解し、どんなオフィス環境が効果的かを見つけていくんです。

芳賀:新しいオフィスに「どんな機能が必要か?」とか「どんなデザインがいいか?」というテーマではなく、私たちが大事にしていることを探っていくようなワークショップはすごく新鮮でしたね。ずっと一緒に働いてきたメンバーでも、久しぶりにちゃんと話ができた人もいたりして、メンバー同士の発見もたくさんありました。最終的には、私たちがオフィスで重視する機能を10個の空間エリアに分類していただき、「このエリアを実現すれば、みんなの納得感が得られる」と安心感を持って進められました。
加賀谷:ワークショップを通してオフィスづくりに携わることで、タスクフォース以外のメンバーの腹落ち感を醸成することもできたと思いますね。
――ワークショップの内容は、内装デザインにどのように落とし込んでいったのでしょうか?
半沢:ワークショップの結果、「個人で成果を上げるのではなく、チームで成果を上げる」というコンセプトに辿りつきました。
とはいえ、MNTSQさんのビジネス上、セキュリティ要件に応じて空間を4段階に区分する必要がありました。そのことを踏まえた上で、気軽にコミュニケーションできる3パターンのゾーニングをご提案し、採用されたのがオフィス中央に大通りを設け、両サイドに異なる機能のエリアを配置する「タウンシップ」案です。
ゾーニングを明確にしつつ、それぞれのエリア内はレイアウトや什器によって自然なコミュニケーションが生まれる構成にしました。たとえば、フリーアドレスのスペースには一人席や固定席だけではなく、グループアドレスにも対応できるレイアウトにして、チームで成果を上げやすいようにしています。

MNTSQ・森山凪様:ワークショップで思い描いていたスペースの一つが、みんなで交流できる「多目的スペース」です。私はソフトウェアエンジニアなのですが、これまではスペースがなくて他社のエンジニアを招いたイベント開催などが難しい環境でした。今後は開催しやすくなりますし、多目的スペースがあることによって、社内の別部署の人とも会話する機会や環境が増えたので、よいコミュニケーションを糧にして、サービスの新機能開発などにつなげていきたいなと思っています。
――「トレーニングスペース」も目を引くエリアですね。
MNTSQ・松本崇嗣様:このスペースは人事の私からの起案でした。弊社では本当に筋トレが盛んでして、週に1度の「筋トレ会」を開催していて、様々な部署の人が参加してくださり、縦横斜めのコミュニケーションが自然発生しています。その「筋トレ会」は移転前から50回程度実施しているため、移転後も継続したい、そしてMNTSQが「人の健康」に本気で投資していることをアピールしたいと考え、このスペースを設けてもらいました。


4.対話を重視したパートナーシップから生まれた理想のワークスペース
――新オフィスは10月1日から稼働が始まりましたが、プロジェクトを振り返って難しかったことを教えてください。
ヒトカラメディア・佐々木 直人:移転全体の進行管理や、約10社に及ぶ協力会社との調整・連携です。グレードの高いビルでの工事は手続きが煩雑で、提出書類も多くなります。また、家具の搬入時は役割の違う業者同士による運搬・組み立てがスムーズに行くよう、スケジュール調整が必要でした。その中でMNTSQさんのご協力もあり、スムーズに進めることができました。
――無事に完成した新しいオフィスで、MNTSQさんがこれから実現したいことは何でしょうか?
芳賀:偶発的なコミュニケーションが起きやすいオフィスになったので、雑談などから化学反応が起き、プロダクト開発や社内のさらなる雰囲気向上につながればと期待しています。
加賀谷:雑談に関していえば、オフィス中央に大通りを設けたのは「話すだけがコミュニケーションではない」という考えがあるからです。大通りを歩く人を見て「あの人、出社しているんだ」「時間ありそうだから、今、声をかけても大丈夫そうかも」など、直接話さなかったとしても、様子が分かればコミュニケーションを取るための準備がしやすくなると思っています。
岩永:ワークショップを通じて、みんながそういったオフラインでのコミュニケーションを大事にしていることも見えてきました。その想いを形にした新しいオフィスで、みんなが用途や気分に応じて好きな場所で作業し、雑談している様子を見ることができて嬉しいです。

――最後に、ヒトカラメディアとプロジェクトを進めた感想を教えてください。
芳賀:物件選びや内装のことなど何もわからない私たちにゼロベースで教えてくださり、協力会社との連携もスムーズにしていただいたおかげで、短期間で理想的なオフィスへ移転できました。
私たちは、AIをふんだんに扱うIT企業ですが、今回ヒトカラさんとご一緒して、改めて人間同士で対話しながら進める意味を感じたんです。AIに物件を比較させたり、イケてるだけのデザインを代表に提案して、それで決まったらラクじゃないですか。でも、ヒトカラさんは私たちにも言語化しきれない、かなりふわっとした想いや要望をワークショップや対話を通じて丁寧に拾い上げて、プロの知見をもとに形にしてくれました。あえて茨の道を一緒に進んで形にしていただけたのが有り難かったですし、一緒にプロジェクトを進められてよかったなと思っています。

取材・文/流石香織
ヒトカラメディア
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